レーザー距離計の専門メーカー、BOYA帆谷はゴルフ用レーザー距離計の新製品『R‐TWO』(1万7800円)を発売した。既に発売されている『R‐ONE』はECを中心に好調だが、今作はレーザー距離計の初心者や、競技志向のゴルファーに使ってもらえるよう「直線距離」を重視したという。
そこで、距離計マイスター「くわっきー」こと桑木野洋二氏とゴルフタレントの宇水遥佳さんがゴルフ場で2モデルをテスト。徹底解説する。
【動画】『R‐ONE』『R‐TWO』をくわっきー&宇水遥佳がテスト
2モデルをゴルフ場でテスト&徹底解説した動画を観てもらいたい。
コスパは抜群に違いない

桑木野 今回紹介するのは、「BOYA帆谷」のレーザー距離計の新製品。中国のレーザー製品大手、NORM社傘下で、レーザー墨出し器など精密測定工具に多数の実績がある中国メーカーであり、その日本法人から発売されているコスパの高い新製品と聞いていた。
以前、他の媒体でテストしたメーカーだったので、低価格にも関わらず十分な性能を持っていることは認識していた。ただ、「コスパに優れた、というだけでは深みがないなあ、どのように表現していったら良いのだろう」と悩んでいた。事前にもらった資料を見ても的確な表現が見つからなかった。
撮影前の打ち合わせが始まる。メーカーからは日本法人のお二人が来場され、社長の李さんの流ちょうな日本語で製品説明が始まった。「弊社は元々中国でOEM生産が中心だった」と言う。以前私が使っていたコンパクトな機種も「実は弊社が製造していました」と聞いて驚いた。
一気に「BOYA帆谷」という会社への興味が沸いてきて、ここからは質問攻め。李さんが自分の言葉で丁寧にわかりやすく説明してくれて、開発に携わってきたことがわかった。長年、メーカーの広報を務めた筆者は、自分が関わってきたことを伝える言葉と表面的なPRだけの言葉の重みの違いを実感してきた。李さんの言葉には、本物の開発者の「熱」が感じられたのだ。

特に響いたのが、高低差を加味した推奨距離をセンターに配置せず、直線距離を中心に据えるこだわりだった。「ゴルフは天候や状況によってショットの内容が変わります。まず直線距離を認識して、そこから状況に応じて加味して欲しい」と言う。
なんとも筆者が勤めてきた日本の老舗クラブメーカーが言いそうな、ゴルフに真摯に向き合った「熱い思い」に心を打たれた。これまで当たり前だった推奨距離から直線距離を引き算する発想から、直線距離を軸にゴルファー自ら足し算する発想の転換。ゴルファーのことを深くリサーチしているなと感心し、ゴルフ愛を感じた。
さらに、新製品の『R-TWO』( 1万7800円)は性能を発展させながらシンプルに機能を集約させて、女性やエントリー層にも使いやすい製品にしているという。
自らのブランドのポジショニングを正確に理解し、製品に反映させる考え方。これまで筆者がイメージしていたコスパの高さを売りにする中国メーカーの中の一つという認識が恥ずかしく、とても失礼だったなと反省した。ものつくりに携わってブランディングに興味があり、長く日本の高級ゴルフクラブメーカー2社に勤めてきた筆者が、心を揺さぶられた「BOYA帆谷」というメーカー。ますます実際にコースで使ってみたくなった。
スピード計測&赤色表示の『R-ONE』
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R-ONE[/caption]
桑木野 この日は、千葉セントラルゴルフクラブのCコースを利用させてもらった。1番ホール、374ヤード、PAR4。レディースティは60ヤードほど前方にある。
共演は宇水遥佳さん。どこか知的な美を感じる女性だった。帰宅後に検索したところ、モデル、そして「ミセスSDGsジャパン初代グランプリ」とあった。現在もSDGsの活動を積極的に行っているという。趣味はゴルフ、旅行、食べ歩き。お話していると最初の直感は当たっているようで、すごく知的なバイタリティに溢れた女性だった。
そんな宇水さんに事前に確認したところ、ドライバーは上手く当たったら200ヤード近くまで飛ぶとのことだったので、同じレギュラーティを使用することにした。
ティーイングエリアに立つと、左右の大きなバンカーが目に飛び込んできた。すかさず、この夏に手に入れた左腕の『ガーミン アプローチS70』のコースレイアウトを確認する。この撮影のためにレイアウトされたのではと思うくらいに、200ヤード付近の手前左に大きなバンカー、右の前方には縦長のバンカーが配置されている。
スタートホールのティーショットは捕まえきれずに右に弱々しいスライス球を打ちがちな筆者にとって、すごく気になるバンカーの位置だ。宇水さんの飛距離と左のバンカーも微妙だ。二人同時にそれぞれ左右のバンカーの手前付近までの距離を計測する。

