米ブレークスルーテクノロジー(BGT)のウエッジシャフト『ZNE』(ゾーン)が日本に上陸する。
米BGTといえば、カーボン素材とステンレス素材を繋げたパターシャフト『スタビリティーシャフト』が日本市場で一世を風靡した。
今回の『ZNE』は『スタビリティーシャフト』と同様に、無駄な撓り、捻じれを軽減して方向安定性が抜群というのが最大の特長だ。
それ故、『ZNE』はゾーンと読み、ボールが一定のゾーン(スペース)に集まることを意味する。
ラインアップは重量帯で130、115、90の3タイプでフレックスは各1種類。
今回は、ギアの賢者・ソクラテス永井延宏プロがテストする。
まずは動画で
永井延宏プロの試打インプレッション
永井 通常、ウエッジシャフトはティップ側とバット側に負荷がかかるので、その部分を硬く作るというのが定説です。結果、ミッド部分は軟らかくなると言いますが、『ZNE』の場合は、そのミッド部分を補強して、シャフトに無駄な撓りをさせない構造です。
その点に注意しながら打ってみたいと思います。
『ZNE115』(58度)試打インプレッション
永井 持った印象ですが、通常のシャフトではミッド部分でシャフトの一体感が一度切れるのですが、『ZNE』の場合は中央部の連結部分で一体感があって、中央部を握ってヘッドの近い位置でクラブを操作できるイメージです。結果、ヘッドを近いところで操作するので、小さな動きでスイングできるという意味では操作性は高いと言えますね。
打ってみると手元の一体感は感じられ、ヘッドがスイングに付いてくるイメージ。それに加え、ヌンチャク的にヘッド側のシャフト部分の構造で、シャフトが動いてくれます。
ここが重要で、シャフトがスイングによって撓るのではないですね。あくまでもシャフトの構造自体でシャフトが動きます。
この点は最近のUSPGAツアープロの動きと合っていて、体でリードする動きと、自分でヘッドをボールに向かわせる動きの分離に合っているシャフトです。
つまり、初級者はクラブを撓らせようとしますが、クラブは撓れば安定しない軌道になりがちです。それを近代的なスイングでは、体の動きとクラブの動きを分離させて、様々なショットバリエーションを安定的に生み出しています。
スイングで撓りを作らず、シャフトが動く。その違いが分かりやすいシャフトで、だから安定的なクラブ挙動になり、ボールの落下地点が凝縮されるというシャフトだと思います。
『ZNE90』(58度)試打インプレッション
永井 90gのシャフトになると、やはり軽くなりますからシャフトのカーボンシートの積層はより薄くなります。
バット側、ティップ側の両方が薄くなり、撓りではなく、シャフトの構造によるシャフトの動きが少し増幅されますね。そういう意味では、『ZNE115』と比較して、全体的にシャフトが動く感触です。
打ってみると、やはりシャフト自体が動くので、撓るという感触も出てきます。この『ZNE』はフレックスがなく、重量帯で分かれていますから、その点で重量帯によって連結部分の仕事の意味が変わってきますね。
『ZNE90』だと、全体的に撓りを感じますから、体の左側が少し軸になって止まるスイングになります。その意味では入射角は少し緩やかになって、球が上がる弾道になりますね。
総評
永井 全体的には設計の意図と、ゴルファーの技術のマッチングが、分かりやすく感じられるシャフトですね。特に米PGAツアー選手のウエッジワークに合っており、そのような現代的なスイングに合っていると思います。
そして打感ですね。カーボン特有で、インパクトでのパーンという打感が、スイングがフィニッシュを迎えた時には手元で消えています。それがカーボン特有の心地良さで、違う言い方をすれば、無駄な振動が伝わらないので、クラブが暴れている感じがしないと言えるでしょう。
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