「ブリヂストンオープン2018」に学生を招待 はじめてのゴルフ観戦で大学生が感じたこと

「ブリヂストンオープン2018」に学生を招待 はじめてのゴルフ観戦で大学生が感じたこと
2018年10月18日(木)〜21日(日)まで、袖ヶ浦カンツリークラブ 袖ヶ浦コース(千葉)で行われた「ブリヂストンオープンゴルフトーナメント」は今平周吾選手の逆転優勝で幕を閉じた。

ブリヂストンスポーツ株式会社が大学教育支援にも熱心であることは過去にも触れたが、今回「大学体育のゴルフ授業」の履修者をトーナメントに招待頂いた。 授業の一環として「ゴルフトーナメント」を学生に観戦させるのは今回が初めてのことであり、まずはトライアルとして筆者が所属する武蔵野美術大学の授業向けに機会を頂くことにした。(次回以降は全国の希望大学に展開予定)

ゴルフ場でのフィールドワーク(A4レポート1枚と写真を提出)

「ブリヂストンオープン」開催期間中、授業や課外活動と重なっている学生も多いことから、現地での観戦は必須とはせず希望学生のみとし、フィールドワークの証明となるレポートの提出(A4用紙1枚,写真入り)を義務付けた。 本稿では提出されたレポートのうち3名の記述を紹介させて頂く。提出した本人が特定されないよう一部修正を加えているが、レポート原稿をほぼそのまま掲載しているため、事実や一般的な解釈と異なる記述がある場合にはどうかご容赦願いたい。(なお、網掛けのランニングタイトルは筆者によるもの)

【Aさんのレポート】さすが紳士のスポーツ。野球観戦との違いを感じ父との共通話題もできた。

ブリヂストンオープン2018 学生観戦レポート
<Aさん(映像学科・男子) :最終日(10/21)に観戦> 2018年10月21日、日曜、気温22度、晴天。13時半に私は袖ヶ浦カンツリークラブに到着した。 受付でフォレストガンプみたいな赤いキャップを受け取り、道を進んでいった。客層は9割以上が中年男性とその妻や息子。そのほとんどが赤いキャップを被っていた。すぐに人集りが出来ているところに着き、そこがグリーン周りだということが分かった。カメラが何台かあって、その映像が大きなモニターに映されている。野球と違って、現在打っている選手名が表示されない。 丘の上からボールが飛んできてグリーンに乗ると、拍手が起こる。ホールインすると拍手が起こる。ミスすると落胆の声が上がる。それ以外はとても静かで、さすが紳士のスポーツといった具合であった。 バスケットボールにビリヤードなど、人間は穴に何かを入れるのを好むが、ゴルフが他のスポーツと明らかに異なる雰囲気を持っていると感じた。それは、単に個人競技であるという以外に、その歴史に関わることなのであろう。私はしばらく場内を散策して回った。 予備知識のない私がただ会場に行っても、手持ち無沙汰になるだろうということは予測できたので、予め父親から(彼は日テレで観戦していた)石川遼のティーショットを見よ、という課題を課せられていた・・・。 ご婦人方が盛り上がり始めたその時が、石川遼の出番が来たという合図になるだろうという予想であったが、それは的中し、彼がグリーンの方に降りてくるとぞろぞろと人が増えてきた。 どうやら、先ほどの「あー」という落胆の声は石川遼のショットに対してのものだったらしく、彼はそのときバンカーショットに挑もうとしていた。彼が打ち上げたボールは見事穴の近くで静止した。その瞬間、大きな拍手と歓声が上がり、指笛を吹く者もいた。女性だけでなく男性も大盛り上がりであったのは少し予想外だった。それまでとは明らかに違う熱気につられて、気づいたら私は拍手をしていた。その組が終わると客はぞろぞろと帰っていき、私もそれに続いた。 よくわかっていないが、楽しめた。受付でもらったブリヂストンの赤い帽子は自宅でテレビ観戦していた父にあげた。久しぶりに父と打ちっぱなしに行こうかと思う。

【Bさんのレポート】同じプロでもスイングの違いがあることやキャディの役割にも気づいた。トップ争いを見逃した。

ブリヂストンオープン2018 学生観戦レポート
<Bさん:基礎デザイン学科・女子/最終日(10/21)に観戦> 私は、トーナメント最終日に観戦しました。同行者は両親のほか、ゴルフ授業を一緒に履修しているYさんです。到着後、両親とは別行動をし、Yさんと2人で石川遼選手を追うような形で動きました。 同じ組で回っていた、石川遼とM.グリフィンは対照的な打ち方でした。石川遼がより基本的な形で鞭のようなフォームですくい上げるように打つのに対し、M.グリフィンはホッケーの様なフォームで打ちつけるように打っているように感じました。打ち方による弾道の違いなどはいまいちわからないので確証はありませんが、石川遼の打ち方はボールがふわっと浮き上がるような球筋だった気がします。 また、テレビで見ているだけだと、キャディさんは選手のクラブを運んだり、渡すだけの様な存在に感じていましたが、選手が打つ前に素振りをチェックしてアドバイスしている様子もわかり、単にアルバイトで軽くできるような仕事ではないことを知りました。 唯一知っている選手だった石川遼ばかりを見ていましたが、トップの組み合わせでは逆転が起きたりと、面白い展開になっていたようなので、トップ争いをしている組のラウンドも少しは見ればよかったと後悔しています。

