インドア練習場に提携を呼び掛ける、シミュレーション最大手が描く倍増計画の中身
「日本におけるゴルフは、富裕層の遊びというイメージがあって、それはシミュレーションゴルフも同じです。このような認識を変えていく。それがシミュレーションのトップ企業である当社の使命だと考えています」
1月4日、ゴルフゾンジャパンの社長に就任した今野晃広氏(49歳)は、そう決意を語った。本社は韓国。日本市場への参入は2005年で、以来、累計700台のゴルフシミュレーションを販売。それだけではなく、導入実績320施設で新たなゴルフ文化の定着を目指しているだけに、さらなる成長を目指すには「認識の変化」が不可欠だ。冒頭の言葉には、そんな意気込みがある。このところテーラーメイドゴルフや本間ゴルフなど、大手のトップ交代が相次いでいるが、ゴルフゾンの場合はどのような理由があったのか。そのことを含め、今野新社長との一問一答。
これまでの経歴を教えてください。
「私は1990年にテーラーメイドゴルフへ入社後、営業職で15年間、その後は小売り事業を中心とする新規事業で部長職を務め、2013年5月に退社。大手通販企業へ入社して営業及び直営店ビジネスの責任者を1年半ほど経験しましてね、その後フリーで経営コンサルタントをしていました。今回の話があったのは昨年11月、これまでのキャリアを活かしたいと考えました」
社長交代の背景は?
「李承哲前社長は元々、韓国本社で経営企画室長を務め、2012年にジャパンの社長となりましたが、約3年半で国内事業における売上管理や販管費の見直しを行い、数千万円の経費削減に成功しています。その基盤をさらに盤石にして、日本で成長するために、業界歴が長く、経営に精通した私に白羽の矢が立ったのです」
今後の事業方針を。
「まず、インドアゴルフ練習場やスポーツクラブとのパートナーシップを強化します。さらに地方自治体や公共団体など、行政との関係を構築して学校への普及活動やジュニア育成にも注力したいですね。敷居が高いゴルフのイメージを払拭して、手軽にゴルフを体験できるインフラ整備を手掛けます。そのためには現在の時間制料金ではなく、消化ホール数の料金制に変える必要もある。いわゆるゴルフバーでプレーする場合、4人で18ホールだと長時間掛かってしまい、室料に飲食代を加えると数万円の出費になる。これでは『シミュレーションゴルフも富裕層の遊び』というイメージが払拭できません」
今後のビジョンは?
「韓国本社では米国のゴルフスミスと提携して、小売業の『ゴルフゾンマーケット』を28店舗運営しています。先述のビジネススキームが確立すれば、日本で小売市場への参入も果たせるでしょう。また、韓国ではシミュレーションゴルフを利用したプロツアー『GTOUR』を開催していますが、日本でもやりたいですね。シミュレーションゴルフは遊びだけではなく、本格的なプロの試合もできる精度の高さを備えている。そのことと手軽さを同時にアピールしていきたい。中期計画につきましては、現在の年間100~120台の販売実績を、1年後に1・5倍、2年後に200台を目指します。年商は非公開ですが、3年後に現在の倍を目指します」