【ナショナルブランドと パーツを同時に販売する利点】
今回訪れたのは東京都品川区大崎で営業しているセレクトショップのゴルフショップ パル。都内渋谷区広尾にあった老舗ゴルフショップから独立、開業したのが2011年10月1日。近藤晃司店長が当時を振り返る。
「あの頃は『セレクトプロショップ』という言葉しかなかったのかな。ゴルファーのライフスタイルに寄り添って、量販チェーン店ではできないワンストップの店を作りたかったのです」
いわゆる街中の工房に行けば、パーツブランドは充実している。一方、量販店にはナショナルブランドが大量に並んでいるが、
「一人一人のゴルファーにクラブを合わせるという意味では、両方を販売することが大事だと思っています」
開業当初の販売構成比はクラブとウエアを含むソフトグッズで4対6。クラブの中でパーツは1割ほどだった。つまり、パーツが全体の4%。それが今ではクラブが全体売上の6割に達し、パーツはその半分を占め、全体売上の3割にまで上昇している。
当初、パーツの陳列は棚1列だったが、いまでは4列になった。
NBと地クラブの両輪販売には、もうひとつの利点があるという。
「将来はクラブの品数も売上規模も、NBと地クラブを同等にしたい。けれど、いまNBを販売するのはお客さんのストレスを軽減するためです。工房利用者は、テーラーメイドの『M4』が飛ぶと聞けば使ってみたくなる。でも、他店で買って工房に持ち込むのは気がひけるでしょう。そんなストレスも減らしてあげれば、ゴルファーと長い付き合いができます。だから、NBも扱うんですよ」
それがゴルファーに寄り添うということだという。同店のフィッティングはどのようなものか?
【クラブという物体の取り扱い方を 使い手の頭にインプットする】
パルのフィッティングを近藤店長はひと言で表現した。
「うちのフィッティングは“如何に芯に当てさせるか”です」
近藤店長は続けざまに、なぜ多くのゴルファーのスイング軌道がプレーンに乗らないのかを説明してくれた。
「例えば、シャフト単体で素振りするとほとんどのゴルファーはスイング軌道がプレーンに乗ります。クラブになると、途端にできなくなる。なぜだか分かりますか? ヘッドが装着されて重心に引っ張られたりするからですよ。ゴルフクラブは、そのような動きをしやすい道具だと最初にゴルファーに説明します。クラブの取り扱い方を説明すれば、フィッティング前にスイングの精度が向上して、芯に当たる確率が高まります。細かいクラブのスペック等を合わせていくのはそれからです」
近藤店長がさらに続ける。
「メーカーやチェーン店が行うフィッティングは、現状のゴルファーに合うスペック探しですが、当店ではゴルファーの潜在能力を最大化するためのフィッティングを行っています。その違いは大きいと思いますよ」
そのためにもフィッティングの事細かい手法と同様に、クラブという物体の取り扱い方をゴルファーに説明するという。いわゆる「取説」だが、例えば大型ヘッドは慣性モーメント値が大きく、フェースが開いたら開きっぱなし。閉じたら閉じっぱなし。そんな事を説明するのだとか。
【首都圏のゴルファーには まだまだ地クラブは『初めまして』】
ところで同店のセレクトショップとしての優位性は、その取り扱いメーカー数にも表れている。
NB7社、ヘッド、シャフトのパーツブランドは50社以上、アパレルを含めたソフトグッズも50社以上とレア商材を含め豊富だ。
その中で、地クラブについて近藤店長が独特の表現をする。
「特に東京のゴルフ用品市場は、量販チェーンに頼り切っているところが大きい。その意味で、東京のゴルファーにとって、地クラブは『初めまして』が多いと思います。工房は、専門的な知識がなければ敷居を跨ぎづらく、だからNBに親しみを持ち、多くのゴルファーは地クラブの存在を知らない。ところが、関西地区はトップアマに地クラブユーザーが多くて、地クラブの認知度も高く地域に根ざしたメーカーが多いのです。その意味で、地クラブメーカーはゴルファーの地域特性に合わせた流通政策をする必要がある」
しかし、地クラブは同店にとって必要不可欠だという。
「ゴルファーにとって初見の地クラブでも、NBと地クラブでは住宅の建て売りと大工さんと相談しながら一から建てる家ほど違います。これは選択肢の話かもしれませんが、NBと地クラブがあることによって選択肢は広がる。つまり、ベストな選択肢がないということによるゴルファーのストレス軽減にも繋がっていると思いますよ」
近藤店長は終始、ゴルファーのストレスを減らしたいと語る。それがゴルファーのゴルフライフに寄り添うセレクトショップの在り方だと語気を強めていた。
この記事は弊誌月刊ゴルフ用品界(GEW)2019年1月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
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