「PGAショー2019」閉幕
世界最大のゴルフショー、第66回「PGAショー2019」(米フロリダ州オーランド)が、現地時間1月25日に閉幕した。
約1万3000坪の面積を誇る、オレンジ カウンティ コンベンション センターには、1000以上の企業やブランドが出展。世界90ヶ国から4万人を超えるゴルフの業界関係者が集結し、3日間に及ぶ大展示会を演出した。
GEWでは22日のデモデーから、会場での現地レポートをお送りしてきたが、今回は撤収に向かう最終日の会場を動画でご紹介しながら、このシリーズも閉幕としたい。
今回のPGAショーで特筆すべきは23日のショー初日に行われた、ゴルフデータテックと矢野経済研究所が発表した「ワールドゴルフレポート2019」だ。
「ワールドゴルフレポート」は両社によって共同で発表されたゴルフ業界初の世界市場レポート。2015年に第1版が発刊されてから2年ごとにPGAショーで新版が発表されており、今年で3版目を迎える。
そのサマリーによると、2018年の小売におけるゴルフの総売上は米ドルで134億4000万ドル(ゴルフ用品:84憶1000万ドル、ゴルフアパレル:50憶3000万ドル)だったという。
世界のゴルフマーケット上位4ヶ国は、1位アメリカ、2位日本、3位韓国、4位イギリスとなっており、アメリカと日本は、世界のゴルフ用品市場の66%以上を占めているという。総売上は、前年比で約4%プラスしているとか。
最後に、矢野経済研究所の三石茂樹部長が世界のゴルフ市場を踏まえつつPGAショーについて分かりやすく語ってくれたので、紹介したい。
「『ワールドゴルフレポート2019』を見ると、世界のゴルフ用品の総売上は数量ベースではダウンしたものの、金額ベースでは成長しているということが分かります。
これは用品の単価が上がっているためですが、過度な値引きでの数量販売から、フィッティングを重視したきめ細やかなビジネスに転換してきたことが理由だと考えられます。
ただ、一方でこれは既存ゴルファーへの依存度が高まっているということでもあり、このままでは市場の将来性には疑問が出てきます。
打開策としてはやはり新しいゴルファーの創出が鍵になりますが、PGAショーのブースを見渡しても、フィットネスプログラムやスイング計測器など、既存のゴルファー向けの商材が多く、逆に新規ゴルファー向けのスタータークラブセットなどがほとんど出ていません。
今こそ、世界のゴルフ市場1、2位を占める日米がリーダーシップをとって、『ワールドゴルフレポート』のような定量データを基に、しっかり議論する場をこのPGAショーで設ける必要があるのではないかと思います」
同レポートは、2月末に日本語版が発刊予定(36万円)。アジアやアメリカの情報や市場変化を盛り込みつつ、世界市場への課題も提言しているという。
4日間に渡りお送りしてきたPGAショーレポート。テーラーメイドが出展を見送るなど、ショーのあり方への後ろ向きな意見も聞かれたものの、やはりこのショーを通じて世界にチャレンジしようとしている企業は多く、開催の意義は大きい。三石氏が語るように、国同士の連携で多様化するゴルフ市場に対応していくことが重要なのかもしれない。