マジェスティを知り尽くす『ソムリエ』の神髄に迫る

マジェスティを知り尽くす『ソムリエ』の神髄に迫る
7月10日、いよいよ『マジェスティプレステジオ』の11代目が発売された。 言わずと知れたマジェスティのブランドを代表するフラッグシップモデルとなるが、その販売に大きな影響力を持つのが、全国に300名弱いる『マジェスティ・ソムリエ』だ。『マジェスティ・ソムリエ』とは、マジェスティオーナーや購入を検討するユーザーへのサービス向上を目的に研修を受けて資格を取った販売員。マジェスティについて極めて高い商品知識を習得したスペシャリスト集団である。 そこで今回、ソムリエの一人であるそごう大宮店の石上哲男店長(61歳)を取材。マジェスティにかける熱い想いやその仕事への取組みを聞いてみたが、聞けば聞くほど、なぜ高額な『マジェスティ』が売れるのか、その本質が見えてきた。 11代目『マジェスティプレステジオⅪ』の発売を1カ月後に控えた6月中旬、マジェスティゴルフの直営店・そごう大宮店(埼玉県)を訪ねた。目的は2013年から同店で『マジェスティ・ソムリエ』を務める石上哲男店長に話を聞くためだ。 その石上氏の第一印象を一言で表現すれば上品な紳士。高級ブランド『マジェスティ』の販売を牽引してきた自信が作り出す柔和な笑顔が、老舗百貨店の風景へ見事に溶け込む。その風貌だけで、「この人から買った方がいいかな」と感じてしまうほどだ。正に、ブランドを広める伝道師? その仕事ぶりに迫ってみた。

「外商部との情報交換がとても重要です」

GEW まずは、石上さんのキャリアから教えてください。 石上氏 1991年にマルマン(マジェスティゴルフの前身)に入社、7~8名で構成される直販部隊に配属されました。主に商社や銀行向けにファミリーセールするのがメインの仕事ですが、プロや研修生からオーダーなどももらっていました。そして、96年にそのメンバーを中心にマルマンから離れて自分たちで会社を設立、マルマンのクラブを売り始めたのです。 GEW 一度、会社を辞めて独立したのですね。 石上氏 ええ、でも10年間やった後にリタイヤするメンバーも増えてきたので、会社を畳み自分一人でゴルフ用品の販売を手がけましたが、2013年にマジェスティゴルフが直営店を大宮そごうに出店するのを機に、同社へ復帰、ソムリエとして働き始めたという経緯です。 GEW なるほど。本当にマルマンとマジェスティを売り続けたキャリアと言えますが、デパートということで顧客や販売方法も独特ですか。 石上氏 基本は朝10時~夜20時までで早番遅番のシフトを組んでいます。スタッフは私とそごうの社員2名の計3名です。一日の始まりは、朝礼が終わった後に外商メンバーとのミーティングを必ずやります。高額取引がデパートの生命線でもありますからね。 GEW  具体的なミーティングの内容とは。 石上氏 外商部隊との情報交換です。例えば、「前日に外商のお客様がゴルフ売場に立ち寄って『マジェスティ』に興味を持っていた」といった情報をそのお客様の担当者に情報として伝えれば、担当者はお客様に「昨日ゴルフ売場に来てもらったみたいですね」と言えるんです。そうするとお客様も「ちゃんと自分のことを担当してくれているな」と思ってくれるんです。そういった情報交換や信頼関係が、特にデパートの商売では大切なのです。 GEW なるほど。石上さんのお仕事は外商がメインになるんですか。 石上氏 そうですね。この大宮エリアには『マジェスティ』を販売する量販専門店がたくさんありますし、『マジェスティ』の購入率も高い土地柄なのです。だから、他のお店のお客様をうちのような直営店が奪ってしまうわけにもいきません。そういった意味でも外商をメインにしていれば間違いはないんですね。

