今年創業36周年を迎えるファイテンが、ゴルフ市場参入に本腰を入れる。
同社の主業務はボディケア製品の製造販売でネックレス、ブレスレット、サポーター、アパレル、寝具から医療機器、食品、美容商材まで約4000アイテムに及ぶ。その高い技術力が評価され、多くのアスリートが使用中。平田好宏社長は「当社の技術とゴルフは相性がいい。
やれることはたくさんありますよ」―。連射砲のような語り口に、意欲を載せる。同社アクアチタンを、あらゆるゴルフ用品に注入する「技術参入」の青写真とは?(聞き手・片山哲郎)
技術参入に商機。コラボ戦略で描くゴルフの未来
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ファイテン 平田社長[/caption]
片山:御社は今年、創業36周年を迎え、ボディケアカンパニーを旗印に売上を伸ばしてきました。まず、平田社長からゴルフ業界はどのように映りますか。
平田:ゴルフ産業は高齢化が深刻で、プレー人口は確実に減っていきます。そうなると、「ゴルフ場」はプレーするだけの場所ではなく、プレーをしなくてもゴルフ場へ足を運べるような新しい姿を模索する必要があると思うんです。例えばゴルフ場で「ハーフプレー&ボディケア」。気持ちよく体を動かした後は体をフルメンテナンスして帰宅する。我々ならそんな形も提案できる。もっといえばゴルフ場が健康づくりに貢献して、プレー寿命を延ばしていく。高齢化に怯えるのではなく、防御策を講じる必要があるのではないでしょうか
片山:平田社長はゴルフしますか。
平田:ぼく、ゴルフ大好きです。8年前に始めて、昨年は50回ほどラウンドしたかな。スコアですか? 平均80台中~後半です。一回79が出ましてね。65歳ですけど今が一番調子いい。そして、ゴルフのいいところはビジネスに繋がることですね。生涯通じてやりたいし、ゴルフができない人生はつまらない。ラウンド中に思いついたんですけど、ゴルフ専門店も、用具販売とフィッティングにボディケアを取り入れて、三位一体で提案すれば活性化の基盤がつくれるんじゃないかな
片山:得意なショットは?
平田:アプローチとパター。ドライバーの飛距離は調子がいいときは230yくらい。『ゼクシオ10』を愛用しています
片山:そろそろ体にガタがきませんか。
平田:肩こり、腰痛は今まで一度もありません!
片山:ゴルフ寿命の延伸に健康は大前提。日本学術振興会の安西裕一郎前理事長によるとゴルフは体を動かしながら頭を使うから認知症にもいいということが立証されつつあるようです。ゴルフマーケットも様々な分野がありますが、シニアのための延伸提案はどんなことがありますか。
平田:ファイテンは様々な取り組みに着手しています。特にゴルフは腰痛で悩んでいる方が多くいますので、それをケアしてゴルフを続けられるようにしたい。ゴルフをやめると運動量が極端に減りますから、体力の低下が如実に現れます。仲間が減る、会話が減って家に閉じこもる。ゴルフをずっと続けている高齢者は元気ですよ。
そして、もう一つが疲労対策です。地球上には疲れ知らずの生物が多くいます。たとえば渡り鳥。2週間ぐらい休まず飛び続けるために、彼らの胸肉や、翼の付け根には疲れ知らずの成分がたっぷりあるんです。マグロもそうですね。エラ呼吸できないから泳ぐのを止めたら窒息して死んでしまう。さらにクジラは疲れ知らず…。妊娠すると産卵場所まで半年間何も食べません。
片山:果たして、彼らの能力を我々人間が享受することができるのか。
平田:2008年に東京慈恵医科大が疲れの根源はどうやらアミノ酸ではないかと発表していました。つまり、たんぱく質を食べれば、人間の体も渡り鳥のように疲れにくい素質が高まるのではないか
片山:なんで教えてくれなかったんですか(笑)。それはどのような成分ですか。
平田:『イミダゾールジペプチド』という成分で優れた抗酸化作用があり、活性酸素による酸化ストレスから引き起こされる疲労を軽減する効果があるといわれています。既に多くのアスリート達が摂取しています。
片山:ファイテンはそういったサプリの領域にも踏み込んでいる?
平田:サプリだけで15憶円ぐらいですが、年々拡大しています
効果はドーン!慢性緊張を取り除きゴルフ界に地歩を築く
片山:御社は現在、ナノ技術を使ったアクアチタン等を含有したボディケアグッズ(ネックレス、ブレスレッドなど)を製造している。カタログに「チタンをナノレベルで水溶化」とありますが、金属は水に溶けるんですか?
