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  • 新パターメーカーが提唱する「極低バランス」の意外な効果

    松尾俊介
    1949年12月23日生れ  神奈川県出身 東海大学工学部航空宇宙学科卒、在学中は体育会ゴルフ部副将および関東学生ゴルフ連盟の連盟委員を兼務。パイロット志望から一転してゴルフ用品販売業務に携わる。ゴルフ工房を...
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    2018年8月、アメリカで新しいパターを作っているという人物がヘッドサンプルを持って日本にやってきた。インゴットから削り出したT型のヘッドはトウとヒール部分にタングステンを125gも埋め込んだもので、ヘッド重量は一般的な重さだが、パター全体のバランスポイントをソールから5インチ以内に設定する新しいコンセプトのパターを開発中だという。 そして、幾つかの特許も取得できたので2019年のPGA Showで発表。 このパターを開発している人物の名前を聞いて驚いた。彼の名はリッチ・パレンテ。キャロウェイゴルフの前身、ヒッコリースティックUSAの創業者の一人である。ヒッコリーシャフトの芯をくり抜いてチタンシャフトを挿入し、そのシャフトにインゴットから削り出したヘッドを装着したパターを作り出した人物だ。 このほど彼は、温めていたアイデアをパターで商品化、再び脚光をあびる可能性が高い。開発を行っている場所はサンディエゴ、そこにロボットや実験設備があるという。筆者は、PGA Showでの発表前に特別に取材をさせてもらった。 新会社の名前はSackS Parente Golf Companyというもので、二人の投資家が新しいパターメーカーを全面的にサポートして立ち上がった。

