テーラーメイド『M5 / M6』を発表 M3 / M4からの進化は「スピード」

今月の小誌「定店観測」ドライバー部門において、販売数量2位へ急浮上した『M5/M6』は、昨年爆発的なヒットモデルになった『M3/M4』の後継機種。
『M3/M4』は周知の通り、方向性に大きな影響を与えるオフセンターヒット時の曲がり幅を抑えるため、フェースをねじる「ツイストフェース」テクノロジーを採用したモデルだ。
『M5/M6』も「ツイストフェース」を継承するものの、ヘッドの反発力をSLEルール規定値ギリギリにしてボール初速を上げるため、新技術「スピードインジェクション(後述)」を開発。
規定値ギリギリのドライバーといえば、PRGRの『RSシリーズ』が思い浮かぶが、テーラーメイドによれば、製造するすべてのドライバーヘッドの反発係数をルール上最大限に設定したという。
その開発プロセスについて、米本社の開発責任者ブライアン・バゼル氏が次のように説明する。
「最高のフェースを作ったとしてもその後、ゴルフクラブとして完成させるためには溶接し研磨、塗装等の工程を経るため、どうしても公差が生まれてしまいます。
つまり、みなさんが今お持ちのドライバーはもしかしたら、初速が遅めのモノ、ラッキーな方は速めのモノかもしれないということです」
また、同社の検証結果によると、市場にあるドライバーの70%がルール適合の上限値にある程度余裕を持たせているとか。
M5、M6ドライバーは すべて当たりくじ!?
ゴルフクラブは工業製品である。ルール適合内で反発係数をギリギリに設定すると、公差を超え歩留まりが悪くなるのは想像に難くない。
そこで、各メーカーは数値に余裕を持たせるということなのだが、『M5/M6ドライバー』ではその〝公差〟の概念を払拭している。「一旦すべてのヘッドを高反発にしてから、ルール限界値へ設定する」という大胆な手法で製造に取り組んでいる。
詳しく説明してもらおう。
新技術の「スピード インジェクション」とは
「生産されるすべてのヘッドを一旦、ルール上限を超えたところで作ります。そして『スピードチューン』を施して、ルール上限の内側ギリギリに揃えます。
具体的には、フェースのトゥ&ヒール側の赤いチューニングポートからレジンを注入し調整。すべてのヘッドを詳細に計測しクラウドへ送信、独自のアルゴリズムにより計算された分量を2つのポートからそれぞれ注入します。
先述の通り、ヘッドの製造工程にはどうしてもバラツキが生じてしまう。例えば、トゥ側に0.4g、ヒール側へ0.8gのレジンを注入する場合もあればその逆もありうるわけです。
つまり、ヘッドの個体差によって異なる量のレジンの注入が必要になってきます」
最終工程もクラウドの アルゴリズムで計算
出来上がったヘッドがSLEルールの上限を超えていないか? 超えてしまうと 〝違反クラブ〟とみなされてしまう。大丈夫なのか?
「それは絶対避けなければなりません。レジン注入後にもう一度クラウドへ送り、独自のアルゴリズムの計算式により精度の高いものにしています」
2019年モデルの『M5/M6』ドライバーは、ボール初速をより高めるため、さらにフェースを薄くしているとも付け加えた。M3比で20%薄肉化、ハンマーヘッド構造との相乗効果により、66%スイートエリアが拡大したと豪語する。
先に発表されたキャロウェイの新ドライバー『エピックフラッシュ』は、ボール初速を上げるために逆にフェースを厚くしているが、各々の特徴が出ていて非常に興味深いところでもある。
M5、M6ドライバーは 全3種類
新製品は『M5 ドライバー』(460㎤)、「M5 ツアー ドライバー(3月中旬発売)』(435㎤)と『M6 ドライバー』は460㎤のみで計3タイプを用意。
標準装着シャフトについても、56gのKUROKAGE(M5、M5 TOURへ装着、硬度Sで総重量308g、54gの「FUBUKI」(M6同、総重量299g)を改良したオリジナルデザインに仕上げるなど、細部にわたってこだわりを見せる。
カスタムシャフトは下記を用意。グラファイトデザイン「Tour AD VR-6」、藤倉ゴム「スピーダー661EVO V」、三菱ケミカル「Diamana DF 60 」。価格は『M5』、『M5 TOUR』が7万8000円(カスタムシャフト9万5000円)、『M6』が7万2000円(カスタムシャフト8万9000円)で、前作比で『M5』が6000円、『M6』が7000円アップとなっている。
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