今年10月に発売したKBS初となるウッド用カーボンシャフト『KBS TD』。
TDは「TOUR DRIVEN」(ツアードリブン)という通り、「KBSツアー」のフィーリング、パフォーマンスをそのままに、ツアープロやKBSユーザーから要望の多かったウッド用シャフトを開発。
「KBSツアー」の剛性分布を踏襲することで、安定した飛距離と方向性、そしてスムーズなフィーリングを実現。重量帯も40~80gと幅広いゴルファーを想定している。
今回はゴルフ5プレステージ広尾店で多くのゴルファーをフィッティングする岡謙二郎店長が『KBS TD』を徹底検証する。
『KBS TD』を評価する

まず、興味深いのは15種類のラインアップです。重量は40~80gと幅広く、フレックス表記が、カテゴリー1~5となっています。1はAフレックス相当、順に2=R、3=S、4=X、5=TXですが、同じ重量帯でもフレックスが変わるとキックポイントが変わる。
独特で、フレックス選びでゴルファーの思い込みが排除されるので、良い表記だと思います。
ワッグルした印象は?
国内メーカーのフレックス表示より硬いですね。フレックスという意味の硬さというより、シャフト全体の剛性曲線が1~2段階高い。そういう印象です。
まず、50g台のカテゴリー3を打ってもらいましたが。
まず感じるのはシャフト自体の硬さです。剛性曲線が高い位置にあるという意味で、典型的なアメリカ製のシャフトという印象。
といっても昔の「プロフォース」のような硬さの中に粘りがあるシャフトではない。シンプルに余計なことをしないシャフトです。これを基準に試打していきます。
次に同じ50g台のカテゴリー2です。「50-2」になると、キックポイントが「50-3」の「MID」に対して「Low/M」になります。少しだけ、シャフトが仕事をしてボールの捉まり度合いが出てきます。
「50-3」に対して「60-3」はどうですか?
「60-3」ですが重量感は感じますが、重量による硬さは感じません。ですが、重量による弾道の高低が出てきますね。
つまり、「50-3」も「60-3」もキックポイントは同じMIDで、一般的なシャフトなら、重量差で硬さの感じ方が増しますが、そうではない。そこが不思議なところです。これは「70-3」を試打してみても同じ印象です。
「50-3」「60-3」「70-3」で、何が変わりますか?
重量が上がると、シャフトの特性としてシンプルな意味で無駄な挙動のない棒のようなシャフトで、前へ前へとスイングのパワーが伝わる。
つまり、重くなると弾道が抑えられていく印象で、重量帯は弾道の高低に影響してくるということです。
カテゴリー表記はボールの捉まり度合いで選ぶ
そうなると、カテゴリーは何に影響しますか?
同じ重量帯でも、カテゴリーによってキックポイントが変わります。それはボールの捉まり方に影響していきますね。
そうなると、「70-3」(MID)より「60-4」(M/High)が、ボールが捉まらない?
そうですね。というより、カテゴリー4はX相当ということですが、一気に硬くなります。
総合するとカテゴリーと重量帯は比例しません。同じ重量帯でもカテゴリーが変われば、キックポイントの変化があるからです。それと『KBS TD』は、お助けシャフトではありません。
余計な挙動がなく球筋を微妙に調整するシャフトです。だから、PGAツアーでもニーズがあるわけです。
そうなると、どのようなフィッティングが必要ですか?
まず、お助けシャフトではないということを前提に、ヘッドの特性(捉まりやすい、左に行かないなど)を微調整していくシャフトと考えてください。
それを前提として、シンプルに余計な挙動をしないシャフト、重量による硬さを感じにくいシャフトなので、ゴルファーのフィードバックはシンプルになると思います。
いずれにせよ、硬さは分かりやすい。
そうですね。単純に重い、硬い、振り辛いが分かりやすい。そのようなフィードバックから、ヘッドの特性を加味しながら、重量は弾道の高低、カテゴリーはボールの捉まり具合でフィッティングしていくことおススメします。
『KBS TD』はどんなシャフトか

あまり小手先のフィッティングが通用するシャフトではないと思います。重量、カテゴリー、キックポイントが独特で、ヘッドの特性によって微妙に選択は変わってくる。
なので、フィッターの技量が試されるシャフトです。
[caption id="attachment_65117" align="aligncenter" width="800"]

試打データ[/caption]
その中で、ターゲットにしたいのは、どれだけ叩いても安定した方向性、飛距離が実現できるという点で、若くてパワーのあるゴルファーですね。
あとは、ヘッドは気に入っているけど、弾道を微調整したいゴルファーです。その意味で、これだけのバリエーションは幅広いゴルファーの繊細な悩みを解決しそうなシャフトですね。