工房探訪 2018年9月号 競技ゴルファーはまず 右向きアドレスを治す ゴルフレンド日本橋 代表 大野和昭氏

工房探訪 2018年9月号 競技ゴルファーはまず 右向きアドレスを治す ゴルフレンド日本橋 代表 大野和昭氏
【クラブはイジるもの 好きが高じて工房開業】 東京都日本橋茅場町。東京証券取引所がある日本橋兜町に隣接していることから、日本の金融経済とともに発展してきた町。その片隅で開店18年目を迎えるのが、ゴルフレンド日本橋。1988年に松戸に開業、2001年に常連客の勧めで日本橋にも店を構えた。広さ7坪の工房を切り盛りするのが、大野和昭代表だ。 20歳でゴルフを始め、トーナメントを観戦した。プロのクラブを観察すると鉛が貼ってあったり、ソールが削ってあったり、ゴルフクラブはイジるものだと気付かされたという。 「商社に8年務めたあと、ゴルフショップ『グリーンサム』に入社して、物販を担当していました。が、兄が松戸に店を出そうと誘ってくれて、1988年に兄と二人で工房を始めたわけです」 兄弟舟を漕ぎはじめた。 クラブをイジることが好きだった大野代表は、開業前に様々な工房に足を運ぶが、修理はしてくれてもチューンアップはしてくれなかった。その想いが独立開業につながったという。 松戸時代を含めると30年。自身も競技ゴルファーだから、自然と集まるのはプロやトップアマ。およそ70人の常連客の6~7割が競技志向。競技仲間が新たな客を紹介することでゴルファーが集まる。彼らに向けたフィッティング術を聞いてみた。 【競技者の右向きアドレスは 超重柔クラブで解決する】 競技ゴルファーの共通点を大野代表は次のように説明する。 「彼らは自分が使うべきクラブのスペックや特性を良く理解しています。その意味で、彼らにフィッティングすることはあまりない。ただ、同じ競技ゴルファーでも、新規のお客様は多少、事情が異なります」 クラブを理解していても、行きつけの工房、つまり主治医のいない競技ゴルファーには、ひとつの傾向があるという。 「彼らの多くは左を警戒するあまり、アドレスで右を向いてしまう傾向が強い。その右向きアドレスを前提にクラブをフィッティング、調整すると、少しでも左に行けばどんどんボールが捉まらないセッティングになります。そのためスペックがハードになっていく」 このような循環を断ち切るため、大野代表はグラスファイバーなどの素材を使った「超重柔シャフト」の練習用ドライバーを使うとか。 「右を向きすぎてハードスペックなクラブになると、ボールを捉えにいったり、逆に捉まりすぎを抑制するため手打ちになったりと、スイングリズムが乱れてきます。その時に重くて極端に柔らかいクラブを振れば、体全体でクラブをテークバックして、柔らかいから打ち急ぎや、振り遅れがなくなってくる。もちろん、真っ直ぐにアドレスして練習してもらうことが前提です」 適切ではないアドレスによって、最適ではないクラブに辿り着いてしまう。スイングだけの話でもなく、クラブだけの話でもない。それを気付かせるのも工房の役割だと大野代表は話してくれた。 【シニアクラチャンの工房が、 顧客の信頼感につながる】 シニアながらクラブチャンピオン(2017年、麻生CC)の経験もある大野代表。クラチャンの称号が工房の経営に及ぼす影響を聞いてみた。 「実は、集客よりも工房の信用力、クラブフィッティングやクラフトの信憑性を裏付けるものとなっているはずです」 周囲の競技ゴルファーは、大野代表の使用クラブを真剣に観察している。バンカーが苦手なゴルファーからは、 「どんなサンドウエッジが良いのか? などと聞かれます。一番多いのはドライバーに関する質問ですね。ただ、クラチャンだったことを頻繁に口にすることはありません。クラブはひとそれぞれですから」――。 クラチャンというトップアマへの憧れは、使用クラブへの憧れにつながる。しかし、そのあたりを積極的に利用しないのは、個々のゴルファーに合わせたギアを提供したいから。そのような姿勢も、工房への信頼につながっている。
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2018年9月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら