~本質はなんだ!論16~ 現代は、「VUCA時代」「思考を継続する力」が必要! 日本ゴルフ場経営者協会専務理事 大石順一

~本質はなんだ!論16~ 現代は、「VUCA時代」「思考を継続する力」が必要! 日本ゴルフ場経営者協会専務理事 大石順一
団塊の世代のすべてが後期高齢者となる2025年に突入し、団塊層のゴルフリタイアによって市場が縮小する「2025年問題」。これは業界共通の課題ですが、筆者は、高齢化による需要の変化は予測可能な課題であり、解決策は見出せると考えています。 団塊の世代は、ゴルフを生活の一部として、半世紀にわたり日本のゴルフ発展を牽引してきました。この世代に対してゴルフ界は、プレー継続による健康寿命の延伸により、幸せな生活を実現して頂きたいとの感謝の念を込めた施策を展開しつつ、同時に新規ゴルファーを一人でも多く増やすこと。以上の意識に基づいた施策の展開は、多くの業界関係者が共有するところだと思います。 そこで本稿では、別の視点から今後の課題を考えてみます。その課題とは、就職氷河期世代(1973~82年生れ)についての問題です。 総務省の労働力調査によれば、就職氷河期前期世代(1973~77年生れ)の20代後半時点での正社員率は、男性で88.3%、就職氷河期後期世代(1978~82年生れ)では82.4%で、それ以前の1963~72年生れの90%半ばに比べて大きく見劣りする状況でした。 就職氷河期世代の人口は2000万人超で、総人口の6分の1を占めています。2020年代に入ってから、政府の政策により正社員率は若干上昇したものの、正社員化への遅れにより、他の世代に比較してこの世代の年収は100万円以上低いと分析されています。 この年収格差の影響は、総務省の「2023年度住宅・土地統計調査」にも明らかです。この世代に該当する40歳代~50歳代の持家率は30年前に比べて10%も低下しており、他の世代よりも低下率が大きくなっています。となれば余暇支出、特にゴルフに振り向けるゆとりが少ないのも当然で、40歳代~50歳代半ばのゴルフ参加率は前後の世代よりも低い状況です。今は辛うじて高齢者のプレー継続によって維持されているゴルフ市場は、就職氷河期世代が60歳代に到達した時、大きく減少することが予測されます。 問題はこれだけではありません。少子化による人口減少局面の日本にとって、地球温暖化の影響が追い打ちとなることも懸念されています。妊婦が高温にさらされると、流産や死産・低体重の子供が生まれるリスクが高まるとの研究が、イギリスやオーストラリアで発表されました。 「国連児童基金(ユニセフ)」は2024年、「極端な熱ストレスは、死産や低体重児の出産との関連が指摘されている」と発表しており、地球温暖化が未来を担う世代に深刻な影響を及ぼす懸念を表明しました。ゴルフ場は、地球温暖化防止に貢献する緑化機能を有する産業として、環境保全への貢献が期待できる。そのことを我々は、もっとPRする必要があるでしょう。 現代は「VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代」だと言われています。ロシアによるウクライナ侵略や、米国のトランプ政権による急激な政策変更など、グローバル化する世界経済は複雑に絡み合い、先行きの予測がますます困難になっています。 このような状況に対応するには、従来の知識や経験だけでは頼りになりません。「焦らずにその状態を受け入れる能力」「すぐに結論を出そうとせずその状態に耐える力」「落ち着いて状況を観察して思考を深め、新たな視点を受け入れる」など、不確実性を受け入れる「ネガティブケイパビリティ」を持って、思考を継続する必要があるようです。
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年5月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら