国内140以上のゴルフ場を保有・運営するパシフィックゴルフマネージメント(PGM)は1月下旬、ゴルフ業界の発展を視野に入れた「グリーンキーパー育成」の公開講座『第14回PGM CMアカデミー』を開催した。ちなみにCMは「広告」ではなく、「コースメンテナンス」の略称。社内外から参加者を募り、今回は48名が受講した。
ゴルフ場業界は今、深刻な人手不足に悩んでいる。なかでもコースメンテナンスは「ゴルフ場の生命線」といえる重要な仕事だが、その人材育成は各社にとって重い課題だ。今年14回目を迎える同アカデミーは、その解決策としても注目される。
5日間の日程にわたり「クリアビューゴルフクラブ&ホテル」(千葉県野田市)、「総武カントリークラブ総武コース」(千葉県印西市)、「KOSHIGAYA GOLF CLUB」(埼玉県吉川市)の3ゴルフ場を使用して座学・屋外実習を実施。全国標準での教育及びPGMの経営方針の共有化が大きな狙い。
これまでの累計社内総受講者数は425名。試験合格者の内、現在GK(グリーンキーパー)71名(全体の59.3%)、AGK(アシスタントグリーンキーパー)99名(同86.8%)が全国の系列ゴルフ場で働いている。
今回は、AGKを目指す茨木国際ゴルフ倶楽部(大阪府茨木市)の笹井貴博さん(26)に取材した。
―5日間の研修を終えた感想は?
「まだ4年と経験が浅いので、補う知識がたくさんありました。特に芝草に関しては日々勉強が必要で、マニュアルどおりにはいきません。コース管理の知識があるだけではいけないと痛感したし、充実した4日間でした」
―将来、何を目指して受講した?
「ゴルフ場を管理するグリーンキーパーのアシスタント(AGK)を目指すために受講しました」
―印象に残った講義は?
「『農薬総論』です。これ以外にも外部の方の講義が多数ありましたが、多くのゴルフ場や現場を任された経験経験者の話しは、自分の中でも身に覚えのあるものが多かったですね。今まで以上に、ゴルフ場の生命線はコースメンテナンスだと再認識しました」
―AGK資格取得後は何を目指す?
「多くの来場者に満足してもらえるメンテナンスはもちろん、将来自分が思い描くコースを作れるよう努力したいですね」
―茨木国際に帰り、どのような心構えで仕事に臨むのか
「私は大学卒業後、新卒でPGMへ入社しましたが、モットーはゴルフ場の感動をお客様へ伝えること。そして、価格に見合ったコースコンディション以上の状態を常に提供することが重要だと考えます」
―具体的には
「大阪府にある茨木国際GCは、土地やお客様に恵まれた環境にあり、今後一層グレードが上がっていくと思います。最も重要な商品であるコースコンディションを向上させることは、会社の業績にも直接影響します。『GRAND PGM』(グランPGM)の名に恥じない、評価の高いメンテナンスを今後も心掛け、よりお客様が来場しやすいゴルフ場にしていきたい」
―コース管理で難しいこととは
「基本的なメンテナンス作業は大きく変わりませんが、シーズンによっては、降水量が少なかったり、台風やゲリラ豪雨もある。コースは生物ですから、対応能力が問われる責任のある職種だと感じています。焦らずにいかに自然と向き合えるか・・・経験の浅い私はまだまだですね(苦笑)」
―研修を通じて仲間はできた?
「はい! 全国各地のAGKやGKを目指す者と触れ合えたのは自分の財産です。気候が違うとゴルフ場のメンテナンスはこうも違うんだ、と。コース管理に携わる人間は、“好奇心”や“探求心”を持っている人が多いと改めて感じましたし、情報の価値も大きく、共感する部分も多かったですね。この仲間たちと今後、情報を共有して、PGMゴルフ場の発展に寄与していきたい」