ゴルフフェア2023初日(3/10)にシンポジウム『Z世代の本音を徹底分析』を開催

ゴルフフェア2023初日(3/10)にシンポジウム『Z世代の本音を徹底分析』を開催
コロナ環境下で一時的にゴルフ人口が増えているという報道もあるが、人口減少や少子高齢化の推移を見ると、今後もゴルフ人口の減少傾向が続くことは間違いない。 この連載では、筆者が提唱する「18- 23 問題」(2018年~2023年にかけてのゴルフ人口激減)に立ち向かうための改善策や基礎資料に基づく提言を述べさせて頂く。

Z世代の本音を聞こう!明日のゴルフ界のために

昨年末、Z世代のゴルフ事業者と対談した。オンラインで開催された座談会では、GEW片山哲郎社長が司会を務め、エースアンドレアの藤澤桃子さん、ゴルジーの石井涼太さん、武蔵野美術大学教授の北徹朗が参加した。この模様は、GEW(ゴルフ・エコノミック・ワールド)2023年1月号で『Z世代とは何者か?若者需要の開拓を討論』と題した巻頭特集として紹介され、大きな反響を得た。 座談会はオンラインで当事者のみで開催されたが、同じ主旨の内容をリアルで公の場で討論してはどうか、というアイデアが挙がり、ジャパンゴルフフェア2023の初日(3/10)のセミナー(主催:一般社団法人大学ゴルフ授業研究会)として開催が企画された。

本日(2023年3月10日)15:30~17:00にシンポジウムを開催

人口減少時代でZ世代の若者が注 目されるなか、大学の一般教養科目 の体育授業では、年間延べ10 万人の 学生がゴルフ授業を選択していると 推計される。 これほど多くの学生がゴルフ授業を選択している理由を、授業を担当する大学教授とZ世代の学生、さらに若手ゴルフ業界人を加えた5人で徹底討論し、ゴルフ界が若者需要を開拓するヒントを浮き彫りにする。登壇者同士だけでなく、聴衆との意見交換も行いたい。 本誌(GEW2023年3月号)は、ジャパンゴルフフェア初日(3/10)にパシフィコ横浜で発行される(はずだ)。来場者にも無料配布されるので、この記事を読まれた方は、是非、セミナーが行われている2階のアネックスホールに足を運んで頂き、討論にご参加頂きたい。参加費は無料だ。 シンポジウムの司会は、オンライン座談会と同じくGEW片山哲郎社長が務める。シンポジストとして、学習院大学の高丸功教授、Z世代学生、若手ゴルフ業界人が登壇する。また、指定発言者として目白大学の西田希専任講師が登壇する。

Z世代とは? 一般的に語られる特徴

あらゆるスポーツの中でも特にプレー時間が長く、4時間を超えるプレー時間のうち、実際に打っている時間は2~3分程度という特徴があるスポーツであるゴルフを、Z世代と言われる若者はどう捉えているのか。 いわゆる「Z世代」(1990年半ばから2010年代生まれの世代)の特徴として、・デジタルネイティブ・フリーミアム・サブスクリプションがよく挙げられる。これらの用語の意味は誌面の都合上で割愛するが、いずれもインターネット環境が前提条件であり、スマホを駆使した消費行動を好む点にある。また、Z世代は「所有」することよりも「使用」「活用」「体験」を重視する傾向が強いとされている。

サビから始まる曲が増え、ドラマは倍速で見る

体験重視とは言え、Z世代は時間にシビアである。時間節約、いわゆるタイパ(タイムパフォーマンスの略)の観点で、ドラマや映画は倍速で見るとか、サビから始まる曲が最近増えたと言われている。実際、大学のオンライン授業(オンデマンド)の受講履歴を見ると、同意できる点は大いにある。

Z世代の消費行動はアイドマからアイザス、そしてアルザスへ

ヒトの消費行動について従来言われてきたのがAIDMA【アイドマ理論】(Attention注意、Interest関心、Desire欲求、Memory記憶、Action行動)であり、ネットが普及してきた2004年頃に言われ出したのがAISAS【アイザス理論】(Attention認知・注意、Interest興味・関心、Search検索、Action行動、Share共有)であった。後者は、ヒトが情報を検索し自らシェアするという能動性を示している。 『広告白書2022』(日経広告研究所)によれば、これらに続いて注目すべきモデルとしてALSAS【アルザス理論】が挙げられている。アルザスとは、Algorithmアルゴリズム、Sympathy共感、Action行動、Share共有のプロセスを示すものであり、例えば、TikTokなどに代表されるSNSの「おすすめ」や「タイムライン」に表示される情報を受け共感・行動して行く受動的(中動的)な情報接触を求める傾向が強い世代とされている。

タイパ重視のZ世代にゴルフは冗長?

筆者が提唱する『ゴルフ場改革7つの提案』では、9ホールや18ホール単位だけでなく、1ホール単位のプレースタイルの導入を提案している。「タイパ」の観点からは、スルーでも4時間かかるゴルフは、Z世代にはウケない可能性が高い。遊び方の選択の自由性を高めた、ゴルフ場での遊び方をカスタマイズできるような環境が求められる。 また、単にタイパの観点からだけでなく、初心者や、これからさらに増加するであろう超高齢ゴルファーにとっても、有用性の高いプレー方法となるだろう。

「名作に学ぶタイパ追及の行く末」と「ゴルフの有用性」

チャップリン作の有名な映画『モダンタイムズ』(1936年)や、ミヒャエル・エンデ作の児童文学『モモ』(1973年)では、タイパ(時間節約)を追い求めた結果、人間性を失い、人々の心が荒廃して行く様子が描かれている。それらに学ぶとすれば、18ホールを時間をかけて、ゆっくり、ゆったりと楽しめるゴルフこそが、Z世代に最もふさわしいスポーツであるという捉え方もできる。 「ゴルフが認知症に効く」とか「ゴルフが社会人のマナー向上に役立つ」といったことが言われた時代があるが、これらの効用はゴルフに特化したことではなく、他のスポーツや日常生活の中でも体得できる場面が数多くある。 ゴルフの特徴は「プレー時間の長さ」であり、この部分こそが他のスポーツにない特徴である。タイパ重視の世代が、健康で幸せに過ごすために、適切あるいは最適なスポーツになる可能性は高い。
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2023年3月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら