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東京五輪に「無関心」なゴルフメディアの姿勢を問う

ニュース 松尾俊介
東京五輪に「無関心」なゴルフメディアの姿勢を問う

東京オリンピックまであと1年ちょっと。しかしどうでしょう? 他の競技が出場権をかけた熾烈な争いをする中で、「ゴルフ」はその戦いを遠巻きに眺め、盛り上がりに欠けた印象を強く受けます。

オリンピックは開催国の選手に有利な点が色々ありますが、最も有利なのは「地元開催枠」というものです。開催国の選手には出場機会が多く与えられ、場合によっては予選すら免除されることもあります。

とはいえ、他のスポーツの代表権争いは大きく報道され、特に最近は男子陸上の短距離がTVのスポーツニュースなどで報道されていますが、これに対してゴルフはなぜか冷めたまま。ゴルフは、スポーツとして魅力がないのでしょうか? 

もし、ゴルフの日本代表選手が金メダルを取ったらどうなるでしょう。スーパースターの誕生はゴルフ界に大きなインパクトを与え、経済効果も期待できます。ゴルフが再び脚光を浴びて、ゴルフに興味を示す人が増え、減少傾向のプレイ人口が増える可能性もあるのです。こんなに喜ばしいことはありません。

それにも関わらず、ゴルフメディアがそのような視点でオリンピックの前景気を煽る報道姿勢は見られません。筆者は、ここに大きな問題意識を感じています。

ゴルフの代表はどう決まる?

ゴルフ競技の選手選考基準は、傍目には複雑なシステムに映ります。まず、「オリンピックポイント」を採用しており、これは2018年7月1日〜2020年6月20日まで、計104週での成績がポイント計上されるのがベースになります。

その上で、上位60名がオリンピック出場の資格を持つという選考基準ができます。選考基準は下記のとおり。

①男子は2020年6月23日時点、女子は2020年6月30日時点のオリンピックゴルフランキング上位15位までの選手で、各国最大4名まで。
②16位以下については、1カ国2名(15位以内の有資格者も含む)を上限とする。
③5大陸(アフリカ、アメリカ、アジア、ヨーロッパ、オセアニア)ごとに、一人も出場資格を有するアスリートがいない場合は、男女ともに最低1つの出場枠が保証される。
④大会開催国から一人も出場資格を有するアスリートがいない場合は、男女とも1つの出場枠が保証される。
※ただし、上記③、④の出場枠が適用されても、男女各出場人数の60名は変わらない。

現在、日本では男女8名ずつが候補(強化)選手に選ばれ、様々なサポートを受けていますが、この「16名」の名前をどれだけの人が知っているでしょうか?

具体的には、男子が松山英樹、小平智、今平周吾、稲盛佑貴、時松隆光、秋吉翔太、宮里優作、星野陸也。女子が畑岡奈紗、鈴木愛、比嘉真美子、成田美寿々、小祝さくら、上田桃子、菊地絵里香、松田鈴英。以上が現在の顔触れとなります。

筆者がメディアに求めることは、候補選手の現状を読者に伝え、オリンピックの前景気を盛り上げることにほかなりません。男女各8名の選手が現時点で何ポイントを獲得して、それはオリンピックポイントでは何位に位置するかなど、毎週トーナメントが終了した時点で発表すべきです。

そして、候補選手がそれに向けて努力している姿や想いを報道することです。次のトーナメントが始まる前に、現時点のポイントや優勝からトップテンに入るとどうなるか、どのトーナメントのポイントが高いのか、これに向けての調整法など、選考レースを毎週取り上げなければ誰も興味を示さないし、何も変わらないと思います。

本来ならば、対象ポイントの起点となる2018年7月1日から報道すべきでした。しかし、少なくとも筆者が知る限り、そのようなメディアは見当たりません。特に「ゴルフメディア」の責任は大きいと思います。

日本の選手は、オリンピックに出場することに対して興味がないと見ているのでしょうか? それとも、どのメディアも無関心なのは何かの意図があるのでしょうか?

ゴルフメディアの怠慢を問う

もし、メディアの怠慢が原因で報道しないのであれば、筆者はその姿勢を厳しく問いたいと思います。同時に、選手強化の中心的な存在である日本ゴルフ協会(JGA)や日本オリンピック委員会(JOC)が、候補選手の現状をその都度、発表すべきです。

選手強化に公的資金が使われていることを考えれば、選手の情報を逐一発信することは国民に対する義務だと思います。スポーツ選手の活躍は人々を元気にし、勇気や感動を与え、生きる活力を提供する。換言すれば「公的」な役割があり、スポーツが強い国は国力が豊かな証明にもなると思います。

むろん、その意識が高じると旧東欧諸国に代表されるドーピング問題の発生や、アスリートの不幸な末路にもつながりますが、このあたりはメディアが厳しく監視するという役割も一方にあるでしょう。

いずれにせよ、スポーツ記者はオリンピックに賭ける選手の日常を丁寧に取材・報道する。ゴルフ記者も個々の選手の努力や歩みをSTORYとして書き上げる。これによりスポーツ文化やゴルフ文化が醸成されると確信します。

努力の成果である成績を、単に数字に置き換えて並べるのではなく、記者の目で見た選手の戦い方や戦略、努力、気力などに焦点を当て、それを見抜き、凝縮された文章で記事にしていくこと。それが記者の仕事であり、記者自身の「戦い」でもあるはずです。

ゴルフメディアやスポーツ新聞の低迷は、そのような報道姿勢の欠如が原因ではないでしょうか。自国開催のオリンピックを機に、基本に立ち帰る必要があると筆者は考えます。


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ライター紹介 ライター一覧

松尾俊介

松尾俊介

1949年12月23日生れ  神奈川県出身
東海大学工学部航空宇宙学科卒、在学中は体育会ゴルフ部副将および関東学生ゴルフ連盟の連盟委員を兼務。パイロット志望から一転してゴルフ用品販売業務に携わる。ゴルフ工房を主宰しながら1988年からフリーランスゴルフライターとしても活動。国内外合わせて25のゴルフクラブメーカを取材し、記事として各誌に掲載する。「良いゴルフクラブとは何か」をテーマに取材活動を続ける。1989年米国キャロウェイゴルフの取材と掲載記事をきっかけに親交を深める。

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