今回テストする2機種のうち、まずは市販されている『R-ONE』を使用した。ネットショッピングで1万3800円という驚きの価格で販売されているモデルだ。
右バンカー手前を狙って、上部に2つあるボタンのうち手前の赤いボタンを押す。するとすぐにブルッと震える。資料にあった約0.2秒での計測は過大表現ではなさそうだ。確かに速い。これならプレイ中もノンストレスに違いない。
さらに驚いたのは文字の表示が赤色なのだ。低価格帯の商品では珍しい。老眼の筆者は、以前から黒文字よりも赤文字のほうが鮮明で見やすいと感じていた。李さんによると、その赤文字もLCD本来の黒を赤に変換させているという。技術的な話で難しそうだが、これにより赤文字でも目にやさしいそうだ。
そしてこだわりの真ん中に直線距離の表記。やや打ち下ろしのホールで感覚的に距離を把握することが出来た。
ここで奇跡が起こる。右のバンカーには200ヤードで入ることを確認した筆者が1球目で230ヤード付近の吹き流しとバンカーの間に計算されたようなナイスショット! 続く宇水さんは、左170ヤードで入るバンカーを避けるようにゆるやかなフェードボールで180ヤード超えのナイスショット!
なんと2人そろって撮り直しなしの一発OKだった。驚いた。事前の『R-ONE』での計測がノンストレスで正しい情報をインプットできたのが良かったのだろう。「BOYA帆谷」との相性が良いのかもしれない。
直感的に使える新機種『R‐TWO』
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R-TWO[/caption]
桑木野 セカンド地点では、発売直前の『R-TWO』を使用した。性能をアップさせながら、機能を絞り、女性や初めてレーザー距離計を使うゴルファーが直感的に扱えるように考えられたモデルという。『R-ONE』では3分でわかる説明書だったのが、『R‐TWO』では1分でわかる説明書に変わっていたのも洒落が利いている。
ひと回り小さく(97.2×65.5×35.4㎜)持ちやすい。軽量で(135g)シルバーのボディがスタイリッシュだ。競技対応でボタンが緑に光るから、シンプル機能はアスリートにも向いている。

フロントエッジまでの距離を測る。すぐにブルッと震える。この機種も速い。そして事前に李さんに教えてもらった「ピンロック機能」を試してみる。
ピンに当てた時に、どうしても奥の木を計測してしまうことがあるので、各社が工夫して手前のピンフラッグを検知して正しく計測する機能をつけている。ピンフラッグ方向に照準を合わせ、ボタンを長押ししながら本体を左右になぞるような動きをさせると手前のピンフラッグを検知するのが一般的だが、『R‐TWO』はくるくると円を描くと良いそうだ。
フラッグの周りを動かすだけだから、小さく自然な動きになる。技術的には、これまでの横方向の検知から90度向きを変えて、ピンを含めて検知し、より速く正確な計測が出来る仕組みにしたそうだ。なかなか表には出ない細部の変更のように感じるが、発想の転換でものすごく進化した技術の印象を受ける。開発者スピリットだなと感心した。
2モデルを総括
桑木野 筆者が感じた「BOYA帆谷」の『R‐ONE』・『R‐TWO』の魅力と優れている点を3つ挙げてみる。
・長年の実績と開発ポリシー
・高コスパと括れない高性能
・ゴルファー目線の発想力
正直なところ、驚かされ続けた今回の撮影だった。前日までの低価格でそこそこの機能を持った高コスパの中国ブランドのひとつ、というイメージを見事に覆させられた。メーカーには本当に謝らなくてはいけないレベルの理解だった。メーカーの方から、ものつくりのスピリットを直接聞き、感じることができたのは本当に嬉しかった。
筆者は、これまでも距離計の二刀流のパートナーとして、レーザー距離計はコスパ重視で良いのではと思っていたが、「お手頃な価格」では一括りにできない、ものつくりにこだわっているメーカーがあることを認識した。「BOYA帆谷」が、この先どのような発展を見せるのか楽しみなブランドとなった。
宇水遥佳さんコメント

宇水 まず2機種とも計測スピードが速いことに驚きました。特に『R‐TWO』はコンパクトでとても軽く、女性が片手で持っても何のストレスもなく手で包み込めるので、エンジョイゴルファーにもおススメな機種だと思います。
2機種とも防滴・防塵機能、タイプC充電に対応になっているのも嬉しいです。これまでレーザー距離計というと大きくて機能が複雑で難しいと思っていたのですが、今回の2機種を使ってみてイメージが変わりました。