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ティーの位置は「色分け」ではなく「番号別」で選択肢を増やそう!

ニュース 松尾俊介
ティーイングエリアは「色分け」ではなく「番号制」でホール別選択を!

最近、ティーイングエリアをかなり前方に設定するゴルフ場が出てきたことはとても良いことだと思います。誰でもゴルフを楽しめる、という前提に立てば、ティーイングエリアをどこに設定してプレイするかはとても大事。その際、ゴルファー自身が自由に選択できることが基本です。

上手だからバックティ、下手だから前、女性だから前、シニアだから前という画一化された考え方では、ゴルファー視線に立った施策とはいえません。筆者は、ゴルフの楽しみ方はプレイヤー個人によってそれぞれ違い、どのティを使用するかの選択権はゴルフ場が関知すべきことではないと考えます。

ゴルフを始めた人の半分が3年以内に止めてしまう理由、70歳を過ぎるとゴルフをやめてしまう人が急激に増える理由、女性のゴルフ参加率が男性に比べて極端に低い理由、これらをゴルフ場関係者は、真剣に考えて対策を打ってきたでしょうか? 答えは残念ながらNO、と言わざるを得ません。

さる統計によると、初めてゴルフをプレイする人の平均スコアは139であり、彼らの半分が3年以内に止めてしまう理由は、「その平均スコアが3年たっても115を切れないから」という見方があります。つまり、ゲームの楽しさを感じることができないのです。

女性の参加率が低いのも同じような理由で、パーオンすることがなかなかできず、ゴルフの持つ本当の面白さを感じとれないことが大きな理由だと思います。

総計5000ヤードを切ることが必要

そもそもゴルフは、パーを取ることを目的としたゲームであり、パーが取れる可能性が高くなるほどゲームの面白さを体感できます。さらにバーディでも取ることになれば、ゴルフの虜になるのです。しかし、ゴルフは他のスポーツに比べ、ゲームを楽しめる技量を得るまでに時間がかかるのが課題。この課題を解決する施策が、ゴルフの面白さを理解してもらえることに直結すると筆写は考えます。

また、ゴルフは自然の中で行うフィールドゲームの一つで、ボールをコントロールして目的地まで運ぶターゲットゲームです。そのためボールの置かれる状況は様々で、これらは現場で経験することで適した打ち方や、距離感などが身につきます。これらは練習場では学べません。

子供が大人より比較的上達が早いのは、レッスン書を読んだり、レッスンを受けたりしなくても、道具をどのように使ったらボールを狙い通り運べるかを本能的に感じ取り、ゲームの楽しさを感じられるからです。

ティーイングエリアの位置をグリーンに近いところに設置して、子供でもパーオンしやすい距離からゲームを始められる配慮がされています。一つでもパーが取れたり、バーディが取れると子供はもう夢中になり「ゴルフ面白い!もっとやりたい!」となりますが、これは大人も女性も同じだと思います。

このような文脈に照らして考えると、ジュニアから初心者、女性には、パーオンできる位置にティーイングエリアを設ける必要があるでしょう。ひとつの目安として、18ホールでのヤーデージの総計が5,000ヤードを切る長さを設定することも重要です。

18ホールで540万円の投資

多くのゴルフ場経営者は、コースレートや難易度が高いコース、距離が平均よりも長いコースが「グレードが上」と考えているように見受けられます。競技層の割合は全ゴルファーの7%ほどと言われており、この層の歓心を買うことが重要視されてきましたが、その一方で90%を超える「ゲームとしてのゴルフ」を楽しみたいプレイヤーの気持ちを汲み取り、意識改革を起こす時が来ています。

その際、筆者はまず「ティーイングエリアの位置とその呼称」を変える必要が急務と考えます。ティーイングエリアの数は、できれば7ヶ所は欲しいところです。トータルヤーデージからすれば、18ホールで最短3600ヤードから最長7200ヤードの幅の中、つまり差し引き3600ヤードの中に各ティーイングエリアを設置します。

単に一直線上に単調なティーイングエリアを設けるのではなく、戦略的にも各レベルのゴルファーが楽しめる位置に配置する配慮が必要であり、コース設計家の腕の見せ所でもあります。

