工房探訪 2018年4月号 男の世界をぶっ壊せ! 地クラブ女子が業界を救う EUROZGOLF Ⅲ STUDIO 店長 根本稔氏

工房探訪 2018年4月号 男の世界をぶっ壊せ! 地クラブ女子が業界を救う EUROZGOLF Ⅲ STUDIO 店長 根本稔氏
【超個性ゴルファーに対応する ヘッドは33ブランド】 都内の有力専門店ゴルフメッセが六本木に移転したのが7年前。3年前に同社が店舗運営を終了。スタッフや店舗などを新オーナーがそのまま引き継いでオープンしたのが、ユーローズゴルフⅢスタジオだ。現在、5名のスタッフを率いるのが根本稔店長。 六本木のド真ん中で営業するセレクトショップだが、想像通り、富裕層ゴルファー、その中でも個性が強く他人との違いを求めるゴルファーが顧客には多いという。 「常連客は100名程度で、個性的なゴルファーが多い。地クラブの存在を知らなくても『カッコイイ』と購入されますね」 同店を運営するのは、アパレルブランド「サブセブンティー」「デイリースポーツ」のライセンス販売を行うアンツだけに、このスタジオもセレクトショップの色合いが濃い。 売上構成比は地クラブが5割、グッズを含めたアパレルが4割、ナショナルブランドのクラブが1割と、通常の工房とは一線を画す。ただ、他者との差別化を志向するゴルファーが多いため、パーツの取扱数は多いとか。 「ブランドはヘッドで33、シャフトで20種類ほど。中でも『Waoww』『ジオギャラクシー』への問い合わせが多いですね。ホームページ経由だと思いますが、コテコテのクラブマニアというより、ゴルフクラブを楽しむゴルファーです。そのような顧客に対応するための品揃えを重視します」 根本店長いわく、場所柄「小金持ち」が多いという。常連客の年齢層は30代以上で、メインは50代以上。年々高齢化するゴルファーに不安を感じるというが、その解決策として期待するのが「地クラブ女子」なのだという。 【アパレルやコンペを入口として 地クラブ女子を作りたい】 小金持ちに支えられているユーローズゴルフだが、景気は時代に左右されやすい。だから8割が常連客の同店は、新規客の開拓、なかでも女性ゴルファーの顧客化が課題だという。 「5月には顧客以外も参加できる80人規模のオープンコンペを開催します。そこでは『地クラブ縛り』の限定ホールを設定。男女問わず、地クラブを体験してもらいます」 そこで、半強制的に地クラブ体験をすることになる。このようなイベントを介して、地クラブユーザーへの入口を作りたい考え。 特に女性ゴルファーに関しては、 「地クラブは男性の世界観が強いですよね。これを壊して女性ゴルファーを引き込まないと、極端な話、10年後の店舗経営は見えてこない。ヘッドは女性が使用できるモデルが増えてきたので、あとは軽量シャフトのバリエーションと地クラブに対するゴルファーの理解を深めることです」 同店の女性客は5%ほど。地クラブ女子は皆無で、まずは女性客比率を1割超にしたいとか。 「地クラブメーカーは男性しか意識しない開発をしています。ユニセックスのイメージを持っているのは『ムジーク』くらいではないでしょうか」 ムジークはブランドロゴに水玉模様、モデル標記は柔らかい文字を採用している。 「地クラブを使用する女子プロが増えたことは良い傾向です。それにフィッティングという意味では、選択肢が少ない既製品より地クラブの方が女性には合う可能性も高い。六本木という町は、地クラブ女子を創造するのに最適な場所だと思いますね。FBやインスタを活用しながら、女性ゴルファーを集客していきたい」 【クラフト歴40年のベテランが ゴルファーの思い込みを診る】 一見、ミーハーなゴルフショップに見えがちだが、工房を担当するのは40年以上のクラフト歴をもつ川上富雄氏。職人らしく多くを語らない同氏は、ゴルファーの思い込みを「診る」という。どういったことか? 「例えば、爪先上がりの崖でアップライトなアイアンでも、右にボールが行ってしまうから、もっとアップライトにして欲しいという注文があるんです。ところが、クラブの原則を考えれば、問題はライ角ではないことが多いので、ゴルファーの言葉の裏をどれだけ理解できるのか? 深い思い込みを知る作業が重要だと思います」 ほかにはクラブバランスがあるという。ヘッド、シャフトが多岐にわたり、同じクラブバランスでも感じ方が異なる。同じアイアンヘッド、同じシャフトでもフラットなライ角とアップライトなライ角では、フラットなアイアンが重く感じる。そんなことを理解してクラブを作らなければならないと強調する。 「やっている作業はほかと変わりません。ゴルファーは何を求めているのか? 言葉で説明できないことを知る作業ですね」 そんなベテランが地クラブ女子にも対応していく構え。 「敷居は高いと思いますが、グリップのカラーをカスタマイズするあたりから始めてカスタムの楽しさを知ってもらう。そこから女性でも楽に使える地クラブがあることを浸透させたい」(根本氏) 六本木のド真ん中で、オシャレ地クラブ女子が誕生するかもしれない。
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2018年4月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら