「都内のインドア施設に、新しく開発した機材を導入してもらえたので是非見て欲しいです」と、ディテクト社の浮谷社長より連絡をもらった。
元々、高精度の高速カメラをお手頃価格で実現し、優れたコストパフォーマンスの製品を提供するディテクト社は、画像機器の専門メーカーとしてさまざまな分野で信頼されていた。
私が以前勤めていたマルマン(現マジェスティゴルフ)は、プレミアムブランドに相応しく、かなり以前からフィッティングを重視し、ゴルファー一人一人に相応しいクラブを提供していた。それを支えていたのがディテクト社のスイングアナライザーだった。個人的に浮谷社長への信頼度は抜群に高いのだ。
指定された場所は、JR中央線三鷹駅。南口を出て正面の中央通りを真っ直ぐ、にぎやかな商店街を三分ほど歩いたら右手のビルの一階にあった。
「三鷹ゴルフプラザ」
入ってすぐのカウンターで挨拶。奥を覗くと、一階はシミュレーションゴルフを中心に、飲食しながらみんなで楽しむゴルフバーの施設だった。
レッスン施設は二階と聞き、エレベーターで上に上がる。入口から入ってそのまま真っ直ぐ反対側から外に出る洒落たエレベーターだった。正面に「三鷹ゴルフプラザ」の緑の看板、同じ大きさでその下には対照的な赤色で「La MeLa」。イタリアンレストランのようだ。なるほど、一階がゴルフバーの意味がわかった。
充実した機材に囲まれて
会員制レッスン施設のドアを開ける。すると大きな練習グリーンが飛び込んできた。その先に打席が3つ並んでいる。左右を見渡す。左の道路側に砂を入れたバンカー打席を見つけた。その手前から壁面にかけて、ぎっしりとフィットネス器具が並んでいる。
ランニングマシンもあり、ちょっとしたジムのようだが、よく見るとストレッチマシン「ホグレル」のシリーズだけでも5台あった。驚いた。ヘッドプロの橋本さんに聞いてみた。
「ゴルフのスイングには、正しい体の動きを作ることも大切というオーナーの考えです。」
近ごろ、肩甲骨を始め体が硬くなっていることを痛感している筆者は、ストレッチマシンの設置に感動し、良い施設だなと羨ましく思えた。やはり他の業界から参入しているオーナーは、既存のゴルフ業界だけの考えに縛られず、ゴルファーのことを第一に考えた豊かな発想をしているなと感心した。
レッスンしやすい機材
今年4月の店舗改装で、四打席のうち正面に並ぶ三打席へ、ディテクト社の『プリズムプロ』を導入。
インドアレッスン施設やゴルフ量販店の試打室などに広く採用されている、コンパクトで軽量の高精度弾道測定器である。定評のある『プリズム』から『プリズムプロ』に進化してからは、高速カメラが秒間1000コマから1500コマに増え、さらに細かく鮮明な画像でボールやクラブの挙動が見られるようになった。
さらにここの施設には、オプション設定の頭上からのカメラも導入されていた。異なるアングルからの撮影によって、バックスピンや打ち出し角などの数字だけでなく、クラブの入射角や軌道が数字とともにより正確に、わかりやすく画像で確認できるのだ。
2012年の開店以来、レッスン会員はゴルフキャリアの長い男性が多いとのこと。レベルに応じてデータや画像を活用ができるのが『プリズムプロ』のメリットのようだ。操作も簡単で使いやすい。また視覚的にわかりやすく、スイング動画がショット後に自動再生してくれるので、フリー打席で一人で練習するときにも重宝するという。
新機種『シグナス』投入
右側の奥にある1打席だけ、打席マットも天井も異なっていた。浮谷社長の「新しく開発した機材」はここに設置しているようだ。
「実は天高が低く、オートティーを設置するための床のかさ上げができないスペースだったのです」
それを解決したのが新機種 『シグナス』だ。一般的な弾道測定器は打席のティーの前付近に機材が集中しているが、『シグナス』は、最新の高速カメラを天井に設置。この手法によって、計測可能範囲エリアも2倍程度に広がり、仮に左打席もある両打席仕様でもそのままの状態で稼働できるそう。
実際のユーザーから「カメラが上にあったらいいのに」という意見があったという。お客様の意見に耳を傾け、それを具現化する開発力。ディテクト社ならではのエピソードである。
天高が取れなかったその打席は、以前からのアーム式のオートティーアップ機や打席マットはそのまま活用して、スイングで必要な空間のみ高さを確保。顧客の声をきっかけに生まれた新製品、そして実際の施設に則した、最良の提案とカスタマイズ力。ディテクト社が多くのレッスン施設やゴルフ販売店に支持される理由を覗かせる。