基本的な考え方は、一緒にプレイする人が同じ番手のクラブでグリーンを捉えられる位置がよく、ハンディキャップよりもこの方がより公平でゲームが面白くなります。ゴルフはパーを取ることを基本としたゲームであり、だとすれば各自のレベルに関係なく、その人がパーを取れる可能性を持った位置からティーショットすべきものだからです。

ゴルフ場にもよりますが、ティーイングエリアを一つ作るのに30万円ほど掛かるといわれます。だとすれば18ホールで540万円くらいの投資となります。ゴルフ場にとってはかなりの負担だと思いますが、最近は優れた人工芝もあり、メンテナンスを考えるともう少し安くできるかもしれません。

その資金はどこから持ってくるのか? という声も聞こえてきますが、これにより顧客が増えるか、顧客単価が上がれば可能ではないでしょうか。もし、女性や初心者の間で「他のコースよりもより楽しむことができる」と評判が立てば、そのコースへの来場数やリピート率も高まるはずです。

実際、筆者の友人である70歳の女性からこんな声が聞かれました。「ゴルフ場が新しいティーイングエリアを前に作ってくれて、初めて39で回れました。ゴルフをやめようと思っていた矢先にパーオンすることが多くなって、ゴルフが本当に楽しくなった!」。電話口の彼女の声は弾んでいました。これがゴルファーの声なのです。

「番号制」でホールごとに選択

もう一つの課題は、ティーイングエリアの呼称です。現在、どのコースもティマークに色をつけて黒がチャンピオンティ、青がバック、白がレギュラー、赤がレディス、金色がシニアなどと区分けをしていますが、これも一種の競技ゴルファー目線ではないでしょうか。

下手な人、飛ばない人は後ろから打つべからず、という空気が漂うため、改める必要があると考えます。同時に「初心者は前から打つ」という暗黙の決め事にメスを入れる必要もあります。ティーイングエリアを前にすべき、と言いながらこれは矛盾しているのではと反論されそうですが、それは少し違います。

どのティーイングエリアを使うかはゴルファーの選択権であり、ゴルフ場が許可制にして制限すべきことではないと思うからです。問題は「プレイ時間」ではないでしょうか。

筆者は「レディスティ」等の呼称はある種の「決めつけ」であり、これを改めて1~5番ティなどの「番号制」にすべきと考えます。このようにすることでプレイの自由度が高まるからです。

たとえば、当日のプレイは「2番ティ」の使用を基本としても、平坦で距離が短いパー5では「1番ティ」を使用し、池越えの難しいパー3ではやさしいセッティングの「5番ティ」にするなどです。スコアカードの使用ティ欄に丸をすれば、当日プレイした総距離も計算できます。

ホールによって使用ティの番号を変えられれば、初心者でも戦略的にティを選ぶなど、俄然ゲームの質が高まるのです。どのようなレベルのプレイヤーでも選択権を自由にすれば、ゴルフをより楽しむことができるのです。

これまでは単にハンディキャップの違いで技量差を埋める考え方でした。しかし、プレイヤー同士がどのティを使うかを話し合い、パーを取れる確率が同じようになるティーイングエリアを選べれば、ゴルファーの早期リタイヤを防止でき、女性の参加率向上につながると信じます。

この意見に賛同したゴルフ場が実施し、結果をレポートしてみてはどうでしょうか。明らかに良い結果が得られるとすれば、どのゴルフ場も取り入れることを望みます。ゴルファーが喜ぶだけでなく入場者も増え、収益も確実に改善されるでしょう。


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松尾俊介

松尾俊介

1949年12月23日生れ  神奈川県出身
東海大学工学部航空宇宙学科卒、在学中は体育会ゴルフ部副将および関東学生ゴルフ連盟の連盟委員を兼務。パイロット志望から一転してゴルフ用品販売業務に携わる。ゴルフ工房を主宰しながら1988年からフリーランスゴルフライターとしても活動。国内外合わせて25のゴルフクラブメーカを取材し、記事として各誌に掲載する。「良いゴルフクラブとは何か」をテーマに取材活動を続ける。1989年米国キャロウェイゴルフの取材と掲載記事をきっかけに親交を深める。

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