月刊ゴルフ用品界2016年12月号掲載
なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
人口減が懸念されている日本。50年後には3分の2に、100年後には半減すると予測されている。特に、子どもを育てる若い夫婦より高齢者が多く、他エリアからの転入が少ない地域はその傾向が強くなり、残酷な表現だが、いやでも地方は消滅していくと予測されている。
この不可避な未来におけるゴルフ業界を想像してみると、地方の中堅ゴルフ場の多くに消滅の危機が訪れることは避けられそうにない。
結婚しない男女が増加中
この背景にあるのは晩婚化・未婚化だが、これらは進むばかりだ。初婚年齢は約30才となり、20年前より3才以上上昇した。未婚率においては、1980年に30代後半で5・5%だったものが、2010年には23・1%まで上昇し、2015年の国勢調査ではさらに上昇すると見られている。
未婚のまま40才を迎えた男女で、その後に結婚できるのは1~3%の現状だから、9割以上の人はそのまま結婚をせず生きる予測となり、ざっくり言うと4人に1人は結婚をせずに生涯をおくる時代が到来している。
では、なぜ結婚をしない人たちが増えているのだろうか?
「適当な相手にまだ巡り合わない」から
親世代のみなさんは、結婚しない我が子に対して「うちの子は関心がないようで・・・」などというが、実はあらゆる機関の調査で「いずれ結婚したい」と考えている人の割合は減っていないことがわかっている。だが、晩婚化や生涯未婚率は上昇するばかりだ(ちなみに女性より男性の方が悪化状況)。
結婚しないのにはワケがある。先述のいずれ結婚したい意思をもつ未婚男女に「独身でいる理由」を尋ねると、20代~40代のすべての年齢階層において最も多い理由は「適当な相手にまだ巡り合わない」というものだ。
これを聞き、勘の良い読者は、この理由に矛盾を感じるかもしれない。未婚の男女が増えている社会において出会いがないとはどういうことかと・・・・。しかし、本人たちは何の矛盾も感じていない。それどころか、なぜ自分が今そうなっているかを理解している人も少ないだろう。
なぜなら、これは本人の問題ではなく、社会が生み出したものだから。ここがとても大切な点だ。
会社の外に出て、自ら積極的に「狩り」をしないと結婚できない社会になっている
大きな背景は2つだ。第一に、男性側の変化がある。成長期の日本と比べて男性の年収は大幅に減少しており、将来の雇用不安は増えている。これらが結婚への不安点になり、大黒柱として誰かを養うよりも一人で生きる方が楽なのではないかという価値観を生みつつある。
女性も同じで、不安な社会であるからこそ、男性に生活力を求める傾向があり、両者がマッチしない。
第二に、結婚にいたる出会いルートの変化があげられる。まず、社内恋愛の減少だ。女性の産休・育休制度が整うなかで、結婚後も出産後も同じ会社で仕事をつづける女性が増えており、寿退社という言葉すら懐かしいレベルだ。
昔のようにステキな旦那様に出会うための就職という概念はなくなり、逆に、同じ会社で何人もと付き合うと後々面倒くさいことになるし、そもそも夫と同じ会社は嫌だという心理が働き、社内での恋活・婚活を自然に避けるようになっている。
これによって「社内結婚」というルートが活性化しなくなった。次に、昔は近所や親戚のおせっかいおばちゃんがお見合い話を持ってきたり、人を紹介したりする文化があったが、これがすっかりなくなったことだ。
実はこの紹介による結婚がなくなったことが、受身形が多い日本人男女において、致命的打撃になっている。
要するに、現代の男女は、会社の外に出て、自ら積極的に「狩り」をしないと結婚できない社会になっているのだ。そのことに気づかずに、親世代と同じような価値観で過ごしていると、本人も気づかないうちに年を重ねることになってしまう。
恋愛が怖くなる三十路半ば
女性は30代半ばを過ぎると女性ホルモンの減少がはじまり、個人差はあれど、男性に惚れる力「惚れ力」が弱まると言われている。
40近くになると、大好きな彼の子どもが持てないかもという気持ち・外見的魅力が減って萎縮する気持ちが芽生え、それらの気持ちが恋活・婚活を消極的にするケースが増える。40代後半になると親の介護問題が具体化し、それが心理的足かせになって、結婚に踏み切れなくなるというデータもある。
ようするに、この難しい年齢に到達する前に男女とも動くことが好ましいのだが、ぶっちゃけ、女性から見ると先述の「まだ結婚したくない男子」は超クセモノだ。女性にとって最大の価値は「時間」なのに、つきあっている彼女の心を掴んで離さなかったり、付き合うこと自体を避けたがるのだ。
私達ができる、小さくて大きな貢献
未来が不可避なら、どうすればよいのか? おせっかいな近所の紹介おばちゃんがいなくなった現在、セルフでの活動ができない人のために、周囲の人々がもっとおせっかいをすべきだ。
友人を紹介したり、配偶者の愚痴は封印して家庭の良さを自慢したり。特に、ゴルフ業界で働く人達は、ゴルフで培った優良人脈が豊富なはず。
未来の子どもたちのためと言うとゴールが遠いかもしれないが、男性ゴルファーにゴルフをしない女性をペアリングすると、高い確率で女性もゴルフをはじめるし、ゴルファー同士をくっつけるとゴルフデートが生み出され、業界にとっても即効性のある貢献ができる。人口減を不安視する私達ができる小さくて大きな貢献である。
女性たちはもっとゴルフをしたいと思っている。しかし、そのモチベーションは上下する。では、どんな時に女性はラウンドに行きたくなるか? 女性1000人に聞いた結果がグラフである。
1位が「天気が良い時」である。予定を入れていない休日に、空をみあげて、あーゴルフでも入れておけばよかった?などと思うのだ。ゴルフ業界にとって、なんと勿体無い機会損失だろう。ここで当日にさくっと予約してゴルフにいけるようなサービスが充実していると、彼氏やダンナさまとの2サムが活性化して嬉しいとの声もある。
2位の「練習で調子がよい時」4位の「ラウンドで調子がよい時」をみると、女性は、叱って伸ばすより褒めて伸ばす方があっていると考えられる。次のラウンドではよいスコアがでるかも! 当たる感覚がたのしい! と、ルンルン気分の時に、単純にラウンドに行きたくなるのだ。

世の中には、難しい物をこなすのがカッコイイという人もいるが、多くの女性はそうではなく、大切な余暇をよい気分で過ごしたいのだ。これは挫折をしやすい時期=ビギナーが階段をのぼるために特に重要なポイントである。
このように考えると、ビギナー~アベレージ女性のラウンドモチベーションをあげるためには、ゴルフを「簡単に・優しくすること」が効きそうとわかる。簡単なゴルフクラブ・易しいゴルフ場、そして優しいプレーヤーが、もっと増えるべきだ。
3位の「ウェアを買った時」は、きっと男性にはでてこないモチベーションアップ要因ではないだろうか。ウェアを買うとテンションがあがり、せっかく買ったウェアをもっと着たいと思う女性が多い。だから女性たちは、アパレルブランドに自分たちが新しく買いたくなるようなウェアを展開してほしいと思っているし、ウェアを買った自分たちお客様に、ラウンド機会を提供するようなイベントや企画をもっとしてほしいと思っている。