昨今、スイートスポットの広がりを喧伝するドライバーが多い。その中にあって特に「芯で打たせる」ことに重きを置くのが『XXIO12』であり、『XXIO X』だ。
アマチュアゴルファーの癖を知り尽くし、それを補い、進化して辿り着いた。今回はギアの賢者・ソクラテス永井延宏プロが『XXIO12』と『XXIO X』を各モデル推奨のヘッドスピードで試打。そして、アマチュアゴルファーの陥りがちなスイングの癖に対する『XXIO12』『XXIO X』の効果を検証した。
[surfing_voice icon="https://gew-web.com/wp-content/uploads/2017/05/photo_nagai.jpg" name="永井延宏プロ" type="l big" bg_color="eee" font_color="000" border_color="eee"]1969年埼玉県生まれ。アメリカ・オーストラリアでの経験をもとに、グローバルな視野と独自のティーチングメソッドを構築。NPO法人ゴルフアミューズメントパークの理事として、ゴルフ市場の発展や指導者の育成にも携わる。2006年度レッスンオブザイヤー受賞[/surfing_voice]
“芯で打たせる”クラブ『XXIO12』『XXIO X』を徹底検証
※試打クラブ
『XXIO12』 ロフト角10.5度/Sシャフト(ゼクシオ MP1200)
『XXIO X』 ロフト角10.5度/Sシャフト(Miyazaki AX-2)
ヘッド、シャフトのデザインがクールになった『XXIO12』はグリップを含め高い総合力
永井「ヘッドデザインがクールになって明るくなった印象があります。シャフトのコスメも白が施され、芝に映えるカラーリングです。特徴として見えるのは、クラウンにある突起構造が、スイング中の切り返しで空力に作用するということですね。
やはり『XXIO』らしい、楽に球が上がって飛ぶと想起させてくれる安心できる顔。そして『XXIO12』はネック調整式ではないスッキリしたネック回り。フェース全体がヒール寄りに位置するように見えて、つかまりの良さ、トップブレードの形状による方向性の良さが想起させる。全体的に上手くまとまっているヘッドです。
また、グリップも握り心地が良く、そしてうっすらと握り方のガイドラインがあります。ゴルフクラブとしては大切な要素です。」
高弾道に加え低スピン、気持ちよく高くだけではない。前へ行く弾道の『XXIO12』
永井「割と撓りを感じやすいシャフトなので、切り返し部分でのタイミングに合わせて試打しました。少し重いヘッドが、ヘッド自体を遅らせたこともあり、少し右に打ち出しましたが、感じるのは何といっても低スピン感ですね。
HS44m/sで打った時に2200rpmほどなので、低スピンの要素が加わっています。重いヘッドと低スピン性能が『ゼクシオ』の新しい世界を見せてくれますね。
前作から踏襲されているウエイトプラステクノロジーが、スイングを身体に引き寄せて効率的なスイングに誘っている。総合的にみて、集大成モデルといえるでしょう。」
芯で打たせる『XXIO12』とアマが陥る余計な3つ切り返し

ここからはHSを『XXIO12』の対象ユーザーに合わせて試打を行う。永井プロは「芯で打たせる『XXIO12』」に対して、アマチュアがスイング中に陥る3つの余計な切り返しに注目。試打を行った。
無駄な切り返し動作で、球が上がり過ぎて飛距離ロス
多くのアマチュアを指導する際、「芯に当たらない」理由にスイング中の余計な切り返しがあると永井プロは指摘する。この要素が『XXIO12』『XXIO X』の機能性に関わると永井プロは注目。実際、『XXIO12』をトップからダウンスイングに移行する際の切り返し以外に、アマチュアゴルファーが陥る余計な切り返し3回を加えたスイングで試打を行った。
永井「まず、(1)スイングの過程で始動時に手で上げる、(2)トップでの切り返しで余計に抱え込む、(3)は(2)によって余計にクラブを外に放り出すように切り返す、(4)は(3)で外に放り出したクラブをインパクトで戻そうとする切り返しです」
要点は身体の動きとクラブが連動しているか否かと、余計な切り返しを防ぐことだという。そして、この切り返しに効果的なのが、「アクティブウイング」だという。実際に余計な切り返し3回を加えて試打をしたデータが以下。
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(1)『XXIO12』 HS36m/s前後 切り返し4回[/caption]
