自立式のパターは過去市場に投入されたことがある。しかし、その特異性ゆえに残念ながら高い評価を受けたとは言えないだろう。
しかし、いま、米国ゴルフ市場でヒットしている自立式のパターがある。それが『S7K STAND ALONE PUTTER』。50g台の超軽量カーボンシャフトと、ミッドサイズならがEVA(合成樹脂)製の超軽量グリップ、そして巧みに計算されたソール形状でグリーン上に自立するパターだ。
それだけではない。実戦投入にこだわるゴルファーにも納得できるフェースのフライカットミルパターン、そしてサイトラインにはトリプルパスガイドラインを採用。機能満載のパターだ。
今回は、ギアの賢者でもあるソクラテス・永井延宏プロが『S7K STAND ALONE PUTTER』を試打、その性能を紐解いていく。アシスタントがGEW吉村が務めた。
[surfing_voice icon="https://gew-web.com/wp-content/uploads/2017/05/photo_nagai.jpg" name="永井延宏プロ" type="l big" bg_color="eee" font_color="000" border_color="eee"]1969年埼玉県生まれ。アメリカ・オーストラリアでの経験をもとに、グローバルな視野と独自のティーチングメソッドを構築。NPO法人ゴルフアミューズメントパークの理事として、ゴルフ市場の発展や指導者の育成にも携わる。2006年度レッスンオブザイヤー受賞[/surfing_voice]
全体の重心がヘッドの中ヒール寄りのヒットが吉
永井:今回ラウンドで使用されていましたが、最初はびっくりしましたね。
吉村:そうですね。『S7K STAND ALONE PUTTER』は、グリーン上で自立するパターで、パターをセットし、あらゆる方向からラインの確認ができるパターなんです。永井プロも試打していただきましが、どのような印象でしょうか?
永井:まず、注目したいのがクラブ全体のバランスポイントです。指に乗せた時の重心位置ですが、ほとんどネックの辺りで、超軽量シャフトと超軽量グリップとの組み合わせの構造的な低重心設計によるものです。
吉村:超軽量のシャフト、グリップによって自立する性能がありますが、その超軽量シャフト、グリップのデメリットはありますか。
永井:この『S7K STAND ALONE PUTTER』のシャフト、グリップは軽量ですが、ソリッドで手元が緩んだりシャフトが撓りすぎたりしません。いわゆるシャフトでいえば軽硬シャフトで、全体のバランスは良いと思います。
吉村:ヘッドは?
永井:はい。ブレード型のヘッドですが、幅の広いソールでグリーンでの自立性を担保しています。そのような意味でも、重心の位置がヘッドの中にあるイメージで、この特性は通常のパターとは一線を画すと思います。そして、ヘッドのトゥが下がるブレード型。さらに具体的に重心を探してみると、ネックの下あたりにありそうです。その意味ではボールの捉まりが良いパターだと思います。
吉村:パター自体が自立して、パッティングラインに真っ直ぐアドレスできる。そこが大きな特徴です。
永井:そうですね。自立をさせてパッティングラインに平行に立った状態で、ゴルファー自身の視野の中で横のライン(ターゲットと平行)に合わせてパターをセットしますが、ヘッド後方からのターゲットに対する縦のラインの確認ができます。
吉村:その横のライン、縦のラインを合わせるのが難しいですね。
永井:はい。それは、ある研究では人間にはできないと言われています。ですので、その現象を理解して、『S7K STAND ALONE PUTTER』の機能を信じてパッティングすることが重要ですね。
フェースの向きを決めたらモゾモゾしないで素直に打つ
永井:今回は4mの左から右に30㎝ほど曲がるラインでテストしました。通常ならボール後方から方向を見定めてアドレスしますが、アドレス時のターゲットに向けた目線がパッティングでは一番頼りになります。『S7K STAND ALONE PUTTER』の場合は、その後にアドレスを一度ほどいて後方から検証できる。そこでヘッドの向きを修正して、横のラインと縦のラインを合わせることができます。
吉村:そのままの状態を維持しながらパッティングするのですね。
永井:そうですね。ですので、パターをグリップする直前は、パターを置いたまま手だけで素振りをして、距離感のイメージを作る。そしてグリップを握って、素直にパッティングするというのが『S7K STAND ALONE PUTTER』の特性を生かすルーティンでしょう。
吉村:パッティング直前のアドレスでモゾモゾしないというのがベストな方法ですね。
永井:その通りです。一度、ボールの位置で仮決めをして、後方からヘッドの向きを再確認。グリップする直前に距離感をイメージする素振りをして、パッティングストロークに臨むということです。
吉村:どのようなストロークのタイプのゴルファーにマッチしますか。
永井:重心特性も考慮すれば、振り子のストロークで、長尺パターのような感覚でのパッティングに合うと思います。ライ角もアップライトなので、少し近くに立ってストロークするとクラブの特性を生かせると思います。
2mのパットで傾斜が明らかなら2度の傾斜で曲がり幅は50cm
吉村:『S7K STAND ALONE PUTTER』を打ってもらいましたが、このパターの機能を生かすにはラインを読む力も必要です。
永井:はい。昔は傾斜計をつかって、グリーンの傾斜を測っていました。数値的な傾斜の目安があって、距離2mを基準として傾斜の傾きを1度刻みでイメージしましょう。1度の傾斜は距離1mでカップの端を狙うラインの傾斜です。どう見ても傾斜があると見えるときは傾斜が2度。2段グリーンでつなぎ目があると見える場所は3度の傾斜と考えるのが、一つのイメージです。ボールが止まらない傾斜は3度で、試合ではカップを傾斜3度の場所にセッティングしないことになっています。
吉村:それによる曲がり幅は。
永井:2mのパットで傾斜2度なら50~60cmの曲がり幅が私のイメージです。あとは、ラインを浅めに読むか深く読むかによって、曲がり幅は若干変わってきます。
吉村:ラインを読むヒントありがとうございます。これで、『S7K STAND ALONE PUTTER』の特性を生かすことができますね。
どんなゴルファーにおすすめ?

まず、アドレスに自信がない、アドレス時にモゾモゾしてしまうゴルファーに『S7K STAND ALONE PUTTER』はオススメです。
それとターゲットに対して真っ直ぐ構えられないゴルファーにおススメです。真っ直ぐ構えられないゴルファーの特徴のひとつが、顔の向きと目線が一致していない。顔は前を向いて頭が上がっているけど、目線は下向き。頭を垂れていないゴルファーは、目線は下を向いていますが、ボールに遠く立ちがちです。
これはライ角なども含めて考える必要はありますが、売場でパターを持ってアドレスしてもらった時に、顔の角度と目線を確認することが重要です。