東京都町田市。東急田園都市線南町田駅から徒歩15分。閑静な住宅街で営業しているのが、開業から半世紀近い老舗練習場の町田モダンゴルフ。その中に居を構えるのがチューンアップスタジオ&スクールだ。
フィッター、クラフトマン、レッスンの一人三役を担うのが中嶋毅ティーチングプロだ。
全日本ゴルフ練習場連盟の「JGRAプロフェッショナル」を取得して、2000年から町田モダンゴルフでレッスンをスタート。2005年に同練習場内で工房を開業した。
「学生時代に友達に誘われてゴルフ部に入部したのですが、ツアープロを目指したわけではありません。レッド・ベターなどが出てきた時代でレッスンが注目され、私自身もスイングに関してアレコレ考えるのが好きだったんです」
それでレッスンを開始するが、5年ほどでリシャフトブームが到来した。
「スクール生からリシャフトの要望も多くなり、工房を始めるために知人の店で3ヶ月ほどクラフトを教わりました。当時は藤倉のランバックスが流行っていましたね」
工房スペースは、練習場の一角で2坪ほど。試打クラブや工具で足の踏み場もないほどだが、いまでは多くのブランドを取り扱っており、アクセサリーやグッズを入れれば50ブランドを超える。
「開業前はスクール生からクラブの相談を受けるたびに、中古ショップで合うものを見つけていましたが、それでは追いつかなくなったこともあって工房を開業したんです。様々な要望に応えていたらブランドが増えていきましたね」
常連客は30人程度で、練習場の顧客が半分。レッスンと工房の二足のワラジだが、だからこそメリットとデメリットがあるという。
【ゴルファーはクラブとスイングを分けている】
フィッターでクラフトマン、しかもティーチング資格を有するとなれば、最強の工房と思われがちだが、ゴルファーはクラブとスイングを分けて考えがち。だからメリット、デメリットがあるという。
「レッスン生は必ずしもクラブの相談をしてくれるわけではありません。逆もしかりで、ギアだけが欲しいゴルファーも多い。ただ、私が目指すのはスイングとギアの両方を融合したサービスの提供です。個人的に思うのは『ゴルフはスイングが7割』ですが、10割ではない。だから両方が必要なんです」
理想と現状は異なり、それをカバーするのが取扱ブランドの多さなのだという。
「本音を言えば、大手ナショナルブランド(NB)にもパーツで供給してもらいたい。それによって選択肢は広がります」
もちろん、地クラブには大手NBにはない魅力があって、
「メーカーの開発者それぞれに飛ばしの理論が違いますから、機能特性が個性的です。だから、フィッティングがハマった時は驚くほど大きな効果を発揮します」
中嶋プロが例に挙げたのが、プログレスの『BB4』。ゴルファーが蛇腹構造の効果を感じやすい。
また、ターフの『エピソードG』は、重心角が21度と比較的浅く、重心距離は41mmと長い。そのようなNBにはない個性の多様化を利用することで、ゴルファーに合った1本が出来上がるという。
そんな中嶋プロが提供するフィッティングとは?
【ロフト14度で飛びを体験させて 左から挿して捉まえる】
「スイングを見る場合は、ヘッドスピード(HS)の速さなどもありますが、初中級者が多いのでスイングが定まっていないから、体が動く速さを観察しています」
ゆったりとしたスイングでもHSが速かったり、スピード感のあるスイングでもHSが遅いなど、それによって必要なシャフトの撓りが違うという。
体の使い方がゆったりしたゴルファーには、比較的軟らかいシャフトからフィッティングをスタートする。その時に活用するのがNGSの『ディライトC』。タイミングが合わないゴルファーには、それが感じやすく、
「直ぐに『気持ち悪い』と口にします。もう少し硬いシャフトが必要な場合には『アフターバーナー』(TRPX)を使います」
顧客には初中級者も多いため、初めてフィッティングをする場合にオススメのヘッドもあるという。
「アキラプロダクツのロフト14度のヘッドですね。初級者は球を上げる技術をもっていないことが多い。ロフトで高い弾道を打たせてあげれば『ボールが飛んでいく』ことが成功体験となって練習もするようになりますし、クラブの違いも理解してもらえる。初級者には多用する手法です」
他にもボールの捉まりを向上させるために、シャフトを左から斜めに挿すこともあるのだとか。
ゴルフ練習場は、ゴルファーを育てるという役割を担っている。初中級者も多く、その中で営む工房は路面店とは一線を画している。
ゴルファーを育てるために、地クラブが活躍している好例だ。
この記事は弊誌月刊ゴルフ用品界(GEW)2019年8月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
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