【フェリーでゴルフ? 特異な環境下の工房】
神奈川県横須賀市。そのほぼ中央部に位置するのが、開場半世紀の老舗ゴルフ練習場・湘南衣笠ゴルフ(SKG)である。
今回登場する工房ブルー・ターフは、そのインショップだ。菊地正之店長は一人で切り盛りしている。
大学卒業後、スポーツロードで10年間、販売兼クラフトマンとして活躍。その後スポーツロードは閉鎖して、工房に転職。半年ほどクラフトを学び直し、SKGが練習場内にインショップ工房を構えることを機に、2013年に立ち上げた。
「横須賀という地域は、練習場の平均単価が1球7円ほどで安いんですね。ゴルファーも沢山いますけど、近隣には葉山国際CCしかなく、みんなフェリーでゴルフに出かけるんです」
久里浜港から千葉県富津市の金谷港にフェリーが就航しており、乗船時間は約40分。
「始発が6時20分ですから、港の駐車場に6時集合というのも珍しくありません。金谷港には各ゴルフ場のクラブバスが来ており、それを利用するゴルファーが多いのも特徴です」
ということで、工房の利用客も地元民が多いと思いきや、
「開業と共にFBでの集客も行ったので、当店の顧客は練習場利用者が半分、それ以外が半分で、常連客は50人程度です」
来店客のゴルフレベルはそれぞれで、主にシャフトフィッティングやグリップ交換が多いという。
そのフィッティングとは?
同氏がフィッティングで心掛けているのが、まず、ゴルファー個々のクセを見抜くことだという。
「スポーツ経験者なら、その競技によって大きく違います。野球でも打者ならインパクトは体より前で突っ込み気味で、インパクトも強いですから飛ぶけどスライスが強い。逆に投手なら、振りかぶる動作は上半身を捻るのでゴルフの動きに近く、ゴルフスイングならインサイドにテークバックしやすく上達が早いですね」
投手に近いのはテニス経験者。ストロークする直前に上半身を捻ってテークバックするのでゴルフのダウンスイングがインサイドからで、剣道経験者はアドレスが美しく、足を使うサッカー経験者はほとんどクセがないという。
「ひとつの判断材料ですが、クセを見抜くのは重要なんです」
その上で、シャフトフィッティングなら結果的なシャフトの撓り方に対しての、手や腕の挙動を観察するのだとか。
「スイングの始動、テークバック、撓り方、手の返し方など複雑ですが、スイングの始動だけでも『速い』『遅い』のスピードと、インサイドかアウトサイドかの方向がありますね」
それに加えてダウンスイングでも同じ視点で観察すれば、ひとつの傾向が見えてくるという。
「始動が遅く、アウトサイドにテークバックして、インサイドから速く振るゴルファーは上級者が多いですが、その次は飛距離に繋がるシャフト重量を含めたクラブ重量です。重すぎたりすると体が反応して、振り遅れる。軽いシャフトを勧める場合もありますが、シャフトの挙動もモデルごとに個性的なので、合わないスペックも打ってもらうことが重要だと思っています」
先のスイングタイプでも軽いシャフトなら「ツアーAD DJ」がオススメだという。
「それに加え、試打の球数もゴルフレベルが上がるほど少なくしてもらいます。上級者はすぐにクラブに合わせてスイングを変えてしまいますから……」
【パーツは素揚げがいい シャフトを生かすグリップ交換】
そのようなフィッティングを施す中で、菊地店長はパーツに関して一家言持っている。
「パーツは作ったメーカーの設計意図に忠実に使った方が良いと思っています。素揚げですね。だから、グリップもシャフト個々の性能を生かせるよう、トルクが比較的少ない『イオミック』が多いですね」
グリップでトルクがゼロのものはないと菊地店長は話す。トルクを減少させることはできないが、シャフト本来の性能を生かすことが重要なのだとか。
逆にトルクをグリップによって増やす場合はあるのだろうか?
「稀なケースだと思いますが、その場合は『No.1』を使うこともあります」
時代はシャフトフィッティングが主流になりつつある。そのなかでグリップの重要性も無視できないとか。
この記事は弊誌月刊ゴルフ用品界(GEW)2019年6月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
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