    S・サックスという人物

    今回発表したモデルは3種類、シリーズ39、シリーズ54そしてシリーズ18である。メインは『39』と『54』だ。この数字の意味はちょっと面白い。それはデザインした人の生まれた年から付けられているからだ。 39をデザインしたのはリッチ・パレンテ、彼は1939年生まれで今年80歳である。経歴は前述したとおり。一方、シリーズ54をデザインしたのがスティーブ・サックスで、彼は1954年生まれの65歳。プロフィールにはこのように記載されている。 スティーブ・サックスは1974年以来ゴルフ業界に携わり、過去40年以上の間、ゴルフのマーケティングと製造のパイオニアとして活動。彼はゴルフクラブ製造のための新しい素材の開発やゴルフクラブ設計において広範な研究を行ってきた。 Goldwin Golfを共同設立し、Carbite Golfのセールスおよびマーケティングディレクターを務める。ゴルフ市場、トレンド、クラブデザイン、製造の歴史に関する深い知識を持っているため、いくつかのゴルフメーカーや国内組織へのコンサルタントとして活動してきた。 今回の取材の目的は、新しい会社が発表するパターはどのようなものなのか、どのようなコンセプトを持って市場に投入するのか、実際に完成したものを打ってみてどうなのか、を誰よりも早く自分なりに確認したかった。 まず出来上がった新しいパターとはどんなものなのか? パレンテ氏の自信作<シリーズ39>から始めよう。 新パターメーカーが提唱する「極低バランス」の意外な効果 この写真が製品特徴を端的に表している。パターのバランスポイントがソールから5インチ以内にセットされているからだ。 ヘッド重量は360gで、ほぼ標準の重さである。するとシャフトとグリップが極端に軽いものが使われていることが容易に理解できる。 彼らはこの新しいコンセプトを「極低バランスポイント」(Ultra Low Balance Point 略してULBP)のパターとして特許を取得している。
    右がシリーズ39をデザインしたRパレンテ、左がシリーズ54をデザインしたSサックス 右がシリーズ39をデザインしたRパレンテ、左がシリーズ54をデザインしたSサックス
    筆者は次のように質問した。なぜ、このようなバランスポイントのパターを作ろうと思ったのですか? 答えはこうだ。 「パッティングでは、振り子のように一定のテンポとリズムでストロークできることで安定したボールの転がりを得ることができます。そのためには重りの役目をするヘッドが、重いものが良いのです。 しかし、重すぎるとヘッドコントロールが難しく、距離コントロールはもちろん方向性にも影響が出てきます。そこでヘッドの重さを360〜365gに抑えて、重さを感じながらも操作性を考慮するには、シャフトとグリップの重さを極力軽くすべきとの結論に達したのです」
    タングステンウェイトとフェースインサートを手に説明するパレンテ タングステンウェイトとフェースインサートを手に説明するパレンテ
    どのようにシャフトとグリップの軽量化を図ったのですか? 「まず、シャフトからいきましょう。軽量化を進めるにはグラファイトシャフトが良いことはすぐに理解できますね。しかし、パター用で我々が意図する軽量のものはまだなかったのです。スチールでも軽量化を図ると肉厚が薄くなるためしなりが出て、方向性やボールスピードが安定しないという問題が出てきます。 しなりを抑えようとするとシャフトの径が太くなり、タッチが出にくいことにつながります。そこで太さを変えずに軽量化が図れ、かつ硬さも出すことができるものは、ということからグラファイトシャフトの特性を生かしたパター専用のシャフトを開発することになりました。 色々実験した中で40gを切るものが良いことが分かり1インチ1gというコンセプトで、幾つかのシャフトメーカーに試作をお願いしました。 日本の幾つかのメーカーに試作を依頼しましたが、その中でもオリンピック製のものは我々の狙い通りのものでした。シャフトの硬さも振動数で言えば360cpm以上を目指し、この硬さはスチールを超えるもので重いヘッドにも十分対応できるものに仕上がったのです」
    1インチ1gを具現化したオリンピック製の超軽量オリジナルパターシャフト 1インチ1gを具現化したオリンピック製の超軽量オリジナルパターシャフト
    グリップも同じように軽量化を狙ったものを試作したのですか? 「その通りです。やはり40gを切るものが必要でした。それにグリップの太さと形はそのパターを操作する上で、重要な部分でラウンドタイプ、ピストルタイプ、フラットタイプと3種類が必要と考えグリップメーカーに試作を頼みましたが、握った時の感触まで考慮すると完成までには相当時間もかかりました」
    3種類の専用の超軽量パターグリップ(ピストル型、ラウンド型、フラット型、35gという重さに注目) 3種類の専用の超軽量パターグリップ(ピストル型、ラウンド型、フラット型、35gという重さに注目)
    筆者は実験を見学したが、ロボットテストを繰り返しながら、最も良いスペックを探し続けたことが容易に理解できた。また、市場で評価されているパターをテストし、転がり、安定性、方向性を少しでも上回るものができなければ開発する意味がない、ということで徹底して細かな部分まで微調整を繰り返し、ほぼ完成のレベルに達していた。 シリーズ39の最大の特徴は、T型のヘッドデザインを採用した点である。ネオマレットやクランクネックのブレードタイプが主流の中、パターとして最も基本的なデザインT字型の中で、トウとヒール部分に125gものタングステンを装着して最大級のMOI(慣性モーメント)を狙った点とヘッドの重心位置がシャフト軸線上にある点である。 このようにすることでヘッドの回転する力はなくなり、まさに振り子と同じように動く。実際にプロトタイプを打たせてもらったが、バランスが相当重く操作性が悪いとの事前の想定は簡単に覆され、自然にストロークできるだけでなく、操作性も確かなものであったことは正直驚いた。 フェースインサートも軽量アルミ合金のAL24を採用し、タングステンウェイトの効果をより引き出す役割の他、スコアリングもボールディンプルに効果的にかみ合うようデザインされている点もよく考えられている。 一方、サックスがデザインしたシリーズ54もユニークな点がいくつも見ることができる。 一つはマレット型にしてゼブラ模様のアライメントラインを入れた点。このデザインはパターの後ろから低く始まり、光学的にミスアライメントを排除するためにフェースの高さいっぱいまで傾斜する完全に平らなクラウンを備えている。 さらにアライメントの補助、つまり視覚的にターゲットを正確に捉える目的で、黒のボディにいくつもの白いストライプを入れたものと、黒いボディに2本のブルーのサイドラインと赤いセンターラインを入れたバーニアアキュリティクラウンと名付けたものをデザインしている。 2つ目はヘッド重量の65%をフェース面から1インチ以内に集約させた点。ネック形状にアジャスタブル機能を持たせ長さの異なるクランクネックや、スラントネックを用意して入れ替えることができるようにした発想はとてもユニークである。 ストレートネックのホーゼルの長さもいくつか用意している。これらは重心角を微妙に変化させることができ、ヘッドローテーションの具合によって最適なものを選べるメリットがある。
    シリーズ54のプロトタイプの数々 シリーズ54のプロトタイプの数々
    シリーズ54はとてもユニークだ。複数のアライメントラインは視覚的な位置合わせを容易にする効果があり、目が意図したターゲットに向かって傾斜した形状をたどり、一貫してヘッドをスクエアにセットできるようにデザインされている。 同色だけのラインではおぼつかないゴルファーのために設計されたバーニアアキュリティは2本の線の間のずれを見る能力として定義されていて、ターゲットラインに集中し狙いを定めることでより正しいストローク引き出すことを狙ったものという。
    ロボットマシーンでシリーズ54の機能をテストするサックス氏 ロボットマシーンでシリーズ54の機能をテストするサックス氏
    一見、特殊なデザインには見えないが、開発のバックグランドを聞くと様々な工夫の跡が見られる。やはり今までの経験から来たもので、再び手にとってじっくりと眺めてみるとユニークさが引き立って見えるのは不思議である。 発表は4月1日だが、日本ではジャパンゴルフフェアでお披露目した。
    プロトタイプのヘッドでパターの特徴を説明するパレンテ氏 プロトタイプのヘッドでパターの特徴を説明するパレンテ氏
    開発途中のシリーズ54を手にするサックス氏 開発途中のシリーズ54を手にするサックス氏
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