攻めるホンマ、16年度200億で世界シェア5%
意欲的なのは収益だけではない。世界市場において、熱意系ゴルファーを対象とする市場別マーケティングにより売上拡大を目指すもので、
「ゴルフクラブで世界シェア5%を獲得します。従来のニッチからメジャー志向の差別化戦略を図り、酒田工場を核として各国市場へ対応した生産・販売ネットワークを確立したい」(伊藤康樹常務執行役員)
と鼻息が荒い。
昨年『ツアーワールド』の導入で「熱意系ゴルファー」へ訴求し、今季男子ツアーで契約プロの小田孔明が初めて賞金王を獲得するなど、大掛かりなプロ戦略も奏功した。その余勢を駆って、来期以降も拡大志向を加速させるもの。具体的には海外市場への注力で「世界熱意系戦略」の旗印を掲げていく。
同社は2016年のクラブ市場を世界規模で3525億円と推計しており、その5%に相当する175億円の売上を視野に入れる。
国別の目標シェアは、日本6・9%、北米1・7%、EU9・4%、英国0・1%、中国9・2%、韓国7・0%、台湾8・1%、タイ6・8%、その他アジア14・6%、オセアニア5・1%などで、特にEUとアジア圏での占有率を高めたい考え。世界最大の北米は、2016年のクラブ市場規模1216億円と推計しており、目標シェア1・7%は約20億円とボリューム感に欠けるものの、
「北米市場のドライバーは1本399ドルが中心価格。当社にはこのレンジの商品がなく実質0%だったが、今後は専用商品の開発等で積極的に攻めていきたい」(伊藤常務)
テーラーメイドゴルフ、キャロウェイゴルフなどが覇権を競う領域にガチンコ勝負を挑む。これ以外の国々でも、先述の市場別マーケティングを推し進める方針で、
「プロジェクトを束ねるために、実行しやすい組織づくりが私の最初の仕事でしょう。これは国内だけで考えたらダメで、国や地域に合った外見・機能・価格といった提案が必要になってくる。地域ごとの差別化ポイントを踏まえたうえで、グローバルで事業展開できる体制を作っていく。研究開発では、地域性に配慮しつつ共通項を探ることも重要で、欧州やオセアニアで同じようなニーズがあるなら共通技術開発を促進するなどですね。バリエーション生産力を向上させたり、短納期が可能となる現地での組立工房設立などマインドセットが重要。それを私が鳥瞰しながら調整していく」(伊藤常務)
酒田工場(山形県)を拠点としたSCMも国際展開を前提に高度化。各国のニーズに対応しながら開発と品質管理の徹底も同時に行っていく。
国内についても同社の源泉である共通技術開発、バリエーション生産、フィッティングの3本柱をより強化。なかでも熱意系の絶対的ニーズである豊富なバリエーション生産は、酒田工場へセルライン生産方式を導入し、最短2日のオーダー短納期を実現していく。同時に在庫負担減のトレードオフ解消にも役立てる考えだ。
円安の追い風にも乗って攻めへ転じるホンマ。今年のジャパンゴルフフェアも2年連続で出展を見送るなど、選択と集中が鮮明だ。
*画像:本間ゴルフ 伊藤康樹常務執行役員