シダスは45年間に及ぶ足裏研究の歴史、フランス足病医のバックボーンを兼ね備えた老舗インソールメーカーだ。
特にゴルフ専用インソール、『ゴルフ3D』(5390円)と『ゴルフプラス』(9020円)は、女子プロを中心に多くのプロゴルファーからも支持されている。
そこで、シューフィッターの神谷幸宏氏が最新の足裏計測器『スイングカタリスト・デュアル』を使って2モデルを検証。ゴルフスイングにもたらす可能性を2回に渡って徹底解説する。今回は2回目。
[surfing_voice icon="https://gew-web.com/wp-content/uploads/2017/05/photo_kamiya.jpg" name="神谷幸宏" type="l big" bg_color="eee" font_color="000" border_color="eee"]1987年生まれ。13才からゴルフを始め、ゴルフ場での研修生、元賞金女王のキャディ、トーナメント運営を経験。大学卒業後、ゴルフ工房でクラフトマン、シューフィッターとして活動。その後、地クラブメーカーを経て、2015年独立。現在はゴルフコーチ、シューズアドバイザー、クラフトマンなどトータルアドバイザーとして活動中。合同会社ジョイナー代表[/surfing_voice]
シダスインソール2種と純正インソールを足裏計測器で比較

今回計測に用いた『スイングカタリスト・デュアル』とは、PGAのトッププロが愛用する最新の足裏計測器だ。スイング中の左右の「足圧」に加え、足裏の「トルク(回転の力)」、「ホリゾンタル(横方向の力)」、「バーティカル(縦方向の力)」を、それぞれN(ニュートン)という数値で示すことができる。
ニュートンが大きいほど、足裏が効率良くエネルギーを出せていることになり、換言するとボールに力が伝わっているということになる。
今回は、プロ・上級者の神谷氏とアベレージゴルファーのGEW大矢の2名がテスターとなり、元から入っているインソール、『ゴルフ3D』、『ゴルフプラス』を順番に装着して検証を行った。データ画像は左が純正インソール、右がシダスのインソールを示している。なお計測には新品のシューズを使用した。
今回はGEW大矢の検証結果を詳報する。
【動画】シダスインソール2種を徹底検証~GEW大矢編~
まずは動画で検証結果を観てもらいたい。
純正vs『ゴルフ3D』
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画像7[/caption]
神谷 続いてアベレージゴルファーのデータも検証していきたいと思います。まずは『ゴルフ3D』との比較ですが、私に比べ非常に大きな変化が出ました。画像7の「ホリゾンタル」は純正の107Nに対して、『ゴルフ3D』は116Nと数値が多く出ています。
特筆すべきは、足圧の中心にある白丸で示した「センター・オブ・プレッシャー」の変化です。これは両足の圧の中心の推移を線で表しているのですが、純正は軌跡が上下に大きく動いており、円がいびつになっているのに対し、『ゴルフ3D』は綺麗な軌跡になっていることが分かります。
それだけ純正の方が足でバランスを取ってしまっており、『ゴルフ3D』の方がしっかり足がはまった良い状態でスイングできているということになります。
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画像8‐1[/caption]
私がもう一点注目しているのは、画像8‐1のトップの足圧の比較です。純正の方は完全に右足の踵が消えてしまっていますが、『ゴルフ3D』はしっかり踵がついていることが分かります。
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画像8‐2[/caption]
また、ダウンスイングからインパクト直前の画像8‐2を見ると『ゴルフ3D』の方はしっかりと左足の踵で踏めているのが分かります。純正インソールは軟らかいタイプだったということもあり、つま先体重になっています。この状態だとしっかりと体を回すことができないので無理な動きになりやすいです。
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画像9[/caption]
その証拠に、画像9の「トルク」を見ると、純正35Nに対して『ゴルフ3D』が57Nと、かなり差が出ていることが分かります。踵にしっかりと乗れたことで回転の数値が出たのだと思います。
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画像10[/caption]
続いて画像10の「バーティカル」ですが、正直、何でこんなに変わっちゃったんだろう、と思うくらい変化が出ました。純正の852Nに対して『ゴルフ3D』が1215Nと大きく変化しています。インソールだけでこれだけの変化が得られるというのはアマチュアゴルファーにとってかなりメリットだと思います。
純正vs『ゴルフプラス』
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画像11[/caption]
神谷 次に『ゴルフプラス』ですが、画像11を見ると「センター・オブ・プレッシャー」の軌跡が『ゴルフ3D』よりもさらに小さな円で、直線に近くなっているのが分かります。純正に見られた前後左右のぐらつきが消え、安定したスイングになっています。
「ホリゾンタル」も118Nと、純正に比べて数値が出ているのと、前述したボールと逆方向にかかる横の力を示した「MAX Front」のデータも171Nと、『ゴルフ3D』の99Nよりも多く出ています。つまり『ゴルフプラス』の方がスウェーも抑えられていると言えます。
それと、足圧を見ると左足の踵もしっかり踏めていることが分かります。純正の方は踵が消えてしまっているので、それだけつま先で踏ん張っているんだと思います。
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画像12[/caption]
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画像13[/caption]
ほかにも画像12の「トルク」は55N、画像13の「バーティカル」は1105Nと、こちらの2項目も純正に比べて数値が出ていました。
アマチュアゴルファーこそインソールが重要になる
神谷 以上、私とアベレージゴルファーの大矢さんのデータを2回に渡って検証しましたが、プロや上級者に比べてアベレージゴルファーの方が数値の差がはっきりと出たことが分かったと思います。実際のラウンドはほとんどが傾斜地からのショットになるので、さらにパフォーマンスに差が出てくると思います。
実は大矢さんの場合、純正インソールから『ゴルフ3D』や『ゴルフプラス』に履き替えた時に、最初はうまくボールに当たりませんでした。これは当然のことで、足元が変化したことで、上半身の動きも変わってしまうので、最初は当たらない場合もあります。
ただ、これは悪い状態の足を使ったスイングに慣れてしまっているだけなので、私は足元を良い状態に整えた方が早く上達すると考えています。
純正インソールは軟らかいものが多く、一見履き心地が良いように感じるのですが、実は豆腐や砂浜の上でスイングしている状態と同じ。それよりもインソールをカスタムして、しっかり感を出してあげることで振りやすくすることが重要だと思います。
インソールは足裏に直接接するパーツですので、数値に差が出ることももちろんですが、ラウンドが続いた時の疲れにくさや疲労回復にも関係してきます。『ゴルフプラス』の方は熱成形でそれぞれのゴルファーに合わせた微調整もできるので、さらにパフォーマンスアップに繋がりそうです。ゴルファーもインソールに目を向けてほしいですね。
今やクラブのフィッティングとカスタムは常識となりつつあるが、シューズに関してもインソールをフィッティングしている店が増えてきている。この流れが定着すれば、シューズの機能アップにも寄与できるためゴルファーにもメリットがある。インソールは健康商材でもあるので、今一度その重要性を見直す必要がありそうだ。