【Cさんのレポート】プロの技の凄さに感動し石川遼選手のファンサービスに感心した。ゴルフ観戦はハイキングみたい。

ブリヂストンオープン2018 学生観戦レポート
<Cさん:工芸工業デザイン学科・女子/最終日(10/21)に観戦> 私はHさんと共に最終日の決勝を観戦しました。M.グリフィン、石川遼、ハンジュゴンのグループを主に見て回り、ドライバーやパターなど間近で見ることができました。初めてゴルフの大会というものに参加したのですが、まず驚いたことは観戦するだけでも予想を超える距離を歩いたことで、まるでハイキングをしている気分になるほど歩いたなと感じました。 そして石川遼選手のグループを観戦していて、パターの時に全員手袋を外してやっていることに気づき、パターというのはそこまで繊細なものなのだと感じました。 私も試しに、10/29の八王子カントリークラブでのGちゃれの際、手袋を外してやってみましたが、振りの加減が感じられ、なるほどととても勉強になりました。 また、このグループの中で素晴らしいと思った選手はハン選手で、林の下の方までボールが行ってしまったシーンがあり、そこから前に出しつつ数メートル下から木々をかき分け飛ばした姿はとても感動しました。 グリーン近くのバンカー手前にボールが止まってしまった時にも、段差のあるバンカーの中からクラブをグリップよりもかなり短く持ちながら上手く寄せていて素晴らしかったです(恐らく旗しか見えなかったのではと思います)。 表彰式を見た後、入口近くまで行くと石川遼選手のサインを求める列ができていました。私たちもちゃっかり並びサインをいただいたのですが、一人ひとり目を見て丁寧に対応されていてファンサービスを大切にしていることからも、こんなにファンが多のだろうなと思いました。 今回無料で観戦させていただきましたが、是非こういう機会があればまた見に行けたらいいなと思っています。とても楽しかったです、ありがとうございました!

学修効果が向上する「みる」を織り交ぜたカリキュラム開発

ブリヂストンオープン2018 学生観戦レポート 今回、ブリヂストンスポーツ株式会社の協力により、大変貴重な機会を得た。この場を借りて改めて御礼申し上げたい。上記はレポートの一例であったが、現地で本物のゴルフを観戦したからこその気づきが多く記されていた。 文部科学省(スポーツ庁)が、2017年3月24日に策定した「第2期スポーツ基本計画」では、2017年4月~2022年3月までの5年間のスポーツ政策として、「する」・「みる」・「ささえる」といった多様な形での「スポーツ参画人口」を拡大し「一億総スポーツ社会」の実現を目指すとされている。 大学の教養体育授業は運動やスポーツを「する」ことに重点を置き、生涯スポーツや文化的な理解、スポーツを通じたコミュニケーション、健康の保持増進などが目的とされることが多い。ゴルフ授業の場合、ゴルフ場で行わずに学内での打ちっ放しで終わることも多いことから、実際にゴルフを「みる」ことを織り交ぜたカリキュラム開発は有用性が高いと感じた。 要するに、単に色々なクラブでボールを打つことだけではなく、長距離を歩くことやコースに応じた戦略、それに応じた攻め方や技術など、グラウンドでは学ぶことができない教材が、現地でのゴルフトーナメント観戦には豊富に含まれている。

武蔵野美術大学では2019年度に「ゴルフビジネス論」を新設

武蔵野美術大学では、2019年度より「ゴルフビジネス論」(2単位/担当:北 徹朗)の講義を新設する。ゴルフに特化し、体系的にゴルフビジネスを講じる授業は、日本において本学以外にはおそらく無い。 本学は開学90年を迎える芸術系大学の中でも老舗である。ゴルフ用具のデザイン、マンガやイラストによるゴルフ表現、ゴルフに適したアパレルのデザイン・・・・等々、本学の卒業生がゴルフ関連産業で活躍している場合は多いし、今後も多くの卒業生がそういった仕事に携わるだろう。 しかしながら、いくら優秀とされるクリエーターでも、イメージできないものは表現のしようがない。 その点で、美術大学にゴルフが学べる授業が充実していることは、学生個人の教養や健康のみならず、スポーツ市場全体に及ぼす影響も大きいと筆者は考えている。