「必ずもう一度来店される。それを信じて押し込まない」

GEW そういう気遣いもあるわけですね。ところで、このお店は本当に素晴らしい店構えですね。品揃えは豊富ですし、百貨店では珍しく試打環境も充実していますが、お客様を接客する上で大切にしている信条は何ですか。 石上氏 『マジェスティ』は高額なので売ることを焦らないことですね。昔自分で商売していた時は売り逃さないようにワンチャンスで売っていましたが、ここでは無理してお客様に押し込むことはしません。押し込んでお客様に合わないクラブを提供してしまうということはゴルフクラブの販売においてよくあることですが、それをしてしまうと百貨店に迷惑をかけてしまいます。そこは一番注意するところです。 ただ、お客様の気分が乗っている時はご購入を薦める場合もあります。この店はデパートの中にありますが、直営店なので臨機応変に対応できるところがいいところです。お客様は馴染みの方も多いですが、外商を通さず初めて来店されるお客様もいらっしゃいます。 そうすると、どんな方なのかよく分からないので、まず知ることから始めます。どんなキャリアのゴルファーで何を望んでいるのか。この辺りを情報収集してお客様のイメージを組み立てていく作業が最初になります。そして、お互いの波長が合えばまた来店してくれます。それを信じて焦らずやっているのです。 GEW 具体的な客層はやはりマジェスティオーナーが中心ですか。 石上氏 そうですね、取り寄せで他メーカー品を販売することもありますが、『マジェスティ』を販売すれば私がアフターフォローもできますし、保証もしっかりしているので、そごうもチームとして強く『マジェスティ』を推奨してくれています。 GEW でも、中には『マジェスティ』以外のクラブを使っているお客さんもいますよね。 石上氏 ええ、オーナーの方とそうでない方がいますが、『マジェスティ』以外のクラブを使用している人は軽量クラブに興味があって来店される人が多いですね。年齢的には60歳以上の『ゼクシオ』ユーザーとかです。昔の『ゼクシオ』は特別感がありましたが、今は初心者や中級者も『ゼクシオ』を使っていますし、中古ショップにも並んでいる。とても一般的になったので、『ゼクシオ』から「みんなが持っていない所有感のあるクラブ」へのシフトが進んでいて、そこに『マジェスティ』がハマっているといえます。そういった意味で、『ゼクシオ』からの買い替えは落とし込みが早いという特徴がありますね。 GEW しかし、『ゼクシオ』は8万円で『マジェスティプレステジオ』は23万円なので値段が3倍近い。ちょっと手が出難いのでは。 石上氏 値段が『ゼクシオ』に近いという点では『ロイヤル』は12万円なので買い換えしやすいと思います。でも、ドライバーの買い替え期間が5年、10年という人もいるので、そういう人はせっかくだからと『プレステジオ』を購入することもあるんです。

「毎週木曜日はお客様とのラウンド」

GEW こちらには弾道計測器が導入された試打室も完備されていますが、どんなスタイルで『マジェスティ』を推奨されるのですか。 石上氏 自分のクラブを持ってくるお客様もいますし、『マジェスティ』に興味を持って手ぶらで打ちにこられる方もいます。弾道測定機は『プレシオ』と『スカイトラック』を完備していますが、画面で弾道を見たい場合は『プレシオ』、弾道の細かい数値を見たい場合は『スカイトラック』とそれぞれに特徴があります。私がお客様を見てどの計測機がいいかを判断、時と場合で使い分けています。 GEW なるほど、具体的にはどういったプロセスでお客さんにフィッティングするのですか。 石上氏 ほとんどアドレスした状態を見れば分かるのですが、大切なのは軽量長尺クラブを効果的に使う方法のアドバイスですね。例えば、『ゼクシオ』との比較でいえば、『ゼクシオ』の長さは46インチ未満でしょうが、『マジェスティプレステジオ』なら47インチなので1、2センチ長くなります。だから、『マジェスティ』が初めてのお客様には、今までお使いのクラブよりも軽くて長いので、それを使いこなすためにちょっとやって頂くことはありますとアドバイスします。 例えば、アドレスのボールとの距離も少し長くなりますし、短くて少し鈍感なシャフトよりも軽量長尺シャフトは反応が速くなるので少し切り返しのタイミングが変わるなどといったことを説明します。あとは、実際にお客様とコースに出て、その時にも気付いたことをアドバイスするようにしています。 GEW 試打室だけではなく、実際にコースに出て結果も見ていくのですね。 石上氏 大体、毎週木曜日はお客様とラウンドするようにしています。お客様とのラウンドの際は現地集合でもいいと思うのですが、それだと話す機会が少なくなるので、ちょっと手間にはなりますが、お店からお客様と一緒にゴルフ場に行くようにもしています。 GEW ゴルフの送り迎えで色々と話せますし情報交換もできますよね。さすが、ソムリエですね!ところで、毎月の販売本数はどの程度ですか。 石上氏 ドライバーなら平均単価12~13万円で30本。お客様に検討して頂いていたものが週末にまとめて売れることもあります。そごうのカードは毎月10日締めの翌8日の支払いなので、10日過ぎてから買いに来るお客様も多いので、デパートの割引日をそこに当てた販促活動もしています。 GEW アイアンはどうですか。 石上氏 アイアンは少し難しいですが、20万円のセットが2~3セットですかね。

