工房探訪 屋内店舗からプレハブで客増 ゴルファーの機微に寄り添う ゴルフスクエア ジャスト 社長 水野潤二氏

工房探訪 屋内店舗からプレハブで客増 ゴルファーの機微に寄り添う ゴルフスクエア ジャスト 社長 水野潤二氏

輸入商からクラフトマンへ 並行輸入に翻弄されて転身

神奈川県平塚市。東名高速道路・秦野中井ICから車で10分。ジャンボリー平塚ゴルフ練習場内で営業するのが、「ゴルフスクエア ジャスト」。駐車場の片隅のプレハブ店舗でゴルファーに対応するのが水野潤二社長だ。 「私はもともとゴルファーじゃないんですよ」 藪から棒に話す同氏は、高校卒業後に米国へ語学留学。その後、米国ブランドを中心にネット販売を行うフェアウェイゴルフに就職。2年間の勤務の後、1997年に帰国。米国ブランドを中心としたゴルフ用品の個人輸入を続けながら、元ミズノの喜多和生氏の弟子が経営する「ジャスト」に就職して弟子入り。ところが1年で師匠が退社。1999年に「ジャスト」を引き継いだ。 「帰国してから1年ほどで、輸入商材は過当競争に陥って、さらにジープ(現ジーパーズ)などの出現で利益が出なくなりました。それもあり『ジャスト』一本に絞って、いまでは20年になります」 外資ブランドなど、並行輸入の競争激化に商売を左右された。それで、もともと「ジャスト」はリペア店だったこともありパーツに注力した。 「当初は、パーツに詳しくなくてジオテックのパーツばかり売っていました。その後、取り組んだのがクルーズゴルフでした」 以後、アキラプロダクツ、中条、ロマロなどを取扱い、現在ではヘッド10ブランド、シャフト10ブランドと、多くのパーツを販売している。ところが1年前に、練習場の経営者が変わって、同店は練習場の建物から駐車場の片隅へ移動。それが功を奏しているという。

駐車場のプレハブで見える売場へ入りやすい工房で顧客増加

「ジャストを引き継いだ当初は入りにくい工房だったので、試打クラブを打席にいるゴルファーに貸して歩いた時期もあります。それで、新規のお客さんに繋がったこともあったんですけどね(笑)」 そんな事が長年続いたが、1年前に駐車場のプレハブ店舗へ移動。スライド式のドアと窓は透明なガラスで、工房の中が見えてゴルファーが気軽に入りやすい店舗になったという。 「だから、ゴルファーのたまり場になっています。その効果でお客さん同士が友達になって、組んだクラブを貸し借りして試打しています。だからか、購買率が高まって昨年は売上が増えました」 さらに、月6回程度、別の練習場で出張グリップ交換会を開催。そこからの来店客の増加もあるが、もうひとつ棚からボタモチ的に来店客が増えているという。 「練習場の経営者が変わって、ゴルフパートナー(GP)が練習場内にオープンしました。GP目当てのゴルファーが、来てみたら駐車場に工房がある。それで客数が増えている可能性はありますね」 プレハブの外に試打クラブで満杯にしたキャディバッグを1本置く。「いつでも打てますよ」とPRすることで、常連客は100人程度に増えた。ほとんどが地クラブユーザーで、 「やはり、地クラブは反発係数ギリギリに設計されているモデルが多い。飛ぶというより強弾道で、それが当店の顧客がヘッドやシャフトを選ぶ基準になっています」 取材時に居合わせた常連客も、弾道の強弱でクラブの善し悪しを判断する様子が伺えた。 それらの常連客に提供される水野氏のフィッティングとは?

オーバースペックなら振りすぎないから安定する

水野氏のフィッティングは昨今の軽量クラブでヘッドスピードを上昇させる手法と一線を画す。 「スイング中に力まないクラブがタイミングの取りやすいクラブだと思いますが、一つの指標はフィニッシュの姿が安定する重量のクラブです。なので、特にクラブ総重量は少しオーバースペックのクラブを薦めています」 水野氏が続ける。 「スイングが安定するには振りすぎないことが重要です。クラブ総重量は重めのセッティングですが、ドライバーなら癖のない『EVO4』や『EVO6』、アイアンなら硬くなく重量がある『モーダス120』を振ってもらいます。これを基準にスイングが安定すればミート率が上がり、当店のゴルファーが好む強弾道に繋がります。それによって、飛距離アップを狙うというフィッティングです」 そのようなフィッティングを提供するが、地クラブが求められる理由を次のように説明する。 「常連客がクラブ好きだとすれば、ナショナルブランド(NB)を買うこともあるでしょう。でも、NBの純正シャフトは比較的弾道が弱くて、結局、リシャフトをしますが費用が高くなる。その代わり地クラブは最初からカスタムできる。中には購入後に1度だけヘッド交換できるメーカーもあって、結果的にコスパは高いんです」 地クラブユーザーであっても、湯水の如くクラブに費用をかけられるわけではない。ゴルファーの心の機微に寄り添うのも工房の役割だということだろう。
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2020年2月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら