6月、アパリゾート栃木の森でUSLPGAティーチングプロのPAT(プレー実技試験)が行われました。わたしは過去、この実技試験で何度も試験官を務めていますが、1番ティーで見送る時は毎回ドキドキ。緊張感に包まれます。
実技試験は、世界的に5100~5700ヤードの設定で、今回は5200ヤードでしたが、開催コースはフェアウェイが狭く、アップダウンの傾斜もあり、落とし所が大事。コントロールショットが要のコースなので、短いからと侮れません。
受験者は20~50歳代の9名。ツアープロ経験者やツアーを目指している選手、現役のティーチングプロを含めて福岡、岐阜、京都のみならず、シンガポールからの外国人受験者も。プレーの実技テストは「デモンストレーションを見せられるレベルかどうか?」を重視しており、目標スコアは83~87と、比較的合格しやすい設定です。
普段通りのプレーができれば、それほど難易度が高いとは思えませんが、独特の雰囲気と緊張感に飲まれてしまうのでしょう。以前、わたしがアメリカで受験した時、プラスハンディ6の実力者がシャンクを5回も繰り返し、「今までシャンクなんてしたことないのに」と嘆く姿を目撃しました。
で、今回受験した9名の結果は?
見事、全員合格です! しかも、誰一人80台を超える者はなく、連続7バーディで5アンダーの67や、68というビッグスコアも出ました。日本での開催は10回を超えますが、60台は初めて。しかも、受験者全員が70台など、年々レベルは上がっています。
受験の理由を聞いてみると、ツアープロを目指す受験者から「ティーチングの勉強は自身へのコーチングにつながり、判断力に自信がつくと思う」との回答も。
このあたり、新しい考え方かもしれません。ゴルフのプロには「プレーヤー」と「ティーチャー」の2種類ありますが、その要素を両方含んだ「ゴルフプロ」が沢山誕生すると、指導内容の引き出しが増えると思います。ティーチングプロの世界にも新風が吹きそうな予感がします。
ちなみに、PAT突破後は、オンラインとセミナーの勉強が目白押し。講義内容は「コミュニケーション」や「ゴルフフィットネス」「IPSと呼ばれるティーチング理論」など5項目で、ライセンスのレベルはアプレンティス~クラスAまで3段階です。
日本にはLPGAと男子のPGAがあり、今春、倉本昌弘会長は「女性会員の受け入れ」を発表するなど潮目が変わりつつあるようです。
各団体に所属するプロが互いに切磋琢磨して、活性化につなげたいですね。
この記事は弊誌月刊ゴルフ用品界(GEW)2019年7月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
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