「紹介だと値段の話にならないのでいいんです(笑)」

GEW ソムリエの仕事で一番大切なのはアフターサービスとのことですが、やはりそこが肝心ですか。 石上氏 そこは一番気をつけてますし、時間もかけています。実際にお客様にこちらに来店して頂くことはこっちが努力しても難しい部分はあります。やはり近郊には競合店も多いので、来店を待つばかりでは仕事になりません。だから、試打ラウンドが大切なのです。あとは年齢が上の方が多いのでご紹介を頂くことも頻繁です。会社の社長様も多く、そういう人達は「ここが安いからこっちで買う」というようなお客様ではないので、ここが私が一番狙ったいるところ。この部分にすごく時間をかけています。 特に、大切なのが試打ラウンドですね。購入頂いたお客様とその友人とプレーさせて頂き、紹介してもらうことも多い。人間関係の中でお客様を紹介して頂けるので、値段のことを言う人もいませんから(笑)。 GEW 毎月、何名くらい紹介を受けるんですか。 石上氏 大体3名くらいですかね。でも、この人たちはかなり購入率の高い方たちです。最近はコロナで店頭でのイベントも自粛していたのですが、そうしたら1、2月辺りにあるお客様から「クラブを買ったんだから一緒に回ろう」と言われてプレーしました。そのお客様はいいお客様を持っていて、色んなパターンでゴルフに行くようにもなっています。また、ある『プレステジオ』のオーナーとゴルフに行った時には帰りにお店に寄って頂き、友人の方が『ロイヤル』の70万円のセットを購入してくれました。 GEW 70万円ですか、すごいですね。やはり人間の付き合いが大切ということが分かりますが、その他アフターサービスで大切にしていることは。 石上氏 グリップ交換ですね。ここにはフルラインアップでマジェスティのグリップが在庫してあるのでお客様には購入時に「グリップ交換はとても大切なので必ずここで交換してください」とは言ってあります。 GEW グリップは本当に大切ですよね。少しでも重量が変われば振り心地も異なる。その辺りは本当に繊細ですよね。ソムリエの仕事って、本当にディテールが大切だということが分かりました。では、最後に7月10日に発売する11代目『プレステジオ』の販売への意気込みをお願いします。 石上氏 『プレステジオ』では初めてカーボンクラウンを採用、反発力の高い「3Dウェイブフェイス」を採用するなど、10代目を一区切りにゼロから開発した部分も多いニューモデルとなります。 見た目もカーボンの網目模様とグラデーション塗装が美しく見えるので、お客様にもインパクトはあると思いますよ。あとは飛距離も出ますし打感もいい。だからかなり期待しています。オーナーの方にはDMを出し試打ラウンドの予約も入れて頂きます。週一ペースで積極的に紹介していく予定です。 GEW 分かりました。頑張ってください。本日はありがとうございました。 マジェスティゴルフ/03-6275-6308  https://majesty-golf.com/ マジェスティ・ソムリエのいるお店リスト https://majesty-sommelier/