平田:そうではありません。チタンは水に溶けないので、水分子とくっつく状態にするわけですよ。アクアチタンは約20年前に開発しましたが、今では我が社の軸となる素材になりました。微粒子化したチタンは、ほかに比べて効果的というデータもあります
片山:どんな効果ですか。
平田:すでに論文発表されていますが、一言でいえば『慢性緊張』を取り除く効果です。論文は、京都府立大学が睡眠効果について出したほか、UCLAやドイツの大学など7件の国際論文が発表されています
国内女子ツアープロの半数がファイテン製品を愛用
片山:松山英樹や藤田光里と契約していますが、その効果は?
平田:実は、ツアーで活躍する女子プロの半数以上が当社製品を愛用していまして、馬場ゆかり、藤田光里は当社契約プロですが、他の選手にも口コミで広がり、愛用者が多いです。なかでもチタンテープの愛用率は高いんですよ
片山:松山効果はありますか。
平田:はい。松山プロと同じものを身に着けたい、という方が一定数います。特に優勝した翌週は飛躍的に売上が上がりますね
次のターゲットは「eスポーツ」プロジェクトが進行中
片山:次に御社の事業構造を伺います。前期の年商は125億円で、ファイテン製品の製造販売が主業務ですね。
平田:はい。全体の9割以上を占めています。ほかに健康と美容を目的としたサロンの運営もありますが、コラボ事業には高い成長性を見込んでいます。これは当社の技術を様々な企業に提供する『技術供与ビジネス』で、将来的には本業よりも大きくなるのではないか。そう期待しながら、呼び掛けをしています。『御社の商品の特徴づけ、競争力強化にファイテンの技術を使いませんか』―。
片山:コラボ事業の最初は?
平田:本格的な第1号は10年ほど前、全日空のアメニティでした。国際線のビジネス・ファーストクラスの毛布、枕に当社のアクアチタンの技術が採用され、これが信用につながった結果、現在は約70社に技術供与をしています
片山:次はどの業界を狙う。
平田:若年層の間で流行っているeスポーツですね。通常のスポーツよりも明らかに体壊しますよ。有名な選手でも早期リタイアするケースが結構ある。ブレスレットや肘あてなどファイテンならではのケア用品を作りたい。このプロジェクトは既に進行中です
片山:それ以外では?
平田:『ファイテンルーム』という住空間の展開です。壁紙、天井材、床材、カーテン、ブラインド、畳などアクアチタンをしみ込ませ、住空間に付加価値をつけて商品化する事業でして、既にホテルや特別養護ホームなどに採用されています。ららぽーと(名古屋)の社員休憩室(100坪)もファイテンルームで、10年前に始めてようやく形になってきた
片山:高級ゴルフ場に入ってもいいですね。
平田:はい、ペンキのように壁や床に後からコーティングもできますよ
ゴルフ産業とファイテン技術の相性は「最高!」
片山:ということは、ゴルフ用品にも大きな可能性がある。ゴルフグッズでいうと?
平田:シューズ、グリップ、手袋など全方位ですね。ただ業界は、ファイテンの技術をモノづくりに活かしていこうという機運にはなっていません
片山:何が問題ですか?
平田:我々の努力不足ですが認知がまだまだ足りない。当社の技術がどういうものか、まず知ってもらうことが重要です
片山:これまでのコラボ実績は?
平田:グリップはワークス、ブレスレット、アパレルはアダバット、グローブは川田工業とコラボした実績があります
片山:シューズのインソールは面白くないですか? 『アシックスbyファイテン』とか?
平田:そうそう、そうです。我々には独自技術がありますが、それだけでは商品化できません。スポーツごとに異なる要素を、専門メーカーと共同開発しながらつくりたい。ゴルフ市場への参入は『技術参入』でやっていく考えです。松山英樹プロとのつながりもありますので、関連企業さんがグッズを増やしてもらえるとありがたいですね
片山:それはダブルネームというイメージ? OEMじゃ意味がない?
平田:松山プロはファイテンの技術を信頼してくれているから使用しています。そういう意味では、ファイテンのロゴが入っていたほうがベターでしょう
片山:朝日ゴルフがGPS距離計を発売していますが、ウォッチタイプのバンド部分や本間ゴルフのアパレルとのコラボはどうですか?
平田:いいですね! 紳士服ははるやま商事と取組んでいますが、コラボ商品は1業種1品目に絞らせて頂く。どこでもとなると価格競争に巻き込まれて、価値を毀損してしまう。特定1社の付加価値や収益向上に寄与するのが、コラボ事業の要諦です
片山:ゴルフ専用の『ソッキング』はゴルフ専用靴下を謳っていますが、効果は。
平田:ラウンド後に足が浮腫みにくいという声を頂いています。もともとはランニングソックスから派生した商品ですが、私がゴルフ好きだから作っちゃった
片山:趣味的商品(笑)。
平田:ハハハッ。次は松山英樹プロの監修のソックスを来春発売予定ですので楽しみにしていてください。今までは広告塔でしたが、いよいよ製品開発のフィードバックに入ります。3月、ジャパンゴルフフェアでお披露目予定です―。
- ファイテン株式会社
- 0120-669-929
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