香港の推定ゴルフ人口は3万人。ゴルフからの離脱を防ぎ、さらにゴルファーを増やすために考えられたのがシミュレーションゴルフのスコアでハンディキャップを認定する制度。
インドアでのスコアを正式に認め、コースでのスコアと総合してハンディを決める。認定機関は香港ゴルフ協会(Hong Kong GolfAssociation)で、1968年に設立された。
登録メンバーは1万5000人、日本における公益財団法人日本ゴルフ協会と同じ役割を果たす組織だが、ここが昨年9月に「アマチュアインドアゴルフシミュレーター選手権」なる大会を開催、優勝者に「ホンマ香港オープン」の最終予選会出場権を与え注目された。
「インドアゴルフハンディキャップ制度」は、バーチャル世代の若者を中心に人気だとか。最大の理由は香港のゴルフ事情で、同地にはゴルフ場が5つ(2019年1月現在)しかなく、4コースが会員制でパブリックコースは1つ。
会員制コースの週末プレーは、原則メンバー限定なため、ビジターのプレー機会は少ない。 香港の景気は上向きだ。土地が狭く不動産価格も上昇傾向。マンション価格は10年前に5000万円の物件が、今では1億円と多くが値を上げ続けている。
香港にパリの人気レストランの支店を出店したスティルフーズ代表の鈴木成和氏は、「香港の投資家と組んで店舗を出すと資金が潤沢で、スタッフも多く、共同経営者としては運営が楽ですね」と、香港で飲食事業を展開する利点を語っている。
昨年10月、香港・マカオ・広州は、海上を渡る橋で結ばれた。経済圏が広がり、さらなる成長が見込まれる。名門ゴルフコースを住宅用地として再開発する案も出るほどだ。
香港ゴルフ協会の西剛弘会長に、昨年開催された欧州男子ツアーの「ホンマ香港オープン」に関わるプロモーションの話を伺った。
スポンサーの支援により、市街地を走る電車に人気プロゴルファーのラッピング、電車内には香港オープンの60年の歴史や歴代優勝者などの資料を掲示、同時に世界的に活躍するプロゴルファーが香港にやって来るとポスターで市民に告知した。
また、香港政府観光局の協力を得て、市街地にある香港中環の新名所「大館」で「ホンマ香港オープン」の記者発表を開いた。
大館は、セントラル警察、裁判所、ビクトリア刑務所を改造した複合施設で、美術館やミシュランの星を持つレストラン、歴史的資料の展示施設などがある。
記者発表では広場の白壁の前に、ガルシア選手やフリートウッド選手らが並び、プロゴルファーと身近に接する機会のない観光客や市民を驚かせ喜ばせた。その光景はSNSで多数配信され、観光名所の宣伝にも一役買った。
その結果、トーナメントの観客動員数は過去最高の約4万5000人。西会長は、国際的な人脈の広さを買われて日本人でありながら同協会のトップに就任した。来年は香港で「世界アマ」が開催される。
この記事は弊誌月刊ゴルフ用品界2019年2月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
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