プレー人口激減期(18-23問題)とゴルフ場(第28回)紫外線指数(UVインデックス)が『極端に強い』領域に日本は突入 来夏は暑さ対策だけでなく「紫外線対策」が必須

プレー人口激減期(18-23問題)とゴルフ場(第28回)紫外線指数(UVインデックス)が『極端に強い』領域に日本は突入 来夏は暑さ対策だけでなく「紫外線対策」が必須
コロナ環境下で一時的にゴルフ人口が増えているという報道もあるが、人口減少や少子高齢化の推移を見ると、今後もゴルフ人口の減少傾向が続くことは間違いない。この連載では、筆者が提唱する「18-23問題」(2018年~2023年にかけてのゴルフ人口激減)に立ち向かうための改善策や基礎資料に基づく提言を述べさせて頂く。

オーストラリアのゴルフ参加者は一般人口と比べて生涯の皮膚がん罹患率が2.42倍高い

南オーストラリア大学(University of South Australia)のブラッド・ステナー博士らは、2023年7月に公表された論文誌BMJ Open Sport Exerc Medにおいて、Golf participants in Australia have a higher lifetime Prevalence of skin cancer compared with the general population(オーストラリアのゴルフ参加者は一般人口と比べて生涯の皮膚がん罹患率が高い)という研究を発表した。 この論文の著者らは、「ゴルフを月1回以上行う人の皮膚がんの生涯罹患率は一般集団の2.4倍であり倍であり、紫外線(UVR)への長時間の曝露について予防策を講じる必要がある」と結論付けている。この研究については、日本においても幾つかのニュースサイト等でも取り上げられたが、そもそも、オーストラリアでは皮膚がん罹患者は多い。具体的には、毎年2000人以上が皮膚がんにより死亡しており、オーストラリア人の3人に2人以上が生涯のうちに皮膚がんと診断されるとされている。そのため、紫外線による健康被害を予防しようという意識が国民に広く浸透しているとされる。皮膚がんが多い背景としては、オーストラリアは南半球に位置しており、その強さは赤道直下に匹敵するとされる(三田、2023)。図1はオーストラリアの真夏のUVインデックスを示す。

2023年の日本におけるUVインデックス値はオーストラリア並みに上昇

[caption id="attachment_79030" align="aligncenter" width="500"]図2.2023年のUVインデックス(9月現在)3)[/caption] [caption id="attachment_79031" align="aligncenter" width="500"]図3.2022年のUVインデックス3)[/caption] [caption id="attachment_79032" align="aligncenter" width="500"]図4.2021年のUVインデックス3)[/caption] [caption id="attachment_79033" align="aligncenter" width="500"]図5.2020年のUVインデックス3)[/caption] [caption id="attachment_79034" align="aligncenter" width="500"]図6.2005年のUVインデックス3)[/caption] UVインデックスとは、紫外線が人体に及ぼす影響の度合い示す指標である。気象庁のウェブサイトではUVインデックス値を公開している。日本におけるUVインデックスは茨城県つくば市において観測されている。 2023年の推移(図2)を見ると「極端に強い」という日が複数出現していることが見てとれる。これは、過去3年(2022年、2021年、2020年:図3~図5)と比較すると、2023年の夏がいかに強い紫外線だったかがわかる。 例えば、2005年(約18年前)のデータ(図6)と比較すると、全体的な紫外線レベル自体が低い。近年は底上げ傾向であるばかりでなく、UVインデックス14前後のオーストラリアの夏並みの紫外線レべルに到達する日が出現するようになっている。

来夏(2024年)以降の真夏のゴルフは「日焼け止め」が必須

筆者は大学時代まで野球部(準硬式野球)で汗を流した経験から、日焼け止めを使ったことは実は一度もない。太陽の光を浴びて日焼けすること自体に心地よさを感じ、それ自体が健康的であるかのような気分で毎夏を過ごしてきた。年中屋外でハツラツとプレーしているゴルフを愛する皆さんにも、同じような人が多いのではないか。 しかしながら、日本の紫外線レベルは、皮膚がんのリスクなど、危険な領域に入ったことをこの原稿をまとめながら改めて認識した。来夏(2024年)以降、「日焼け止め」、「帽子」、「日傘」、「サングラス」等々、熱中症対策だけでなく、紫外線対策にも十分な準備が必要であろう。 引用・参考文献 1)三田雅昭(2023)紫外線と健康に関する論文数、世界4位―オーストラリアの科学技術シリーズ①、https://spap.jst.go.jp/oceania/experience/2023/topic_eo_01.htm(2023年9月22日確認) 2)A ustralian Governmen(t 2023)Average solar ultraviolet (UV) Index、http://www.bom.gov.au/jsp/ncc/climate_averages/uv-index/index.jsp?period=dec#maps(2023年9月22日確認) 3)気象庁(2023)日最大UV インデックス( 観測値)の年間推移グラフ、https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/uvhp/link_daily_uvindex_obs.htm(2023年9月22日確認)
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2023年10月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら