年収400万円台の男女が始められる・つづけられるゴルフに!
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月刊ゴルフ用品界2017年1月号掲載
なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
女性や若い男女を取り込みたいという話は、昨今業界でよくあがる話だが、みなさんの会社では、具体的にどんな人物像をイメージしているだろうか? 例えば、未婚か既婚か、何歳で、どんな働き方で、どんな年収で、休日はいつで、どんな生活をしているのか。そして、大切なのは、その中のどんな人達にリーチしていくのかである。
年収とゴルフの関係
リーチ対象として「年収」について考えてみたい。その理由は2つあり、1つは、ゴルフはお金がかかるイメージがハードルになっていること。そしてもう1つは、リーチできる人口を大幅に広げるためだ。
例えば、ゴルファーを100万人増やすためには、転換率を大甘に10%と見積もっても、少なくとも1000万人以上にリーチする必要がある。日本の労働人口が6500万人であることを考えると、高所得者層にしぼってリーチしても、母数がたりないのだ。
もちろん、会社の経費でプレーをしたりクラブやウェアを買ったりする方もいるが、そういう人は日本経済と相関して減っている。また、女性や若い男女の社会的立場を推測すると、自腹でゴルフに行っている方が主なはずだ。
年収1000万円以上のプチ富裕層を狙っても人口は増えない
高所得者の登竜門として、年収1000万円という目安がある。プチ富裕層などと呼ばれたりもして、ゴルフ業界としても狙いたいセグメントである。では、日本にその人達がどれくらい居て、今後どう推移しそうか、現状を見てみよう。なお、年収1000万円層の手取りは、税金などが引かれて740万円くらいで、賞与を年2ヶ月として14ヶ月で割ると、毎月の手取りは約53万円となる。
国税庁の「平成25年度民間給与実態統計調査」によると、年収が1000万円以上の層は3・9%であり、10年以上前は5%以上だったことから、年収1000万円はどんどん狭き門になっていることがわかる。人口でみても、250万人から178万人と、3分の1近く減少している。
この状況から、年収1000万円以上の層を狙ってリーチしても、ゴルフ人口100万人増には全く近づけないと言える。また、ゴルフ人口が700万~
800万人であることを考えると、多くのゴルファーは年収1000万円以下とわかる。
男性のお財布はどんどん苦しくなっている
年収減は上の層だけに起きていることではない。現在、日本人男性の平均年収は515万円であるが、これは15年ほど前から比べると約60万円もダウンしている。
また、年収減だけでなく、手取りも減っている。東洋経済の調べで、年収800万円の男性(40才以上で、専業妻、15才以下の子が2人)の手取りは、2002年に662万円だったのが2015年には603万円と、同じ総支給額なのに13年間で59万円の手取り減、毎月に直すとマイナス5万円になっているのだ。
この背景には、所得税・住民税・社会保険料率のアップがある。賞与にも社会保険がかかるようになった点も大きい。
さらにお財布への打撃は、家計支出にも及ぶ。消費税増だけでなく、教育費もあがっているのだ。大学の学費は、バブル時代の1985年から2013年で、私立1・6倍・国立で2・2倍という具合に。
昔の豊かな時代より、年収が減り、手取り率が減り、避けられない支出が増えて、さらに、終身雇用も怪しくなって老後不安に備えて投資しなくちゃ‥‥。これでは、自分のお小遣いでゴルフができる既婚男性が減るのは当然と言える。
年収400万円台の男女が始められる・つづけられるゴルフに
ゴルファーの年収は、弊社の女性ゴルファーアンケート、あるいは他社の調査から、日本の平均収入より高いことが明らかである。しかし、ゴルフの裾野を女性や若い男女に広げるためには、400万円台の層をターゲットに入れられるようにすべきだ。
仮に現在、年収600万円以上の層が主ターゲットだとすると、これを400万円台まで広げると、対象人数が広がり、あらたな1000万人がリーチ対象となるイメージだ。そして、既婚・子供あり・妻がパートタイマーの平均年収男性と、年収400万円台の未婚男女やDINKS夫婦(共働き子供なし)で、どちらが使えるお金が多いかも考えて欲しい。
業界が女性を取り込みたいというなら、よりいっそう400万円台の層を意識する必要がある。女性の平均年収は、フルタイムで298万円以下。20・30・40代と年代別にみても、男性のように上がることはなく、年収400万円以上の女性は男性の半分以下しか居ないのだ。
このように、大きく裾野を広げるためには、未婚男女・DINKS夫婦が、ゴルフができる世界をつくる必要があるわけだが、そういう彼女たちは、若いかもしれない、数年は下手かもしれない、マナーはこれから学ぶのかもしれない。都内在住ではなく、地方が中心になるかもしれない。
もっとリーズナブルにしようとか、業界が変わるべきだという議論ではなく、みなさんの企業で戦略的にペルソナを年収400万円台の人々において考えてみてはどうだろうか。
どんな商品・価格・流通チャネル・マーケティング戦略にすべきか? 今までの概念や常識を捨てられた時、そこに数十万人のブルーオーシャンが広がっている可能性がある。