ジュニアゴルファーの環境を好転させる5箇条を提案
私は現在、栃木県でゴルフ工房「ベストチューニング」を運営する一方、栃木県ゴルフ連盟の副競技委員長と栃木県ジュニア育成委員会の副委員長を兼務しています。
そのような立場から多くのジュニアゴルファーと接点があるため、ジュニア環境の改善について提案をしたいと思います。
まず、栃木県ジュニア育成委員会について説明しましょう。同委は2017年5月、青少年にスポーツを通してゴルフ技能の向上とスポーツ精神の高揚を図り、心身ともに健全なジュニアゴルファーを育成する。また、会員相互の親睦を図ることを目的に設立された任意団体です。主な活動は(1)月例会、(2)マナー、ルール講習会で、現在これらの費用は公益財団法人ジュニアゴルフ育成財団により捻出されています。
指導者は公認指導員2名で、登録されるジュニアは7~18歳までの55名。男子と女子の比率は5対5です。
ちなみに私は日本体育協会の「公認ゴルフ指導員」ですが、この資格を得るためには、種目の特性に応じた基礎理論、指導実技実習、計40時間の講習が必要です。資格取得者は201名で、日々、ジュニア育成に励んでいます。
このようなキャリアから思うことは、ジュニアゴルファーは他のスポーツに親しむ子供達に比べ、プレーのハードルが高いことです。
改めて触れるまでもありませんが、第一に親の経済的な負担が大きいこと。栃木県内にはゴルフ場が121コースありますが、ジュニア料金を設定しているのは7割ほど。それでも平均的には1ラウンド5000円ほど掛かります。このような状況を関係者の理解を得なから、好転させたいと考えています。
沖縄県のジュニア環境
私には子供が3人おり、彼らの憧れは石川遼選手と宮里藍さんです。私自身の幼少期を振り返ると、あの頃はJリーグがなく、世界のホームランキング・王さんに憧れて野球を始めました。
仕事柄、子供にはプロゴルファーになってもらいたいと考え、ゼロ歳からおもちゃのクラブとボールを買い与え、3歳の頃から幼児用のゴルフセットで練習場へ通わせるようになりました。
困ったことは、ジュニア料金の設定がなかったことです。1人100球までと決めても子供はもっとやりたがり、1回につき2000円ほど掛かってしまう。世のご両親も事情は同じでしょう。その気持ちはよくわかります。
そこで当時、全国のジュニア事情を調べました。すると、沖縄県のゴルフ環境が突出して恵まれていることがわかりました。
練習場は無料もしくは500円で打ち放題、ゴルフ場も夕方から無料開放のところが多く、これは日照時間の長さも影響していると思います。
茨城県が優れている5つのポイント
実は、関東でもジュニア環境が整備されている県があり、代表的なのが茨城県です。同県からは女子の畑岡奈沙選手、男子は星野陸也選手などが輩出されています。
では、茨城県の何が優れているのでしょうか。わたしは以下の5点がポイントだと考えます。
(1)連盟が本気でジュニアを育てようとしている。(2)トーナメントで使用する良いコースが安く回れる。(3)ゴルフ場と練習場との提携が取れており、ジュニア会員証があれば安く利用できる。(4)プロの試合が数多くあるので見て学べ、モチベーションが上がる。(5)連盟と保護者のコミュニケーションが取れている。
私自身、2013年から3年間、茨城県のジュニア環境を学ばせてもらい、その経験が栃木県にジュニア委員会を設立する際に役立ちました。
この時に提出したものが「ジュニア育成環境整備プラン」というものです。このプランは、ゴルフ経験の有無に関わらず、子供たちが野球やサッカーに親しむのと同じぐらい気軽にゴルフと触れ合える環境を作るという内容です。
ただ、県連の反応は芳しいものではありませんでした。こちらが必要性を力説しても、いくつかの難点をあげて「難しいねえ」という反応が多く、一言でいえば子供ではなく、大人を中心に物事を考える姿勢だったと思います。
そこで、ジュニア育成のためのNPO法人を自分で立ち上げようと考えた矢先、追い風が吹きました。2022年の「栃木国体」開催です。
県から助成金が入ることになり、意識がジュニアに向き始めたのです。ただし、現状は一部の認定選手へのサポートにとどまっており、この点は残念な思いを禁じ得ません。
私は、より多くの子供達がゴルフに親しめる環境作りのプランとして、以下の5箇条を提案したいと思います。
1、 小学校にスナッグゴルフを導入
2、 県内のゴルフ場、ゴルフ練習場の一元化されたジュニア低料金設定
3、 毎月の練習会や月例会の実施
4、 一流プロとの交流会
5、 ゴルフ用品のジュニア料金設定(割引)
これらを実現するために、努力していく所存です。