腰痛予防のゴルフパンツ『MIDORI PF1』 「タイガー・ウッズにも渡したい」

腰痛予防のゴルフパンツ『MIDORI PF1』 「タイガー・ウッズにも渡したい」
「腰痛で大好きなゴルフができない」 そんな悩みを抱えているシニアゴルファーは多いのかもしれない。何を隠そう筆者の父親も昨年末に突然訪れた腰痛で、4ヶ月近くクラブを振れていない。そんなゴルファーのゴルフ寿命を延ばせるかもしれないゴルフパンツが発表された。

ミドリ安全が腰痛予防のゴルフパンツ?

安全衛生保護具を取り扱うミドリ安全は先頃、ゴルフパンツ『MIDORI PF1』の製品発表会を時事通信ホール(中央区)にて開催した。 『MIDORI PF1』は腰痛が原因でゴルフをリタイアせざるをえないゴルファーのゴルフ寿命を延ばせるかもしれないパンツだという。 そもそもミドリ安全は工事現場や介護施設での安全靴や作業服などの安全衛生保護具では業界トップシェアだが、これまではBtoB商品が主流だった。 その同社が初のBtoC商品として世に出すのが、今回発表された『MIDORI PF1』で日本プロゴルフ協会(JPGA)との共同開発だという。 ミドリ安全が何故ゴルフパンツ?という疑問を感じるが、同社はキャディ用の作業着などをゴルフ場向けに販売しておりゴルフウエアと少なからず縁があった。

松村不二夫社長「世界中のゴルファーに履いてほしい」

同社が行った調査によると、全ゴルフ愛好家の約7割が腰痛の経験があるという。会見に先駆けて登場した松村不二夫社長によると、 「これまで産業分野で働く人の安全と健康を守り続けてきた我々が、その技術と経験を生かしてもっとできることはないだろうか?働く人だけではなく、もっと多くの人に役立つことができないだろうか?と考えていました。 そんな時に日本プロゴルフ協会の倉本会長と出会い、『ゴルフほど多くの人々の健康寿命に貢献しているスポーツはない。 ところが、腰の不調を理由にゴルフをやめざるをえない人もいる。そんな人にゴルフをずっとプレーしてもらうにはどうすればいいか考えている』という話を聞きました。 その話がきっかけで、我々が産業界で長年培った腰部保護のノウハウを活かし、ゴルフを生涯続けたい人々に貢献できるのではないかと思ったのです。 『MIDORI PF1』は強力な保護ベルトと動きやすいゴルフパンツを一体化するというこれまでにないアイデアの商品です。 世界中のゴルファーが、この履くプロテクターを堂々と着用してプレーする姿を期待しています」

『MIDORI PF1』の性能とは?

『MIDORI PF1』は、簡単に言うと腰部保護ベルトとパンツを一体化させた商品で、その両面からゴルファーの腰をプロテクトするという意味で「デュアルプロテクト」がコンセプトになっている。 腰部保護ベルトは、同社が重い荷物を運ぶ作業者向けに開発した製品で、今回さらにゴルフ用に改良。前面にBOAシステムを採用したことで通常のベルトのようにバックルから外して締めたり緩めたりという作業を省くことができるという。 また背面部分には高さを調整できる機能を搭載し、個々の体形や骨盤の位置に合うような工夫がなされている。 そしてパンツには同社の保有する2つの特許技術が盛り込まれている。 1つ目の特徴は「イージーフレックス機能」という腰部分のプリーツ構造で、ティーを挿したり、グリーン上で芝目を読む際にしゃがみ込む動作によって起きるお尻部分のパンツのつっぱりやズレ下がりを抑制し、水平に保てる機能だ。 これによって、ローライズのパンツによく見られるパンツからシャツが出てしまい、背中が見えてしまうなどの現象が防げるという。 2つ目の特徴は股部の「新立体裁断構造」で、股下にマチを入れることで開脚の際のつっぱりを軽減して、バンカーやハザードからのショット時もストレスなくアドレスできるという。

