ヤマハの『RMX』が全品回収、複雑化する調整機能クラブの将来は?

ヤマハの『RMX』が全品回収、複雑化する調整機能クラブの将来は?
一部商品でシャフトとヘッドを接合するネジ(RTSウエイトネジ)の不良が見つかり、最悪の場合、シャフトが抜ける恐れがあるため苦渋の決断に踏み切ったもの。昨年12月の発売以後、7500本を出荷し、3800本が販売済みという。不具合に関する連絡は66件、うちヘッド抜けの事故が1件あったと説明している。決定当夜に「使用中止のお願い」を自社HP、FBで公告し、回収・点検の準備が整い次第、朝刊各紙と合わせてゴルファーへ知らしめる。 「原因は、ヘッドとシャフトをつなぐRTS重心ウエイトネジに、一部規格外のモノが混入したことによります。基本設計に問題はなく、QCの問題と考えています。現在のところ、不具合がみつかった商品は1本だけですが、使用を続けるとネジが摩耗し、ヘッド抜けの危険性があると判断しました」(同社広報担当)――。 すでに販売済みの商品は保証書の有無に関わらず、回収して検査及び交換を行うが、店頭在庫は全て返品を受けることを決めた。今後、同社品は一時的に減少するが、営業担当者と売り場の話し合いを進め、『インプレスX V』などで穴埋めをすることもありそうだ。 この報に接し、業界関係者は一様に深刻な表情を見せている。 「当社は、カチャカチャクラブを次世代クラブと位置づけ、積極的に販売をしています。現段階で事故が発生していないことは幸いですが、『RMX』の人気が高まった矢先だけに残念です」(有賀園ゴルフ有賀史剛社長) 「1月にヤマハフェアを開催し、全店で200本弱を販売しました。クレームは今のところ入っていませんが、たまたま当店の在庫に混在していなかっただけかもしれない。ポイントカードでの購入者は顧客情報があるので連絡できますが、これは140本程度です。残りは当社から連絡ができないので、メーカーの周知徹底が望まれます」(二木ゴルフ商品部北條桂一部長) 今回の回収騒動で思い出されるのが、ミズノの『インテージ』だ。カーボンクラウンの複合ヘッドでゴルファーの注目を集めたが、2004年にクラウン部の「剥がれ」が発生してリコールへ。その後ブランド自体が消滅した経緯がある。 このケースは異素材複合ヘッドの難しさを露呈したものだが、調整機能付きドライバーはさらに複雑な構造をもつ。インパクトの衝撃に負けない耐久性を備えても、ゴルファー自身の調整不備で不具合が生じる可能性も否定できない。このあたりの啓蒙を業界全体で進めなければ、せっかくの「新市場」に冷や水となる恐れもある。  【問い合わせ先】 ヤマハゴルフ フリーダイヤル 0120-808-562[受付時間]10:00~17:00