既に300以上のゴルフ場が日本から消滅
日本ゴルフ場経営者協会の資料によれば、国内のゴルフ場数は概ね下記の様に推移している。
・1957年頃:約100コース
・1967年頃:約500コース
・1975年頃:約1000コース
・1992年頃:約2000コース
・2002年頃:約2460コース(←ピーク)
・2026年現在:約2100コース
ゴルフ場数のピークは2002年頃の約2,460コースであったが、現在では約2,100コース程度まで減少しており、2026年現在、300以上のゴルフ場が既に日本から消滅している。
1987年の総合保養地域整備法(いわゆるリゾート法)の後押しで、1980年代~2000年頃にかけて、この法律を盾に、これまで守られてきた日本の森は節操なく拓かれた。リゾート法は、良好な自然環境を有する大規模な地域に民間活力を利用して余暇施設を整備し、国民の余暇の活用や地域振興に資する目的で制定されたものであり、事業者においては、その目的を達成するために、従来の開発規制を緩和し、開発のための財政優遇措置が講じられた。
しかしながら、その僅か20~30年後には、貴重な自然を破壊してまで作ったゴルフ場が簡単に諦められ、メガソーラーへの転用が相次いでおり、結果的に当初の開発目的から著しく逸脱した結果となっている。しかしながら、赤字ゴルフ場が多い状況を鑑みると、この流れは今後も続くと思われる。
30年間変われなかったゴルフ場
「レジャー白書」によれば、日本のゴルフ人口のピークは1992年の約1480万人であった。その後減少し続け、2020年に約520万人、最新データ(2024年)では約480万人とされており、ピーク時の3分の1以下にまで減少している。
ゴルフ人口が減少に転じた年の約10年後(2003年)に、経済産業省は「ゴルフ市場活性化行動計画検討会」を組織し、調査に基づき報告書を発表した。また、それがきっかけとなり、経産省の旗振りでゴルフ産業横断的な『GMAC(ゴルフ市場活性化委員会)』が組織され、現在に至っている。
この報告書の提言として、ゴルフに親しむ比率が低い層(女性、ミドル層、ジュニア等)の掘り起こしが示された。そして、その後は20年以上にわたり、日本のゴルフ産業界は「若者需要の開拓」をスローガンに掲げてきた。しかしながら、その本気度には極めて???が付くものであったと言わざるを得ない。
経営者は協力的でもゴルフ場の現場はビギナーや若者に冷たい
リクルートが打ち出した「ゴルマジ!」は、ゴルフ場や練習場が無料で利用できる企画である。2014年に「ゴルフ場74施設」と「ゴルフ練習場128施設」を対象に華々しくスタートした。当初は19歳のみが対象であったが、現在では19歳~22歳までがこの企画を利用可能となっている。しかしながら、参加施設数推移を見ると、2026年現在、協力企業はピーク時と比較して極めて少なくなっている(ゴルフ場:約10分の1、練習場:約5分の1)。
<ゴルマジ参加施設数推移(リクルートのウェブ公開資料より)>
・2014年:ゴルフ場97施設、練習場180施設(合計277施設)
・2016年:ゴルフ場157施設、練習場237施設(合計394施設)
※施設数合計のピーク
・2021年:ゴルフ場42施設、練習場78施設(合計120施設)
・2026年:ゴルフ場17施設、練習場53施設(合計70施設)
※2026年7月15日現在
ゴルフ場職員から無視される下っ端教員
同じく、大学生向けのゴルフ企画であり、筆者が主宰してきたGちゃれ(大学生のゴルフ場体験企画)は2015年に第1回を開催し、2026年度までに全国のゴルフ場で200回以上開催されており、3000名以上の大学生がコースデビューを果たしてきた。業界的にはゴルファーの芽を育てる喜ばしい企画だが、ゴルフ場の現場ではそうとは限らない。エピソード事例を3つ紹介したい。
【事例1】使用していない7番ホールについて「7Hのグリーンがとても荒れている、先生あれは困るよ」
【事例2】「学生に風呂は静かに入るように指導して下さい」と強く忠告されたが、学生は風呂を使用していない
【事例3】学生を引率した若い先生が職員に確認や質問をしても無視され立ち去られた
大学生をゴルフ場に引率する中で、日本のゴルフ場ではビギナーやゴルフ歴が浅い人がゴルフ場にいるというだけで、やたらと厳しい態度や視線が向けられることがあった。新しいゴルファーの来場は、必ずしも「来てくれてありがとう」ではなく、ゴルフ場サイドが微妙な態度をとるケースがしばしば生じる。ゴルマジが定着せず激減しているのも、そうした風土が大きいと思う。
すなわち、「若者需要」とお題目的には言いつつ、日本のゴルフ場は【完成されたゴルファー】しか歓迎しない土壌であり、下手なゴルファーやビギナーにはとても冷たい実情がある。
完成された韓国人ゴルファーの増加は願ったり叶ったり
その点で、近年増加しているとされる韓国人インバウンド(完成された海外のゴルファー)を多く招き入れることは、現状維持を望むゴルフ場においては願ったり叶ったりで、日本のゴルフ場経営にとっては逃してはならない、素晴らしい流れではないか。
韓国のゴルフ場数は需要に対して供給数が少なく、高額であることが知られている。また、韓国の522ゴルフ場のうちメンバーコース約29%、パブリックが約71%とされ、この点がまず日本の状況(メンバーコース約90%)とは異なっている。メンバーコースが多い日本のゴルフ場ではコースメンテナンスに力点を置くことが普通のため、「価格の安さ」とともに「行き届いたコース管理」(安くて美しく快適なコース)も魅力なのだろう。また、ハーフターン時に昼食をはさむ固定化された日本のプレースタイルも、逆にゴルフツーリズムの客にとっては魅力(楽しみ)となっているのではないか。
もっと評価されるべき茨城県知事のPR活動
日本において100か所以上のゴルフ場を抱える都道府県は5つあり、茨城県はそのうちの1つである。大井川和彦知事は、韓国で日本のゴルフ場のPR活動を行うなど、韓国人ゴルファーの誘致に力を入れていることが知られているが、良いところに目を付けた、とても優れた活動ではないか。
総務省の資料によると、ゴルフ場利用税収入で茨城県は全国3位であるが、最終的にそれが交付されている基礎自治体(ゴルフ場が位置する市区町村)の上位10位に茨城県の自治体は1つも入っていない。要するに、市原市(千葉県)や三木市(兵庫県)のようにゴルフ場が一部の自治体に集中していないため、ゴルフ場から得た税収は県内の自治体に広く分散している。つまり、ゴルフ場から得た税収を広く県民のために活用できる環境である、ということだ。
外国籍や観光客であっても、プレーに際してはゴルフ場利用税を支払う。さらに、これまで利用頻度の低さが指摘されてきた茨城空港の有効活用と組み合わせた発想で取り組まれている点も素晴らしい(中東情勢悪化による原油高で一時運休されているが、成田空港からも近い強みがある)。
前述のように、日本のゴルフ事業者が求めているのは「完成されたゴルファー」であり、その要請にも見事に応えている。この取り組みが定着すれば、ゴルフ場の黒パネル化を抑止し、日本のゴルフ環境が守られることも期待できる。「ゴルフ場」「ゴルファー」「住民」「空港利用促進」のWin-Win-Win-Win“クアドラプル・ウィン”(四方よし)の可能性の高い、優れた発想ではないか。
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2026年8月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
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