プレー人口激減期(18-23問題)とゴルフ場8  英国と米国のゴルフ場経営者に対する調査(1)

プレー人口激減期(18-23問題)とゴルフ場8  英国と米国のゴルフ場経営者に対する調査(1)
コロナ環境下で一時的にゴルフ人口が増えているという報道もあるが、人口減少や少子高齢化の推移を見ると、今後もゴルフ人口の減少傾向が続くことは間違いない。この連載では、筆者が提唱する「18-23問題」(2018年~2023年にかけてのゴルフ人口激減)に立ち向かうための改善策や基礎資料に基づく提言を述べさせて頂く。 「ゴルフ場改革7つの提案」(連載第1回より) 本連載の第1回(2021年5月号)において「エビデンスベースのゴルフ場改革7つの提案」について論じた。「7つの提案」とは、筆者による過去の研究(プレーヤー、未経験者、離反者、ゴルフ場・練習場支配人)から導かれた、ゴルフ場来場者(ゴルフ人口)の増加を目標としたロジックであり、以下の(1)~(7)の内容であった。 (1)1ホール単位での料金設定 (2)コースの時間貸し料金設定 (3)1ホールの時間貸しで同じホールを繰り返し回るプレースタイル【ボウリングスタイル】 (4)用具(クラブ)ルール規制の緩和【初心者向クラブなどルールでは認められない用具も使用可とする等】 (5)スマートゴルフ場化の推進【Wi−Fiをコース内に多数配置し自動チェックイン・チェックアウトを可能にする精算の完全オンライン化】 (6)ドレスコード自由化【ドレスコードフリー】 (7)ゴルフプレー以外のゴルフ場利用【入場料設定による公園的利用(ゴルフエリアとパークエリアの分離等)】

日本のゴルフ場支配人による7つの提案の評価

日本のゴルフ場支配人67人に「大変有用」~「全く有用でない」の5件法での回答してもらい、その結果を連載第1回(2021年4月号)では図1のように紹介した。この数字は「大変有用」と「まあ有用」の回答数を合算した回答率のうち、概ね50%以上を「今すぐできそうな現実的な取り組み」、概ね30%以上を「近い将来広がる可能性のある取り組み」、概ね20%以下を「現状ではごく少数でしかできそうにない取り組み」に類型化した(図1)。 この論考に対しては反響が大きく、他のメディアや業界関係者からも問い合わせが多かった。同様の調査を、海外のゴルフ場でも実施したので(調査期間:2021年2月25日~4月30日)本号において紹介したい。調査対象は、アメリカ合衆国のゴルフ場8コース、イギリスのゴルフ場4コースであった。回答はゴルフ場のオーナーまたは支配人によるものであった。

英米の経営者が考える日本のゴルフ人口増加方策

各国のオーナーまたは支配人には、『日本のゴルフ人口の推移や過去約20年以上に渡る様々な施策(女性やジュニアの参加促進、若者への訴求など)も期待したほど成果を上げていない』という主旨の説明文を示した上で、「日本のゴルフ人口拡大のための有用性」の観点から7つの提案に対する評価を求めた。日本での調査と同様に「大変有用」~「全く有用でない」の5件法で回答してもらった。 図2と図3は、連載第1回で紹介したまとめ方と同様に「大変有用」と「まあ有用」の回答数を合算した回答率を算出したものである。今回は英米ともにN数が少なくデータに偏りが生じている可能性が否めないため、あくまでも一資料としてご覧頂きたい。 回答に協力してくれたアメリカの8コースのうち、3コースがパブリック、5コースがビジター利用可のメンバーコースであり、従業員数は20名~100名とゴルフ場の規模は様々であった(図2)。 ドレスコードを重んじるイメージが強いイギリスにおいてもアメリカと同じく「ドレスコードフリー」への賛同率が最も高い傾向であった。回答に協力してくれた4コースは、全てビジター利用可のメンバーコースであった。従業員数は10名~50名であり図3のような回答割合となった。

英米のゴルフ場経営者に聞いたマナー違反の現状

日本のゴルフ場調査と同様に「貴ゴルフ場でよく見られるマナー違反」について自由記述で回答を求めた。その結果、図4のような回答が得られた。日本では「スロープレー」と「ドレスコード」が大半を占めるが、様々な記述が見られた。この点は、従来の国際調査と同様の結果であった。 「7つの提案」に関する調査結果の項目別詳細、および日本との比較・考察については次号で述べたい。
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2022年1月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら