日本で2番目に古いゴルフ場 「雲仙」がインバウンドのメッカに変身

日本で2番目に古いゴルフ場 「雲仙」がインバウンドのメッカに変身
「温泉deゴルフデビュー大作戦!」―。 思わず身を乗り出してしまいそうなタイトルだが、これは株式会社十八銀行が立ち上げた長崎県雲仙市の雲仙温泉街、小浜温泉街の地域活性化企画だ。地元旅館・ホテル関連事業者と、行政機関、金融機関が一体となって取り組む「雲仙みらいプロジェクト」のひとつである。 雲仙市は集客促進のために雲仙・小浜の14の温泉旅館と雲仙ゴルフ場との共同企画で、宿泊者限定の「リゾートスタイルのゴルフプラン」を2種類(3ホール2000円+ゴルフ場利用税350円、4ホール3000円+同)用意している。 ゴルフシューズやクラブのレンタルもあり、ビギナーや家族連れ、カップルで気軽にゴルフデビューできる。スタート時間は原則、午後3時から4時半としているが、希望があればリクエストに応じる場合もあるという。 雲仙ゴルフ場は大正2(1913)年、日本初のパブリックかつ県営ゴルフ場としてスタートした。当時日本には、神戸ゴルフ倶楽部(1903年)、横屋ゴルフ・アソシエーション(1904年)、ニッポン・レース・クラブ・ゴルフィング・アソシエーション(根岸ゴルフコース・1906年)など民営のメンバーコースが開場していたが、横屋と根岸は現存しておらず、雲仙ゴルフ場は神戸GCに次ぐ日本で2番目に古いコースとなった。 ゴルフ場を含む周辺は1934年に日本初の国立公園に指定され、ゴルフ場は雲仙国立公園の中にある。その後、2006年に民営化され「雲仙ゴルフ場株式会社」となった。

医療とゴルフの合わせ技

私が初めて雲仙ゴルフ場を訪問したのは2013年8月のこと。ちょうど開場100周年で、この機を逃してなるものかとの意気込みで向かった。「下界」は連日の猛暑だったが、コースは標高750メートルの丘陵にあり、驚くほど涼しかった。 雲仙へ向かうとしたら、やはりネックになるのはアクセスだろう。雲仙ゴルフ場のホームページによると、長崎空港〜ゴルフ場まではバスで1時間50分、車で1時間30分。長崎市内〜ゴルフ場は、特急バスで約1時間40分。マイカーの場合は、諫早IC〜ゴルフ場まで約1時間かかる。 このような難点を打開すべく白羽の矢が立ったのが、東京在住でありながら長崎観光大使を務める森清一氏。同氏はこの度「雲仙ふるさと大使」も兼ねることになり、「雲仙みらいプロジェクト」を通してゴルフ場を含む雲仙の観光都市化に取り組んでいる。その具体策が面白い。 ㈳未来医学研究会の副会長で㈶日本中国文化交流協会の顧問も務める森氏の構想はこうだ。長崎空港をアジアの玄関口として再注力、特に中国からの観光客に日本の医療も体験してもらうというもの。 人間ドックを日本で受診、その後温泉やゴルフでリフレッシュしてもらう。来年、長崎で日中(医療)シンポジウムも開催予定とか。 国内のゴルフ人口が減少する一方で、中国人も認める日本の最先端医療と観光(ゴルフ)を結び付ける構想だ。日本で2番目に古いゴルフ場の街に、最新の知恵が盛り込まれる。
この記事は弊誌月刊ゴルフ用品界(GEW)2019年3月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ用品界についてはこちら