マイカスタム第35回【バーディーパパ】前傾が保てないゴルファーに短尺ウエッジで問題解決

マイカスタム第35回【バーディーパパ】前傾が保てないゴルファーに短尺ウエッジで問題解決
東京都八王子市下柚木。野猿街道沿いに工房「バーディーパパ」がある。切り盛りする大石卓己店長は、脱サラして開業し、以後20年来、数々のゴルファーの悩みに対応した。同氏の流儀は「ゴルファーが欲しいクラブを提供する」と、店側の主張を押し付けない。その大石店長を頼ったのが月1ゴルファーのA氏。スコア80台の上級者だがアプローチでのザックリ、トップが頻発して頭を抱えていた。そこで提案したのがロフト角60度でクラブ長34.25㌅という超短尺ウエッジ。A氏のザックリ、トップは解決したのか?

評判に流され欲しがる クラブとスイングのミスマッチ

クラフトマン歴20年。敢えてスイング診断に重きを置かず、ゴルファーが求めるクラブを提供するのが大石流だ。最近は、ゴルファーの力量と求めるクラブのミスマッチが目立つという。 「特にドライバーで低スピンモデルの『LS』を使いたがるゴルファーが多いですね。でも『LS』を使いたがるゴルファーの多くが、スイングが未完成でヘッドスピードも足りません。一番はスイング的な問題で、インパクトが安定しないことが理由のひとつだと思います」 インパクトが安定しない理由は、クラブをインサイドに引きすぎてダウンスイングで懐が狭くなり、アウトからクラブを振り下ろす。結果、前傾角度が保てなくなり、インパクトが安定しない。 今回の悩めるゴルファーA氏もそう。ウエッジでザックリ、トップが出るのは前傾が保てないからだという。 そこで、思い切って短尺ウエッジを提案した。ヘッドはミステリーの『235MF』(ロフト角60度)で、シャフトは90g台のFSP短尺専用『FSP TOSS WEDGE』。完成品は34.25㌅、バランスC3。さて、どうなった?

ボールを拾うヘッド形状 短尺で軟らかくバランスが出ない

A氏の問題解決は、短尺ウエッジが大前提だったという。なぜならA氏の問題は、前傾が保てないことが主因。 「そこで、前傾を保てないと上手く打てないクラブを敢えて提案したのです。ザックリとトップを繰り返すゴルファーはウエッジに苦手意識をもつ。その点も同時に改善したかった」 ミステリーの『235MF』は、ラウンドがついたリーディングエッジと強いFPが特徴で、ボールを拾い上げてくれるイメージを与える。加えて、バウンスは11度。ウエッジショットは、インパクトでロフトが寝る傾向がある。地面とのコンタクト時に跳ね返りを生じさせ、リーディングエッジが刺さることを防止。ヌケを良くすることも重視した。 そして短尺専用シャフトの『FSP TOSS WEDGE』である。 「前傾を保つには短尺が効果的だと思いました。雑誌の企画で見たシャフトで、これだ!と閃いたのです」 短い割には軟らかく感じ、カウンターバランスでヘッドを軽く感じる。クラブの重心を身体に近く感じるため、振りやすく、なおかつ短いから飛ばない。躊躇なく振り抜けるウエッジになった。以後A氏は、アプローチに不安なくラウンドできているという。

遊びながら作る 出来てから気づくこと

大石流は、ゴルファーが欲しがるクラブを提案すること。常連客の多くがヘッドとシャフトの組み合わせに遊び心を持っており、最適解の探求は「実験」にも似た作業だという。 「なので今回のケースは、ざっくばらんな言い方をすると、作ってみて分かったことが多いんです。バランスが出ないとか、だから振りやすいとか……。面白がって作ってほしいという常連さんが多いので、私も勉強になっています」 今回の、ミステリー『235MF』と『FSP TOSS WEDGE』の組み合わせはA氏にハマった。そこで大石店長は、 「他の常連さんにも提案しましたが、誰も欲しがらないんです(苦笑)。売れたのはA氏の1本だけ。でも、売れない理由は明白。ゴルファーはそれぞれ違う悩みを抱えているからです。千差万別だからこそ、今回の発見につながった」 遊びながら、組み合わせを楽しみ、発見する。その発見の積み重ねが、クラフトマンとしての技量を高める。顧客と一緒に実験を楽しみながら、信頼関係を築いている。 

メーカー担当者コメント

和宏エンタープライズ 代表取締役社長 足立昌也氏   「『235MF』はフェースの平面加工でスピン性能が高いウエッジです。一方の『TOSS WEDGE』は短尺専用でもしなりや重量感を感じるシャフトなので、長さ的には飛びませんが、思いっきり振れるシャフトですよね。その組み合わせで、前傾を保てないゴルファーに起きる現象改善を求めたのでしょう。絶妙な組み合わせだと思います」

バーディーパパとは

〒192-0372 東京都八王子市下柚木2-5-23 TEL/FAX:042-670-5535 http://www.birdie-papa.com なお、この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2026年4月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。