赤いラベルをグリーンに変えて、日本シャフトの長寿ブランド『950』が生まれ変わる。正式名は
『N.S.PRO 950GH neo』(950ネオ)で、『950』のデビューは1999年だから20年ぶりのモデルチェンジ。
日本シャフトを救った『950』誕生秘話

そもそも『950』は同社にとって、救世主といえる存在だった。バネ大手・日本発条の子会社として1959年に創業した日本シャフトは1989年、1000万本超のスチールシャフトを販売したが、他社のアイアン用カーボンが台頭して3年後には3割減。
その後も凋落は止まらず、1996年には最盛期の10分の1まで落ち込んだ。この時、親会社を含めてシャフト事業撤退の議論が起こり、起死回生を狙ったのが『950』。
当時社長だった池田正和氏は「このモデルが失敗したら後がない。まさに背水の陣でした」と振り返る。
その『950』は昨年8月、累計販売量4000万本を突破して地球一周分の長さに達したとか。
『950ネオ』はこうして生まれた

その余勢を駆って9月に発売するのが『950ネオ』だけに、営業部の栗原一郎主任も気合が入る。
「『950』のデビュー当時は、薄いアイアンヘッドに重くて硬いシャフトの組み合わせが主流でした。ダウンブローに打たないとボールが上がらず、その悩みを解決したのが軽量スチールの『950』です。
ただ、あれから20年経って飛び系アイアンが登場するなど、ヘッドの大型化とストロングロフト化が進展した。この変化への対応は、喫緊の課題だったのです」
ストロングロフト化でアイアンの総飛距離は伸びたものの、キャリーが減ってランで稼ぐ弾道が一般的になり、この点の改善が求められた。
「アイアンは狙ったところに落とすクラブです。そのため『ネオ』は、中間剛性を『950』より高くすることで相対的に先端がしなり、現代のヘッドでも高弾道かつスピンで止められるスチールシャフトに仕上がりました」
動画で解説 『950ネオ』はこんなアイアンに最適!

開発に際して、アイアンヘッドのタイプを4分類したという。具体的には、
①マッスルバック
②セミキャビティ
③大型ヘッド
④飛び系
『950ネオ』は2タイプのヘッドで最適な結果が得られる開発に集中した。ターゲットは『ゼクシオ』に代表される③と、『インプレスUD+2』などの④。
今秋発売の7社8モデルのアイアンに採用が決まり、標準仕様の1スペックで対応する。『950』は過去、クラブメーカーの求めに応じて微妙に仕様を変えたことが長期的ヒットの一因だが、今回は1スペックでフルカバーしていく構え。
『950』との自社競合を防ぎ、『ゼロス』『モーダス』との棲み分けを図る。以下、栗原主任との動画インタビューを掲載しよう。