『MIDORI PF1』を科学的に解明

会見には、広島大学の客員教授(医学博士)宇土博氏が参加。科学的見地から、製品の解説が行われた。 検証は筋電図を用いて客観的に評価。筋電位電極を腰につけて重いものを持ち、『MIDORI PF1』を履いた時と履かない時の筋電位データを測り比べたところ、履いた時の方が、15~20%腰への負担が減少したという。 続いて、ゴルファーへの具体的なメリットを検証するために13名のプロゴルファーに製品を着用し100球打たせてテストを実施。 ドライバーのスイングにおいて、腰への負担は大きく分けてバックスイング時とダウンスイング時の2回あり、その両方において『MIDORI PF1』を着用した時の方が負担が減少。腰への負担が平均して8.3%軽減したという。 特にダウンスイング時がゴルフスイングにおいて最も腰に負担がかかるピークだという。宇土氏は、 「このピーク時の筋電位を下げることが腰部への負担を軽減することに繋がります。 1回当たりの値は少なく見えますが、ゴルフのスイングは繰り返しの作業になります。累積すると非常に大きな負担軽減効果があると実証されました」

倉本会長「タイガー・ウッズにも渡してあげたい(笑)」

会見には、共同開発のJPGAを代表して倉本昌弘会長も登壇。同製品がJPGA推薦品となったいきさつを語った。倉本会長によると、 「レギュラープロに目を向けると、昨年久保谷健一プロが非常に重い腰の痛みに悩んでいまして、フォロースルーもとれない姿が度々テレビに映りました。 それでもプロであるがゆえにプレーをし続けなければいけません。こういう姿を見て、少しでもその負担が軽減できればと思っていました。 1人でも多くの方々が障害によってゴルフをリタイアすることをなくしていきたいというのが我々の想いです」 と語った。続いて、会見後に行われたトークセッションでは、 「いよいよツアーが始まりますが、練習している選手は1回で200~300発は打ちます。ですので、予防という意味でも普及していきたいと思っています」 また、司会者から腰痛で戦列を離れたことがあるタイガー・ウッズの話を聞かれ、 「トータルで4回も手術をしているわけですから。そういう意味ではすぐにでも渡してあげたいですね(笑)普段の練習はこれをつけてやってと」 と語った。

『MIDORI PF1』を体験レビュー

会見後に行われたメディア向けの製品体験会に筆者も参加。 ゴルフのスイングは丹田に力を入れることで安定するという説もあるが、腰部保護ベルトによって適度な腹圧をかけることで自然と丹田に力が入りそうだ。 とは言え腹圧がかかるというと、かなりの締め付け感を想像するゴルファーも多いかもしれないが、むしろ締め付けがあまりない印象だ。体験コーナーの担当者に聞いたところ、過度な締め付けがないことが長く使えるポイントだという。 そういう意味でも継続することで将来的に良さを実感できるものであるため、速効性を語ることは製品の性質上難しいが、少なくとも違和感を感じることはない。 履き心地は確かにストレッチが効いており、体を曲げるシーンの多いゴルフにおいて何ら動きの障害になることはなかった。 カラーは無難な4色を展開しており、筆者が着用したグリーンは鮮やかな色合いで、ゴルフ場の中で映えそうだ。 機能面に目を向けると、会見でも語られたベルトの調整機能が特筆できる点で、写真にあるような無数の突起部分が上下3段に分かれていることで、段階的にベルトの位置を調整できるようになっている。 パンツ側の突起部分が小さく、パンツを履いた状態でベルトの突起部分と正確にアジャストするのは大変そうだが、担当者によると仮に端の部分しか合わせられなかったとしても、突起同士がしっかりと噛み合うため問題ないという。 ラインアップは、チャコール、ネイビー、ワイン、モスグリーンの4色展開で、サイズはS、M、L、2L、3Lの5サイズ。 価格は、BOA搭載モデルが1万9800円。BOA非搭載モデルが1万7800円。発売は4月中旬を予定しており、当面は主に同社ウェブサイト「ミドリ安全.com」での展開になるという。 また発売当初はメンズのみだが、今秋以降レディスも販売する予定で、ベルトもパンツの色に合わせたものや柄タイプなど、パンツとの組み合わせを楽しめるものもラインアップしていきたいという。 『MIDORI PF1』が腰痛ゴルファーのゴルフ寿命を延ばせるか注目だ。