ルール限界の反発性能を追求するパーツブランド「メタルファクトリー」から新モデル『A10-STR-』ドライバーが登場。他に類を見ないコスメで、ヘッド反発係数を全量計測、SLEルール上限ギリギリとし、飛距離も徹底的に追求した工房専用モデルという位置づけになる。ティーチングプロで整体師の資格を持つ常住充隆氏がトラックマンを用いて『A10-STR―』ドライバーを検証する。
まずは動画で
『A10-STR-』第一印象は?
常住 先ず目を引くのが、鏡面研磨加工にイオンプレーティングを施した独特のカラーリング(スカイブルー、コスモブラックの2種類を用意)。金属素材の魅力を最大限に活かして、メッキや塗装では表現できない深みのある色彩を贅沢に表現している点が特筆されます。
ヘッド体積は460cc、フェース面はスクエアに見えます。形状的には投影面積をやや抑えた綺麗な丸型ヘッドですね。ソール部へ目を向けてみますと、トウ側へ比重の軽い『カーボンプレート』、ヒール側には比重の重たい『ステンレスウェイト』を装着しており、トウ&ヒールで10gの重量差を出す事により、ヘッドバランスを適正化。球のつかまりもよさそうです。
トラックマンを使って『A10-STR-』ドライバーを検証
常住 トラックマンの測定値をみていきましょう。非常に良い結果が出ていますね。対象HSの40前後で振ったところ、ミート率は1・47、ボールスピン量2470回転、打出角13・7度。最適弾道でキャリー210・3Y、ランを含めた総飛距離は219・4Yを記録。「低スピン、中弾道でトータル飛距離が出る」点が評価されます。
球のつかまりも良く、『A10-STR‐』は前作『A9-SKY-』よりも投影面積と慣性モーメントを抑えて浅重心化を図っていますが、それが数値として表れています。
スピン量、キャリーの安定に加え、ミート率1・47というインパクト効率の高さは、現代的なヘッドの作りこみが反映された証。 「ポテンシャルの高いヘッド」というのが、データを見ても明らかです。
また、『A10-STR‐』は、芯と反発するポイントが一致するよう設計されています。これにより、最適なヘッドターンと、インパクト時のオフセンターヒットにおいても、ヘッドのブレによるフェースのゆがみを軽減。厚いインパクトの感触が得られたのも納得で、打ち出されたボールの方向が、構えた方向からズレにくいヘッド性能といえます。
総括
常住 『A10-STR-』のヘッド形状は、オーソドックスでクセがありませんから、あらゆるタイプのゴルファーに合わせやすいヘッドといえます。 ただ、どちらかというと、プロ向けというよりも、アマチュアゴルファーのスイングにマッチしそうです。そのことは重心高にも表れており、35・4ミリと低重心化しすぎない設定で、ある程度スピン量が得られる設計です。
つまり、HS40前後のアベレージゴルファーが打った場合、放物線を描く弾道で落下時までスピンが解けずに伸びていく、いわゆる滞空時間が伸びる球筋が出やすいということです。
今回、私が試打したのはロフト角10・5度ですが、HS38・2で初速56・1を叩き出すヘッドは稀有。『A10-STR-』はパーツブランドですので、シャフトの組み合わせと長さのバリエーションにより、さらに飛距離を伸ばすことができると思います。
フィッティングの際は長さ、重さに加え、シャフトをアレンジすることによって、クラブを変化させるといいでしょう。つまり、フィッターの腕が試されるということで、「味」をどんどん出していける。そういう意味で『A10-STR-』はオンリーワンを作ってあげやすいヘッドといえます。
さらに新モデルでは、藤倉コンポジットと共同開発した専用シャフト『MURAKUMO-KANATA-』に加え、ロフト、ライ角、フェースアングルの調整が可能なスリーブ(コネクタシステム)を単体パーツとしても販売。ユーザーのシャフト選択の自由度を拡げています。
個人的にはブルーのカラーがお薦めです。ヘッド性能は「優等生」なのに、ちょっと突っ張ったところが男心を燻りますね。そして、他と被らないクリアメタルの輝きは「所有感」があり、唯一無二の存在といえます。
やはり、メタルファクトリーの魅力というのはひとつひとつのモノ作り、丁寧さに集約されると思います。出来上がったヘッドの全量検査やCT値をルールギリギリの250μsに設定するこだわり‥‥。手のかけ方は、パーツメーカーでもトップクラスですよ。