埼玉県新座市に今年8月、新たな工房が誕生した。ゴルフスタジオNEWSEATだ。埼玉県朝霞市の有名店で13年間、現場と経営に参画していたフィッター兼クラフトマンの枝松和健氏が独立し、自らの城を作った。その枝松氏を頼ってきたのが60歳男性のA氏。ゴルフ歴は長いが100切りゴルファーで、バンカーが大の苦手。ただ、キャディバッグから顔を出すヘッドがカッコよくなければ満足しないという御仁で、バンカー専用ウエッジを好まない。原因はダウンブローが強いこと。そこで薦めたのが、幅広ソールの本格派ウエッジとグニャグニャの練習用シャフト。バンカーは攻略できたのか?
アプローチが苦手なゴルファーに「ハイバウンス」は難しい
これまで数多くのゴルファーの悩みを解決してきた枝松氏だが、スコアを左右するアプローチショットで、ボールをすくうゴルファーが多いという。
「ボールを上げたい意識が強いのだと思います。それ自体は仕方ないですが、そんなアプローチが苦手なゴルファーにはハイバウンスのウエッジが良いと言われます。逆だと思いますね」
枝松氏によると、ハイバウンスのウエッジは打ち込んだ時にバウンスが地面と接触してリーディングエッジが刺さらずにヘッドが抜ける利点があるが、
「ボールをすくうゴルファーは、手首を使ってボールを拾おうとしてフェースが上を向く。その時にハイバウンスだとリーディングエッジがボールの赤道部分に当たりがち。トップするので、アプローチが苦手なゴルファーにハイバウンスは効果的とは言えません」
この傾向の逆をいくのが今回のA氏だ。ゴルフ歴が長くスイングはダウンブロー。バンカーでも上から打ち込んで入射角が強すぎボールが出ない。だからといってバンカー専用ウエッジはカッコ悪いので使わない。
そこで提案したのがラズルダズルの『CS-07W・W』(ロフト角60度)と藤倉コンポジットの練習用シャフト『MCIプラクティス』だ。
入射角を減らしてハンドレイトで打たせる

ゴルフ歴の長いA氏は、昔のゴルファーに多いダウンブローが強いスイング。
「おそらく、入射角が6〜7度あったと思います。なので、バンカーでは砂にヘッドが潜って砂と一緒にボールを飛ばせない。それとお助けウエッジが嫌いなので、本格派ブランドの幅広ソールウエッジを提案しました」
それがラズルダズルの『CSー07W・W』(ロフト角60度)。このウエッジは地クラブの中でもソール幅が広く、ソール中央部は約24㍉。通常のウエッジより3~4㍉幅広く、バウンスは13度。重心も深く、ヘッドが上を向きやすい。お助けウエッジの要素満載だが、バックフェースは本格的なデザインだ。
それに合わせたのが藤倉コンポジットの練習用シャフト『MCIプラクティス』。安定したスイングリズムを調整するための練習用シャフトで、大きくしなる。
「このシャフトとヘッドの重量(約300g)もあって、大きくしなってシャフト軸線をヘッドが追い越してインパクトを迎えます。入射角も2~3度に減って、バウンスの効果もあり、ボールを拾うことができるようになりました」
スイングとクラブ 機能と見栄を見極める

今回の組み合わせで、
「バンカーから脱出できるようになったと聞いていますから、フィッティングは成功だと思います」
とはいえ、A氏ならではで、
「技量にあったクラブを使うというより見た目の良いクラブが好きな方なので、バンカーから脱出できるようになっても、スコアが大幅に縮まったかといえば、そうではないと思いますよ(笑)」
枝松氏によると、A氏のように自分のレベルに合わないクラブを使っているゴルファーは意外に多いという。
「基本的には、スイングに出来る部分はスイングで、それ以外はクラブで課題を解決するというのが私の考えですが、好きなものを好きなように使ってもらうのも良いと思うんです」
理由は地クラブユーザー独特らしい。
「特に地クラブを好んで使っているゴルファーは、同伴競技者に『いま何を使っているの?』と聞かれることが多い。だから見た目や見栄も大事なんです」
そのあたりの微妙なゴルファー心理に思いを馳せてクラブを提案する。それも工房の職人技といえるだろう。
メーカー担当者コメント
ラズルダズル 阿部歩氏
「当社ウエッジの中では一番ソール幅が広い設計なので、エクスプロージョンは大きい反面、スイープにスイングするゴルファーには難しいウエッジになるかと思います。その点を逆手に取ったグニャグニャの練習用シャフトとの組み合わせは、面白いと思います」
NEWSEATとは
〒352-0024
埼玉県新座市道場2-5-2 1F
TEL:048-203-6679
FAX:048-203-6489
https://gs-newseat.com/
なお、この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年10月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。