永井「HS35.7m/s でアマチュアの悪い癖を再現してみましたが、余計な切り返しと最後に手でヘッドを返すので、フェースが必要以上に上を向いて打ち出し角が17.5度。上がり過ぎて飛ばない結果です」
無駄な切り返しがないスイングで低HSならロフト多めを選択
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(2)『XXIO12』HS36m/s前後 切り返し2回[/caption]
そこで、『XXIO12』をHS36m/s前後で2回の切り返しで試打を実行。その結果は、打ち出し角の適正化によって、大幅に飛距離が伸びる結果となった。
永井「同じHSで試打したものの、切り返し動作が適正になり『アクティブウイング』の効果もあって、HSが少し増加。明らかに変わったのは12度と適正化された打ち出し角。2080rpmと低スピンで、総飛距離207.8やードまで伸びました。この程度のHSなら、少しロフト角も多めを選べば、低スピン過ぎず、飛距離もさらに伸びるはずです」
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アクティブウイング[/caption]
永井プロは、HSが遅めのゴルファーに多めのロフト角を推奨。低スピン性能を活かすために、ロフト選びの重要性も説いている。
手首の切り返しがない 3回、打ち出し角が足らず飛距離減に
次に、少しHSが速めのHS38m/s前後で試打。最後の手首の切り返しがない3回の切り返し。
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(3)『XXIO12』HS38m/s 切り返し3回[/caption]
永井「計測結果だけ見ると、ナイスショットですが、切り返しが3回とまだまだ無駄があることで、ヘッド入射角がダウンブローで、打ち出し角が少し低い。無駄な切り返しが1つ減れば、打ち出し角も適正化し、アッパーに打ち出します。結果として、飛距離は伸びますね」
先述の通り今回の『XXIO』シリーズには、トップからダウンスイングでのスイング挙動を安定させる「アクティブウイング」が搭載されている。その構造を意識して効果を発揮させるスイングをすることで、低HSでも飛距離は伸びると永井プロは力説する。
スムーズなスイングならHSも上昇し飛距離増
『XXIO12』最後の試打は、切り返し2回でスムーズなスイング。前回同様、HS38m/sのイメージだが、その結果が興味深い。
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(4)『XXIO12』HS40m/s前後 切り返し2回[/caption]
永井「スムーズな2回の切り返しで打つと、打ち出し角も15度と修正されてアッパーな打ち出しになりました。それに加えて、スピン量も2500rpm超と適正化され、バランスが良い弾道です。キャリーと総飛距離が伸びていて、『XXIO12』の性能を活かした結果となっています」
そして『XXIO12』を次にように評価する。
永井「アマチュアが陥りがちな切り返しの多いHS38m/s 切り返し3回スイングでも、『XXIO12』はスリクソンにも搭載されている『リバウンドフレーム』で厚いインパクトが機能してシッカリ飛んでいます。ですので、さらに『XXIO12』の性能を活かせる、少ない切り返しを意識してスイングすれば、HSも上昇して高弾道、そして前へ突き進む弾道になると思います」
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リバウンドフレーム[/caption]
完成度が高い『XXIO X』は、スムーズなスイング、現代的なスイングで自動的に芯に当たる。
「スリクソン」『XXIO12』との融合モデル『XXIO X』は弾道調整スリーブがスッキリ

『XXIO X』は今回から弾道調整スリーブ「QTSスリーブフィッティングシステム」を搭載。そして『XXIO12』の想定使用者より少し体力もスピードもあるゴルファーが想定使用者層になる。その点、永井プロは次のように説明する。
永井「『XXIO12』は仕事が忙しくて頻繁に練習場に通えないが、週末のゴルフでは『一発目からナイスショット』を求めるゴルファーが見えてきます。また、『XXIO X』のユーザーは『XXIO12』のユーザーと同じようにゴルフ熱が高く、それでいて体力があるゴルファーが見えてきますね」

