スチールとカーボンのメリットを併せ持つトゥルーテンパースポーツインクジャパンの『スチールファイバー』をギアに精通するソクラテス永井延宏プロが検証する。
[surfing_voice icon="https://gew-web.com/wp-content/uploads/2017/05/photo_nagai.jpg" name="永井延宏プロ" type="l big" bg_color="eee" font_color="000" border_color="eee"]1969年埼玉県生まれ。アメリカ・オーストラリアでの経験をもとに、グローバルな視野と独自のティーチングメソッドを構築。NPO法人ゴルフアミューズメントパークの理事として、ゴルフ市場の発展や指導者の育成にも携わる。2006年度レッスンオブザイヤー受賞[/surfing_voice]
米国ツアーでの使用率が高い『スチールファイバー』
トゥルーテンパースポーツインクジャパンからエアロテックの『スチールファイバー』アイアン用シャフトが5月末に発売されます。このモデルは、USPGA、シニア、LPGAでの使用者も多いモデル。
今回は重量帯の『i125』、『i110』と軽量帯の『i80』と『i70』をテストしました。
実は、『i110』をもう5年くらい使っています。『スチールファイバー』には、独特のフィーリングというのがありまして、打った時のシャフトのつぶれ感、ターフを取った時にシャフトがグシャッとなる感じがとても心地いいんです。また、厚いインパクトが得られるのも特徴です。
i110試打データ
『i110』を改めてテストしてみましたが、予想以上に飛びますね。手元に重量感があるので切り返しの際にタイミングが取りやすい。そして、ほど良いしなりとつぶれ感もあり、非常に心地よさを感じます。
ボールをコンタクトしてからのシャフトの弾き感、バーンと打って行ける、こしの強さがあるんですけども、『スチールファイバー』という名の通り、カーボンがメイン素材で一番外側にスチールの繊維を巻き付けているのが特徴になっています。
スチールとは違うし、カーボンとも異なる。何ともいえない不思議な感じです。
次に『i125』ですが、『i110』よりも15gほど重さが増したものです。普段は『i110』を使っていますが、夏場で身体がよく動いてきたりするとちょっと『i110』だとクラブが軽いと思うこともありました。だから『i125』を試すのはとても楽しみです。
ちょっと持ってみると確かに剛性感、重さが『i110』とは明らかに変わりますね。手元側の重さがこれだけはっきりと出るということは『i110』とは結果が大きく変わりそうです。
i125試打データ
『i125』を打ってみましたが、やっぱりちょっと重いですね。私のヘッドスピードよりもう一つ上の人が合いそうな気がします。
でも、テイストは『i110』と同じような感じで、手元側の重量感が増した分タイミングの取りやすさはあります。この重さが使い切れる人だとエネルギー感のあるインパクトが見えてくる。アイアンらしさがよく出せると思います。
また、今回はSシャフトを打ちましたが、例えばRシャフトにしてみるとか、あとは工房的な組み立てでいえば番手ずらしをやってもらうといいのかなという気がします。特に、『i125』だとウエッジに入れるといいかなという気がします。カーボンらしいインパクトした後にスッと衝撃が消える。このフィーリングというのはインパクトの緩みをなくしてくれます。
スピード感があり飛距離も出る軽量タイプ
続いて軽量タイプの『i80』を打ってみましたが、全く頼りなさというのはなかったですね。
全体的なバランス感でいうと手元側にしっかり感と重量感があるので数字で感じる重量のイメージよりは振り心地がしっかりあったなという気がします。
i80試打データ
そして、何より軽くなったことでシャフトのしなり戻りのスピード感が出ます。飛距離が出てインパクト効率の高さも感じました。あとはフェースの方向に真っすぐボールが出ていく感じがある。フェースコントロールが非常にしやすいシャフトですね。
最後に『i70』ですが、このモデルは『スチールファイバー』の中で最も軽いタイプになると思います。
i70試打データ
軽くなったことで『i80』よりもさらに振りやすくなったという印象です。非常に操作性もよくスピードも十分に感じられる。それでいてスチール繊維を使っているという強靭さがありますので、多くのアマチュアの人にこのシャフトの良さが伝わるのが『i70』といえるでしょう。
スチールとカーボンのメリットを併せ持つ
『スチールファイバー』の4つの重量帯を打ってみました。『i110』、『i125』の重量帯になるとスチールシャフトとの比較になりますが、スチールシャフトと比べると振り心地としての金属繊維の粘り感というかもたつき感がありません。
この辺りにカーボン繊維の良さが活きているのだと思います。逆にカーボン繊維でここまで重いシャフトを作ってしまうと、しまり過ぎてピンピンはねてしまいます。カーボンだけで作ったシャフトとは明らかに性能が違います。
そういう意味では一番外側に金属繊維が入ると重量と強度が均一になり、しなりのタイミングが取りやすくなります。重さに対してのしなりがスムーズになるという特徴があります。
『i70』、『i80』の軽量帯シャフトですが、90~100g台の軽量スチールシャフトに比べると軽さ、シャープさがあっていいですね。100gを切ってくる軽量帯のスチールシャフトだとミッドの弱さ、切り返しの際にグッと折れてしまう弱さがある。
私は少しこのタイプのシャフトを打つのは得意ではないのですが、『スチールファイバー』はカーボン素材と金属繊維のマッチングなのでシャフトの剛性感があります。それでいて、スピード感もある。このスピード感がカーボン繊維の特徴で、自分が負荷をかけていった時にスムーズにシャフトが反応してくれるレスポンスの良さが『スチールファイバー』にはあります。