ゴルフのシューズにはこだわりがあっても、インソールまでカスタムしているゴルファーはそう多くないかもしれない。でもインソールは足とシューズを繋ぐ大切なパーツで意外と侮れない。
そんなわけで、R&Dから発売されているスポーツ用高機能インソール「M.モゥブレィスポーツ」から、ゴルフや野球などの打撃系スポーツに適した『エナジーアルファ』をシューフィッターの神谷幸宏プロがテスト。最先端の計測器「スイングカタリスト」を用いて性能を徹底検証する。
『エナジーアルファ』をゴルフ場で実践検証
まずは『エナジーアルファ』をゴルフ場のラウンドでテストしてみたいと思います。装着して第一に感じたのが足裏の真ん中あたりに位置する膨らみです。これが中足骨をしっかりと引き上げてくれていて快適です。
ドライバーショット
アドレスすると踵部分のしっかりしたホールドを感じますね。ドライバーを打ってみましたが、ダウンスイング時に踵が止まってくれるので、しっかりと振り抜くことができました。
通常のインソールだと軟らかくできているのですが、『エナジーアルファ』は適度に硬くできているので、スイングの安定感が増します。
強烈なつま先下がり
かなり強烈なつま先下がりの状況からショットしましたが、足をしっかり使うことができました。『エナジーアルファ』によって足裏が本来あるべき位置にしっかり収まっているので、シューズの機能も引き出せていると思います。
グリーン上
グリーン上でラインを読む際に、実は足裏から得る情報も重要です。足が正常な位置に収まっていないと傾斜を実際よりも深く読み過ぎてしまうなどの弊害が起こります。
その点『エナジーアルファ』を使うことで真っすぐ立つことができますので、足裏の情報と自分の読んだラインが一致してしっかりカップインすることができました。ストローク自体も安定しますね。
『エナジーアルファ』をゴルフ場で使ってみて
『エナジーアルファ』を使ってラウンドしてみましたが、中足骨部分のアーチが足裏に馴染んできて、歩いていて心地良かったですね。
一般的なカスタムインソールは比較的硬い作りのものが多いのですが、『エナジーアルファ』は適度な軟らかさも兼ね備えていてシューズや足と馴染みます。シューズ内で足がずれることなく、足裏と一体になってついてきてくれるので、疲れを感じません。
それと僕が注目しているのはシューズとの接地面にある六角EVAという通気孔ですね。一般的なカスタムインソールに比べて孔が大きいので、通気性も良くシューズ内の蒸れが軽減されています。
また、前足部は薄いモデルが多いのですが、『エナジーアルファ』は適度な厚みもあるので、インパクト時の衝撃を吸収してくれてしっかり踏み込んでも痛くなりにくいのでないでしょうか。
新品の時にピッタリだったシューズが、履いているうちに余裕が出てくることがあります。その状態を馴染んできたと思っている方が多いのですが、実はそれは馴染んでいるのではなくインソールが沈んでしまい、シューズ内の空間が広がっているだけなのです。その状態だとフィット感も損なわれシューズ本来の機能が発揮できません。
そんな時にインソールを『エナジーアルファ』に変えることによって、シューズ自体を生き返らせることができると思いますし、あらかじめ『エナジーアルファ』に変えておくことでフィット感を持続することができると思います。
『エナジーアルファ』×「スイングカタリスト」 最先端計測器で徹底検証!
