新ブランド「VATIC GOLF」は11月6日、『VATIC』(バティック)ドライバーを発売した。突如パーツ市場に登場したブランドなだけにその性能も気になるところ。
そこで、ティーチングプロの坂本龍楠がアマチュアゴルファーと共に『VATIC』を試打。その特徴を徹底解説する。
[surfing_voice icon="https://gew-web.com/wp-content/uploads/2019/10/photo_sakamoto-ryunan.jpg" name="坂本龍楠プロ" type="l big" bg_color="eee" font_color="000" border_color="eee"]1981年生まれ。神奈川県出身。オーストラリアへ留学してゴルフを学び、2011年「日本プロゴルフ協会」ティーチングプロ合格。自身が運営する新宿御苑ゴルフスタジオでは身体に負荷のかからないスイング理論が好評を博し、公式YouTubeのチャンネル登録数は11万人を超える。著書には「逆説のゴルフ」などがある。[/surfing_voice]
2種類の『VATIC』ドライバー
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左「タイプA」 右「タイプC」[/caption]
『VATIC』ドライバーは、「タイプA」と「タイプC」の2種類のヘッドをラインアップしています。
「タイプA」はヘッド体積450CCのオールチタンヘッドで、特別なジグを使いロフト角とライ角を±2度調整が可能です。調整は主に取り扱いをする工房などを通してメーカーで行います。
「タイプC」はヘッド体積460CCで、カーボンクラウンとチタンの複合ヘッド。ネックが可変構造になっているためゴルファー自身でロフト角とライ角を±1度調整が可能です。
特徴的なのはそのスリーブで、スリーブそのものが動く特殊な構造となっているため、ロフト・ライ角調整の際にシャフトの向きを変える必要がありません。
これによって得られる最大のメリットは、バックライン付きのグリップを使っている場合も常に同じ向きでグリップすることができるという点にあります。他メーカーの可変スリーブと差別化できる点だと言えます。
2つの機能を搭載
『VATIC』には2つの機能が搭載されています。
ORIGAMI BACK ソール
ソール後方の特殊な構造は、1枚の紙から色々な形を作ることができる折り紙を応用した「ORIGAMI工学」を取り入れたものです。
この構造にすることで通常のソールに比べORIGAMI構造の部分がたわみ、一方でフェース周りの剛性が高まりフェース面がたわむことでボールの初速が上がるというものです。
ローディングウエイトシステム
『VATIC』の最大の特徴と言えるのが、「ローディングウエイトシステム」です。ソールのトゥ側に3か所、ヒール側に3か所の計6か所のウエイトを自在に変えることで打ち出しと弾道を理想に近づけることができます。
標準はトゥ側、ヒール側共に1g(アルミ)、5g(タングステン)、1gの順にウエイトが配置されています。
ウエイトは他にも、2.5g(ステンレス)、6g(タングステン)が別売りでラインアップされているので、より細かく調整することが可能です。
「タイプC」を坂本プロが試打
早速「タイプC」を試打してみましょう。ウエイトはまずはノーマルポジションで試してみたいと思います。構えた感じの印象ですが、重心が浅いヘッドのわりには小ぶりということもなく、安心して構えられます。
ノーマルポジションの試打結果
打ってみましたが、ボール初速は68.3m/sと高い数字が出ました。弾道は若干右に出ているのと、打ち出しも17.7度と若干高めになっていますので、早速ウエイトを調整し弾道が変化するか検証してみたいと思います。
調整後の試打結果
弾道をストレート、打ち出しを少し低めにするために、5gのウエイトをヒール&フェース側に移動し試打してみました。
データからも分かるように、ボールがつかまりドローボールになりました。また、打ち出しも16.6度と抑えられましたので、ウエイトを調整したことで効果が見られました。
アマチュアゴルファー試打①
続いてアマチュアゴルファーにも試打してもらいたいと思います。
ノーマルポジションの試打結果
一人目のアマチュアゴルファーの方は、朝一のティーショットが左に行く傾向が強く、比較的左のミスが多いとのことです。
弾道データを見ると、ドローの良いボールではありますが確かに左にボールが飛んでいますので、これをなるべく真っすぐに飛ぶように調整していきましょう。
調整後の試打結果
つかまりを抑えるために、5gのウエイトをトゥ&フェース側に移動し試打してもらいました。結果、特にスイングなどは変えていないとのことですが、ノーマルポジションに比べ真ん中にボールが飛んでいることが分かります。
アマチュアゴルファー試打②
続いて二人目のアマチュアゴルファーの方に試打してもらいたいと思います。
ノーマルポジションの試打結果
二人目の方は、元々スライス傾向だったため引っ張って打ち続けた結果、今度は左へのミスが出るようになってしまったとのことです。
弾道データを見ると、強い球ではありますが左へ30ヤード以上と、確かに引っかけたような球になっていますので、ウエイトを調整し弾道を変えていきましょう。
調整後の試打結果
つかまりを抑えるために、5gのウエイトをトゥ&フェース側に移動し、さらに可変スリーブを調整してロフトを10.5度に変更し試打してもらいました。
左方向への打ち出しは若干抑えられましたが、さらに真っすぐに近づけるために今度は5gのウエイトを6gに変えて試打してもらいました。
結果、データからも分かるようにプルだった弾道がストレートに変わりました。ウエイトを調整したことで左へ引っ張る動きが軽減され、弾道が変化したと言えます。
番外編として、この方は元々の悩みがスライスということだったので、あえて5gのウエイトをヒール&バックフェース側に移動しつかまるポジションにして、スライスしないという安心感を与えてあげることで左に引っ張る動きを抑えられるか検証してみました。
結果、真ん中に着弾するドローボールになりました。ウエイトを調整することで、正しいスイング軌道を導き出すというフィッティングのアプローチもできそうです。
アマチュアゴルファー試打③
続いて三人目のアマチュアゴルファーの方に試打してもらいたいと思います。
ノーマルポジションの試打結果
三人目の方は、ティーショットで力が入ると極度のチーピンになってしまうのと、球が上がらないというのが悩みとのことです。
弾道データを見ると、確かに極端に低く左にボールが飛んでいますので、打ち出しも取れてセンターにボールが寄ってくるように調整していきましょう。
調整後の試打結果
つかまりを抑え打ち出しを取るために、5gのウエイトをトゥ&バックフェース側に移動し、さらに可変スリーブを調整してロフトを10.5度に変更し試打してもらいました。
まだ若干左傾向は残ってはいるものの、4.4度だった打ち出しが18.3度になり、球が上がるようになりました。飛距離ロスも軽減されていると思います。
【動画】『VATIC』を試打&解説
「VATIC GOLF」はどんなドライバーか?
スイングはなかなか一長一短に変えることはできません。その点、ウエイトやロフト・ライ角を調整することでゴルファー一人一人にとっての最適弾道を作り、最大飛距離や曲がらない真っすぐなボールを生み出すことができます。ヘッド一つでそれが全て調整できる点は『VATIC』の利点だと思います。是非皆さんに試してみてほしいですね。
【価格】
「タイプA」 7万2000円
「タイプC」 7万7000円
【問い合わせ・取扱店情報など】
公式サイト:
https://www.vatic-golf.com/
Facebook:
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Instagram:
https://www.instagram.com/vaticgolf/