老眼のゴルファーは、パッティングに支障があるのだという。これを解決するメガネが三井化学から2月に発売された。
フレームに組み込まれたボタンをワンタッチすれば瞬時に遠近が切り替わる
『TouchFocus(タッチフォーカス)』がそれ。25万円と高額ながら、ゴルフを長く楽しむための必需品になりそうだ。
老眼は、老化による水晶体調節機能の劣化が原因だという。その対策として「遠近両用メガネ」の使用が一般的で、1枚のレンズで遠方、中間、近方を見分けられる「累進レンズ」が主流だとか。
ただ、視線を上下にスライドさせればメガネを替える必要はないが、レンズ内に度数が異なる領域があるため、視界の両サイドに歪みが生じる。
タッチフォーカスでパッティングの悩みを解決

開発グループの早瀬慎一リーダーがこう話す。
「老眼でゴルフをやめる人もいるでしょう。スコアカードに記入し難いこともありますが、特にパッティングで支障を来たすと思います。
一般的な累進レンズの遠近両用メガネでは、近方をカバーするレンズの下部に視線が来るため、足元が見え難くなってしまう。多くのシニアは中間距離で適正な度数が保てず、スコアメイクに苦しんでいると思います」
それを解決することで、シニアのゴルフリタイアを防止して、市場の活性化にも寄与したいとか。商品特徴を一言でいえば、遠方と中間に焦点が合ったレンズの中に「液晶」を挟み、近くを見たい時にワンタッチすれば液晶が近方をカバーするというものだ。

総合化学メーカーの同社は「素材開発」が強みであり、メガネのレンズ素材では国内トップシェア。ところが、メガネ業界は技術革新が頭打ちで、打開策を考える必要があった。
研究を重ねた結果『タッチフォーカス』の誕生につながり、販売先として注目したのがスポーツ業界。中でもシニア比率が高いゴルフ市場は格好のターゲットなのだという。
「メガネが発明されたのは1200~1300年頃といわれますが、正直、技術的には行き詰まっていました。今回の商品は新たな要素を入れたメガネで、業界を活性化したいですね。遠近両用メガネの市場は年間500万~600万本ですが、新製品は2022年を目処に年間5万本を目指します。
当社の業務は素材供給のB2Bが中心でしたが、『タッチフォーカス』はメガネ事業で初のB2Cです。消費者に直接訴求するという意味でも新たな挑戦といえます」

果して『タッチフォーカス』は成功するか?
「取引店は来年3月末までに100店舗、2020年度には200店舗を目指しますが、製品の特性上、しっかりした知識を持つ販売員が必要なので勉強会を頻繁にします。
ゴルファーへの対応としては、コースへ出向いて体験販売会を行う案も出ています。老眼によってゴルフを諦めるひとを少しでも減らしたいですね」――。
自身、ゴルフが大好きという早瀬リーダーはそう結んだ。近年、アイウエアと呼ばれるスポーツメガネは様々な機能をもちはじめたが、ワンタッチで遠近両用となるこの新商品。25万円に需要はあるのか興味津々。
プロゴルファーのタッチフォーカス試用インプレッションはこちら▼
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