そして、永井プロは続ける。
永井「今回の『XXIO12』『XXIO X』に搭載されている『リバウンドフレーム』はスリクソン由来の構造です。その意味でも『XXIO X』は、『XXIO12』と『スリクソン』が融合したモデル。
今回の『XXIO X』から初めて弾道調整スリーブが搭載され、ロフト角も±1度増減可能です。ですが、さすがの『XXIO』で、弾道調整スリーブを搭載しながらネック形状がスマート。接着式のクラブと遜色がない見た目は特筆に値します。クラブにこだわりがある人でも違和感なく構えられます」
ヘッド、シャフトのコスメも黒で締まった印象。意欲を掻き立てると永井プロは語る。それでは、『XXIO X』は『XXIO12』同様、切り返しに注意しながら、速めのHSで試打をした。
スタンダードなスイングに『アクティブウイング』が芯に当たるを後押しする
『XXIO X』の最初の試打は、想定ユーザーはスピードと体力があるゴルファーということで、スイング始動時に1回と、通常のトップからダウンスイング時の2回の切り返しで試打。
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(5)『XXIO X』HS42m/s前後 切り返し2回[/caption]
永井「始動時に右に一回切り返して、トップまでヘッドが行き、そこからクラブが遠回りせずに身体の近くをクラブが通ります。これは『XXIO』が過去取り組んできたことで、今回はクラウン部に配された『アクティブウイング』で、切り返しを安定させる構造です」
永井プロは身体の近くを通るスタンダードなスイング、そしてHS42m/s程度で試打を行った。
永井「切り返しが2回のスイングは教科書的なスイングで、その通りの結果になりました。HS41.9m/sで、身体の近くを通るスイングはインサイドからヘッドが向かい、且つ、アッパーにヘッドがインパクトを迎えます。結果、ヘッドの入射角と打ち出し角の関係性も適正化されて、低スピン性能が効果的に生かされています」
加えて、インサイドからの軌道でつかまるドロー系の弾道が実現。
永井「クラブの完成度が高いので、スムーズなスイングをするとオートマチックに芯でボールを捉えます。練習熱心なゴルファーには、成果が見えやすい。高評価です」
切り返し1回の現代的スイング 「アクティブウイング」が気づきを与えてくれる
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(6)『XXIO X』 HS45m/s前後 現代的スイング[/caption]
最後は『XXIO X』でHS45m/s、現代的なスイングで試打に臨んだ。永井プロが言う「現代的なスイング」とは、体幹でクラブを始動させ、トップでプレーンから外れる方向にクラブを1回だけ外す切り返し1回のスイング。
永井「ユーチューブ等でトレンドのスイングとなっています。手首でクラブを上げ始めることなく、体幹でテークバックを始め、トップでの切り返しでプレーンからクラブ軌道を外して、身体の回転でクラブを振るスイングです」
永井プロによれば、この「アクティブウイング」が切り返しの多いゴルファーに気づきを与えてくれるという。そこで、『XXIO X』を現代的なスイング、HS45m/sで試打してみた。
永井「トップからの切り返しの方向をガイドしてくれる『アクティブウイング』がありますから、それを信頼して振ってみました。
自分としては思い切りトライしてみても、しっかり芯に当たってくれます。弾道計測器での計測ですが、弾道が整っていてOBもなく、強芯しても安心感があります。その点はクラブトータルの完成度の高さ、そして現代的なスイングを想定した切り返しをサポートする機能の効果が発揮されていると思います。
やはり信頼感があるというのは大きいですね」
『XXIO12』か、『XXIO X』か。最初から決めずに両方打ってみることが吉!
永井「『XXIO12』『XXIO X』は共に完成度が高いので、初めから決めずに両方を打ってみると、『XXIO12』が合うと思っていたゴルファーが意外と『XXIO X』が合うということが起きそう。一回試打をしてみるべきですね」
「リバウンドフレーム」「アクティブウイング」「QTS スリーブフィッティングシステム」など、多彩な機能、そして性能は米国ブランドモデルにも負けないという。
食べず嫌いをせずに1度は12代目『XXIO』を打ってみるべきだろう。