【周りから褒められる クラブを売る】
埼玉県に4店舗を構えるゑびすや。そのひとつが、業界では珍しい地クラブの中古専門店「ゑびすや地クラブ中古館」だ。同店のオープンは2016年10月。もともと同系列の激安館をリニューアルして、地クラブの中古専門店に鞍替えした。その経緯を岩瀬文平代表が説明する。
「ナショナルブランド(NB)と地クラブの新品を販売するプレミアム館があって、クラブの買い取りもしています。買い取ったクラブが地クラブだったら、それを新品の売場に一緒に並べてしまうとお客様が混同してしまう。それで専門店を立ち上げました」
旗幟鮮明に売場を分けて、店舗毎の個性を追求したというわけだ。全4店舗からの下取り地クラブは、すべて中古館に集約。ドライバーなら常時200本の中古地クラブを在庫している。
その中古館を一人で切り盛りするのが佐々木昌弘店長。大手紳士服店の販売員だった経歴を持ち、当時は一人で年間5000万円も売り上げたこともあるとか。それで高給だったこともあり、年間60万〜70万円を地クラブに費やして、年に100ヵ所以上の工房を訪問した地クラブマニアだ。
そんなマニアの佐々木店長が、スーツ販売とクラブ販売には共通点があるという。
「スーツは周りから『似合っていますね』と褒めてもらえる商品を買っていただくのが一番。クラブも同じなんですよ」
クラブなら「合ってるね」「飛んでるね」と周りから褒めてもらえる。今後もそんなクラブを販売したいと佐々木店長は燃えている。
【地クラブの買換頻度は1年半という短期サイクル】
地クラブを新品、中古と分けて複数店舗で扱うゑびすや。地クラブ販売に関して、興味深い傾向があると岩瀬代表が説明する。
「まずNBと地クラブの新品を扱うプレミアム館ですが、NBから地クラブへの買換は全体の約3割です。一方で、地クラブユーザーが地クラブを新調するのは、7割となっています」
今回取材した中古館では、NBから中古地クラブに移行するゴルファーは全体の3割。中古地クラブから中古地クラブへの買換は7割だという。そして、中古・新品問わず、地クラブの買換頻度は長くても1年半なのだとか。
「とにかく、中古・新品問わず地クラブのニーズの高まりを感じています。敷居の高い地クラブの世界で、特に中古の地クラブはファンを創る大きな役割を果たしていると思います」(岩瀬代表)
新品ならばドライバー1本10万円を超える地クラブも、同店の中古地クラブの平均売価は4万円台。外資系NBの新品と価格的に遜色がなく、気軽に地クラブを手にすることができる。
「だから中古マーケットが必要なんですよ」
もちろん中古の地クラブは、マニアックな世界の入口だという。
「中古の地クラブは、購入者個々に合わせて作ったクラブではありません。しかし、まず中古で地クラブの世界を体験してもらう。その先にフィッティングを受けて新品の地クラブを購入してもらえばいいわけです。まずは、買いやすい場所を作ることが重要です」
その入り口となる地クラブ中古館には、中古ならではの苦労があるという。
【中古地クラブは リフィニッシュが命】
NB、地クラブを問わず、中古クラブはモデルの人気や希少性はもちろん、前使用者の使用頻度や手入れによって、価値が左右される。だから、販売する前のリフィニッシュ作業が中古地クラブでは特に重要なのだという。
「まずは磨くことです。ヘッドのクラウンは、自動車用のコンパウンド『グラスコーティング』(中央自動車工業)を使っています」
そのほかにもクラウンなどの塗装傷を補修するのは、自動車用のタッチペン。そしてウエッジなどはペースト状の『ピカールケアー』(日本磨料工業)を使って、ゴルファーの顔が映り込むほどの輝きで、地クラブを蘇らせるという。
「実はリフィニッシュ作業は、作業工数が多くて、基本的には閉店後に行っています。中古だからキタナイというのは昔の話で、いまは中古でもキレイなクラブでなければ売れません。そのような意味でも、リフィニッシュ技術の向上が中古地クラブ屋の課題ですし、苦労する作業ですね」
中古地クラブの販売には賛否両論あるだろう。しかし、外資大手を中心としたNBが勢いを見せているなか、中古の地クラブは地クラブの世界を広げる鍵になるかもしれない。
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2018年3月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
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