マイカスタム第30回【リメイクショップ田奈加】93歳生涯最後のクラブは高反発と51gの硬めシャフト

マイカスタム第30回【リメイクショップ田奈加】93歳生涯最後のクラブは高反発と51gの硬めシャフト
東京都練馬区で開業35年のリメイクショップ田奈加。田中晃社長は、ゴルフ雑誌が企画した工房開設スクールの門を叩き、その2号店としてオープンした。この道30年以上になれば、クラブを作ったゴルファーも幅広い。今回の悩める相談者は93歳のヘビーゴルファーA氏。週4回のプレーで、月2~3度来店していた。ドライバー飛距離は140ヤードほどだがHSは37m/sと驚異的。「もっと飛ばしたい!」と、生涯最後のクラブを求めた。

軽いシャフトは軟らかいとは限らない

工房歴35年の田中社長。一般のアマチュアゴルファーを間近に見てきた史観から、最近のゴルファーについて、 「競技志向の人が少なくなった気がします。それでクラブにこだわらない、クラブを勉強しないゴルファーが増えました。例えば『軽いシャフトは軟らかい』『軟らかいシャフトはやさしい』と思い込んでいたり……。シニアには振り心地が良いかもしれませんが、球が上がり過ぎて飛ばないケースも見られます」 これにあてはまるのが今回のA氏。93歳で週4回プレーのヘビーゴルファー。スコアは80前後の練達者だ。フェアウェイウッドとアプローチでスコアをつくるが、ドライバーの飛距離が140ヤードほどで悩んでいた。使用クラブは一世を風靡したプログレスの『BB4』と33.5gの超軽量シャフト。田中社長によると、 「まず、シャフトがHSに対して軟らかすぎてヘッドが遅れる傾向があった。それに加え、軽すぎるクラブだから手打ちになっていたようです」 その結果、芯をとらえてもフェースが上を向き、球が上がり過ぎて飛ばない。もしくはフェースが開くとスライスになり、飛距離をロスしてしまう。 そこでロフト11度だった『BB4』を10度に調整。さらにシャフトは、アーチの『ナチュラル9CELESTE』のフレックス24、重量51gを提案した。

シャフトを少し硬く 総重量9.5g増で飛距離増

もともとクラブの軽さが原因で手打ちになっていたA氏。軟らかすぎるシャフトで打ち出し角が高すぎた。 「そこで『ナチュラル9CELESTE』のフレックス24を提案しました。これは安定感がウリのシャフトで51g。シャフトが重くなって手打ちが治り、硬くなったことで振り遅れがなく、スクエアにインパクトを迎えられる。ヘッドには高反発加工を施しました」 ロフトも1度立てた。それによってスクエアにインパクトでき、ミート率が向上。高反発加工で更に飛距離が伸びる要素を追加したという。 「シャフトを変えて17.5g増、高反発加工で8g減、±9.5増で、飛距離も200ヤードまで伸びました」 なんと、93歳にして60ヤードもアップ。夢の200ヤードを達成した。 グリップもエラストマー製からコードが半分入ったゴム製に変更。 「少し硬く重くなったクラブをしっかり握って振れるグリップです」 これによりボールにヘッドをしっかりぶつけるスイングになったのも、飛距離が伸びた要因だという。

転がして距離を稼ぐ シニアには硬めを推奨

田中社長はいつも、 「シニアゴルファーには、少し硬めのシャフトを提案しています。加齢でヘッドスピードが遅くなるとボールが上がらない。その反動で、ボールを上げようと軟らかいシャフトを勧めるケースも見られますが、ボールは上がるけど飛距離が伸びないことが多い。ならば、ランで距離を稼ぐセッティングが良いと思います」 A氏の場合、打ち出し角は10度以上低くなり、ライナー性の弾道で60ヤード以上も伸びたことになる。 田中社長によると距離が伸びた理由は他にもあるという。 「ゴルファーは、シャフトが少し硬くなったり、重くなれば、真剣にスイングすると思うんです。その真剣さが飛距離アップにつながるはず」 クラブと使い手の真剣勝負――。   93歳のA氏は今春他界されたという。生涯最後のクラブ選びは真剣そのもの。人生の終幕を満足して迎えられるところにも、工房マンは深く関わっている。

メーカー担当者コメント

HopeFul CEO 浅井淳一氏 「特にシニアは身体の可動域が狭くなり手打ちになる傾向が強く、軟らかいシャフトだとクラブが動きすぎてインパクトが乱れがち。そこで、シャフトを少し硬くするために『ナチュラル9CELESTE』(24)を選んだのだと思います。当社のシャフトは全般的に数値より軟らかく感じやすく、カウンターバランスという特徴が、重く硬いシャフトにリシャフトしても、振りやすくなり、飛距離が伸びたのだと想像できます」

リメイクショップ田奈加とは

〒179-0083 東京都練馬区平和台4-1-1 漆原グリーンマンション 電話番号: 03-3931-4416 なお、この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年11月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。