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  • コロナを乗り越える=ビヨンド・コロナが合言葉に

    小川朗
    山梨県甲府市生まれ。甲府一高→日大芸術卒。82年東スポ入社。「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女のメジャー大会など通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後独立。フリージャー...
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    埼玉の小川カントリークラブが民事再生法の適用を申請し「ゴルフ場のコロナ倒産第1号」などと騒がれている。しかし現実には新型コロナウイルスの感染拡大によって命脈を絶たれたゴルフ場はすでに出現していた。 価格競争に異常気象、消費税増税と厳しい状況が続く中、このコロナだ。ゴルフ業界は今、どうすべきなのか。その答えのひとつが「ビヨンド・コロナ(コロナを乗り越えて)」。新たな試みの、現場を照らす。

    ゴルフ場は複合施設の一要素

    山梨県北杜市は、太陽と水に恵まれた場所だ。 日照時間は全国平均の年間2000時間を500時間も上回り日本一。湧き出る水の美味しさには定評があり、「南アルプスの水」に代表されるミネラルウォーター生産量も国内トップを誇る。 燦燦と降り注ぐ太陽光と、ミネラルをたっぷりと含んだ名水が湧出する環境が何を生み出すのか。肥沃な土地と目に染みる緑だ。 夏の夜には降り注ぐ満天の星が目を楽しませてくれる。国立天文台宇宙電波観測所もすぐ近くの野辺山にある。秋には目に染みる紅葉が、眼前に広がる。 このエリアにいくつか存在するゴルフ場の中でも、どっしりとした存在感を醸し出すのが小淵沢CCだ。ゴルフ場単体として存在しているのではなく、複合的な施設のひとつという立ち位置こそがカギを握っている。 点在型ホテル、美術館、源泉のあるスパとロッジ、地産地消のレストラン、研修所、フットサルコート、テニスコート、フィッシングや乗馬。リゾートとして様々な楽しみ方ができるだけでなく、仕事ができる環境も整っている。 小淵沢カントリークラブといえば、年配のゴルファーには遠山偕成が保有していた「高級パブリック」という印象が強いはずだ。 しかし今、同ゴルフ場は中村和男氏に所有が移った後も、メンバーシップ制には移行しなかった。それでいて利用者には、ゴルフ場をプライベート感覚で利用する空間として使えることを重視して機能させている。 中村氏はいう。「ゴルフ場自体は、回りたい時に、3ホールだけ回って下さってもいいんです。6ホールでも、9ホールでも。18ホールにこだわる必要はないんです。もちろんプレーの料金は、いただきますが(笑)」。 コロナはゴルフのプレースタイルを劇的に変えた。感染拡大防止のため「三密」を控えることが必要とされる中、最もそこから遠く、安全だとされたのがゴルフの「たったお一人様プレー」だった。 家から一人で車を運転して、ゴルフ場に着いたら自分でカートにバッグを積み込み、18ホールをスルーでプレー。ホールアウト後の支払いは自動精算機となれば、感染リスクは限りなくゼロに近い。 マグレガーカントリークラブ(千葉)では自粛期間中、平日の朝のアウト・イン7組がすべて「たったお一人様」。連日20人程度が一人きりでプレーしていたという。 コロナ以前の主流だった「ロッカールームの使用と豪華な食事とプレー後の入浴」が感染リスクの高さから敬遠され、時短にもなるセルフプレーの良さに多くのゴルファーが目覚めてしまった。 もはや「コロナ前」の早起きして日が暮れる頃に帰ってくる日本ならではの「終日ゴルフ」には戻れない。それは一部の高級接待コースでしか成立しないだろう。 スループレーやハーフプレーなど、自由度の高いプレースタイルが主流になるのは明らかだ。休日を家族サービスや他の趣味に時間に振り分けたい人々にゴルフで1日を使い切るという発想はない。 若年層ほどこの傾向は顕著であるだけに、ゴルフへのハードルを低くするためにも、自由度の高いプレースタイルを提案すべきであるのは間違いない。

    カントリークラブとゴルフクラブの違いとは

    たとえばスパリゾートハワイアンズゴルフコース(福島県いわき市)。かつての「常磐ハワイアンセンター」は温泉プールやウォータースライダーを備えたテーマパークに変貌。映画「フラガール」のヒットもあり知名度もアップした。ここには27ホールのゴルフコースがあり、宿泊パックも定着している。 そもそも「カントリークラブ」の意味を知る人は意外に少ない。ゴルフクラブは本来ゴルフだけに特化した施設を呼ぶ。カントリークラブは乗馬クラブやプール、テニスコートなどの複合施設だ。 小淵沢は、カントリークラブそのものの形態を持っているわけだ。しかもカントリークラブのスケールには収まらない。と言うよりも、むしろ小淵沢アート&ウェルネス コンプレックスの施設を構成する要素がゴルフ場だという認識で作られている。 コロナを乗り越える=ビヨンド・コロナが合言葉に 提案されているのは、長期滞在型のリモート生活と、オフサイトミーティングが可能な環境で、仕事もすること。 コロナによって、デキるビジネスパーソンはどこに住んでいても仕事が可能であることが明確になった。対照的に仕事をしているように見せかけているだけだったり、変化についていけなかったりの「お荷物社員」もあぶり出されてしまった。 3時間のリモート会議が済んだら、3ホールほどゴルフをして乗馬や釣りを楽しむのもいい。スパでリフレッシュしてから、食事も地産地消のおいしいものを楽しめる。 絵画、陶芸、音楽など様々な分野のアーティストが集い居住しているエリアで、余暇と仕事を両立しながら人間的な生活が送れる。 宿泊施設も用途に応じて多彩となっており、ミーティングや研修などに使えるものも十分にある。 合言葉はワークとバケーションを融合させた「ワーケーション」だ。仕事を大自然にもちこんで、ゆったりと生きる。コロナ後の新たな選択肢となりそうだ。
    この記事は弊誌月刊ゴルフ用品界(GEW)2020年8月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ用品界についてはこちら
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