次に「スイングカタリスト」という計測器を用いて『エナジーアルファ』の性能を検証してみました。「スイングカタリスト」はプレッシャープレート(「足圧」を計測)とフォースプレート(「スイング中の力」を計測)が重なっている計測器です。
裸足vs『エナジーアルファ』
一つの試みとして、裸足でのスイング(画像左)と、『エナジーアルファ』を裸足の下に敷いた状態でのスイング(画像右)を比較してみました。
ここから分かったことは、「センター・オブ・プレッシャー」(両足の圧の中心)の動きの違いです。『エナジーアルファ』を敷いた時に比べて、裸足の時の方が、中心圧の動きがいびつになっていることが分かります。インパクト前に一度左足つま先に体重が乗り、インパクト直前に力が左足の踵方向に逃げたことが理由です。
一方、『エナジーアルファ』を敷いた時には前後の動きが減りスムーズに体が回ったためコンパクトな円になっています。僕も含め基本的にはほとんどの方がぐらついた足をしているのですが、それが『エナジーアルファ』によって補正されて良い動きになったということが言えると思います。
純正インソールvs『エナジーアルファ』
続いて純正インソール(画像左)と『エナジーアルファ』(画像右)をそれぞれシューズに入れて比較していきたいと思います。
最初の画像は「ホリゾンタル」(横方向の力)がどれくらい出たのかを表しています。純正インソールの方はその最大値が100N(ニュートン)だったのに対し、『エナジーアルファ』は119Nまで出ています。数が大きいほど多くの力を出せたことになります。
驚いたのはスタンス幅の変化です。ここでいうスタンス幅とは、右足の中心圧と、左足の中心圧を結んだ距離になるのですが、純正インソールの42.2cmに対し、『エナジーアルファ』は50.8cmになっています。
実は僕自身足裏が内側に倒れており、内股の傾向が強いのです。その結果、足の内側で踏ん張りながらスイングしてしまい、ラウンドが進むにつれ土踏まずが落ちて疲れやすくなる傾向がありました。
このデータが示すことは、『エナジーアルファ』を装着したことで、足裏が整ってバランス良く立てるようになったことで内側に偏っていた左右の足それぞれの中心圧が外側に移動し、それに伴って自然と足を広げて立つことができたのだと思います。僕の中では同じようにスタンスを取っているのですが、無意識にこれだけの変化が生まれたのは驚きです。安定感が増したということになります。
続いての画像は「トルク」(回転の力)がどれくらい出たのかを表しています。純正インソールの方はその最大値が71N(ニュートン)だったのに対し、『エナジーアルファ』は76Nまで出ています。
実際に試していただくと分かるのですが、スタンス幅が広いと回転しにくく、狭いと回転しやすいというのが普通です。ところが、スタンス幅が広い『エナジーアルファ』装着時の方が回転の力が多く出ているということが分かりますので、エネルギー効率の良さが実証されたことになります。
最後の画像は「バーティカル」(縦方向の力)がどれくらい出たのかを表しています。インパクトの瞬間にジャンプする動きがこれに該当します。純正インソールの方はその最大値が999N(ニュートン)だったのに対し、『エナジーアルファ』は1013Nまで出ています。
「バーティカル」は一回つま先にしっかりと乗ってから飛ぶことによって大きな数値が出せますので、換言すれば『エナジーアルファ』を装着したことで、インパクト前にしっかりつま先に乗れてエネルギーを蓄えられたということになります。
神谷幸宏カスタムインソールのすすめ
シューフィッターをしていると、皆さん足に対して何かしらの悩みを持っているということが分かります。足の悩みを解決するには、まずは足をニュートラルポジションに整えることが重要です。
ニュートラルポジションにすることで疲れの軽減に繋がりますし、足本来の機能が活かせることで正しい動きになりゴルフのパフォーマンスも上がります。
カスタムインソールはまだまだゴルファーの間に浸透していませんが、そんな足の悩みの解決に寄与すると思っています。僕自身もそうしていますがラウンド終了後に普段履きのスニーカーに入れて使ってもいいので一石二鳥です。
1万円を超える高価なものもある中、『エナジーアルファ』は機能が充実していながら3500円(税別)とリーズナブルでコスパの良さが魅力。ゴルファーにとってカスタムインソールの導入としても最適な製品だと思います。
今回は実際のコースとデータ両方で『エナジーアルファ』を検証しましたが、コースでのフィーリングも良く、データ上でも良い数値が出ました。自信を持って勧められるカスタムインソールだと思います。
ほかにもある 「M.モゥブレィスポーツ」4種類のインソール
「M.モゥブレィスポーツ」を製造販売するR&Dは、1975年創業の老舗シューケア用品メーカー。「M.モゥブレィ」というシューケアブランドはウェブ上の数あるシューケアランキングにおいても必ず上位に名を連ねている。主力商品はシューケアクリームからビジネスインソールまで多岐に渡る。
そんなR&Dがスポーツに特化したインソールとして生み出したのが「M.モゥブレィスポーツ」。各スポーツの動きを研究し、それぞれに最適なインソールを4種類ラインアップしている。
『エナジーアルファ』:3500円(税抜)
ゴルフ、野球、ソフトボール、ボウリング、テニス、卓球、バドミントンなどの打撃・投てき系スポーツ専用。体のブレを抑え、力を逃がさず伝える。
『バランスアルファ』:3700円(税抜)
ウォーキング、山登り、フィットネス、エアロビクス、ダンス、チアリーディングなど専用。長時間に及び姿勢が維持できる。
『スピードアルファ』:3300円(税抜)
サッカー、フットサル、バレーボール、バスケットボール、ラグビー、スキー、陸上(短距離)などの瞬発系スポーツ専用。細かい切り返しや前後左右の瞬時の動きに対応できる。
『ランニングアルファ』:2700円(税抜)
ジョギング、マラソン、陸上(中長距離、跳躍)など専用。足との一体感を高めつつも軽さを損なわない。走るペースに応じて低反発タイプと高反発タイプの2種類をラインアップ。
詳しくは下記参照
M.モゥブレィスポーツ