今年で19回目を数えるシニアツアー「ファンケルクラシック」が、8月23日~25日の3日間の日程で、裾野カンツリー倶楽部(静岡県)にて開催される。
先頃、その記者発表会が都内で開催された。日本プロゴルフ協会(PGA)の主管競技とあって、会見には倉本昌弘を始めとした出場プロが集結。シニアツアーならではのジョークが飛び交う発表会になった。
ファンケルクラシックとは?
2001年から行われている同大会は、「シニアの力で日本を元気にしたい」というテーマを掲げる。年々来場者を増やし、9年連続で2万人以上の来場者が訪れているという。
特に、昨年の18回大会はプロ野球現巨人軍監督の原辰徳氏が出場したこともあり、日本のシニアツアー歴代最多となる2万5214人の来場者が訪れたとか。
これは昨年行われた約60のプロのトーナメントの内5位の来場者数で、3日間競技の中ではトップの記録だという。
また賞金総額は7200万円。優勝賞金も1500万円と高額なため、この大会を制したシニアプロはその年のシニアツアー賞金王に近づく可能性が高いとも言われている。
同大会は環境への配慮もしているようで、会場内のドリンクコーナーのコップをプラスチックから紙コップに変える措置も取られるという。
さらにチャリティ活動としてファンケルクラシック基金を設立。昨年は382万1283円が集まり、7月の豪雨災害義援金として日本赤十字社などに全額寄付したとか。
原辰徳監督は出ません
会見の冒頭では、ファンケルの代表取締役会長 ファウンダーの池森賢二氏より挨拶が行われた。
「昨年は、2万5214人のお客様に来ていただきましたが、おそらく原辰徳監督が1200人くらい集めたのではないかと思っています(笑)原さんが監督に復帰されたので今年は出られないとのことで残念です。
この大会を開催しようと思った時、会社が赤字になったとしても続けていこうと思ったのを覚えています。当社は化粧品を扱う会社なので、女子プロのツアーならまだしも、何でシニアツアーなんだと3回目くらいまでは冷めていた社員もいました。
ただ、今となっては社員全員が楽しみにしていますし、会社をあげて大会を応援しようとしています。
今年はシニアツアーデビューのスター選手が多く、もっと多くの出場を期待していたのですが、同時期に開催されるセガサミーカップに参加する選手も多いということで残念です。賞金額で負けてしまったのかなとも思います(笑)」
とジョークを交えながら語った。
「タイガー・ウッズ、石川遼の復活優勝で明るい話題多い」
会見に参加したプロは、倉本昌弘、中嶋常幸、室田淳、米山剛、鈴木亨、深堀圭一郎の6名。各プロからの挨拶は、シニアツアーならではのリラックスしたものだった。
同大会初優勝を目指す中嶋常幸は、
「シニアツアーに転向した初戦、思っていた以上にピリピリした雰囲気で、想像していたのと違うなと思ったのですが、この大会に出たことで『これぞシニアだ』とシニアツアーの面白さを感じることができました。
これまで何度も優勝を目指していますが、いつも僕の優勝を室田プロが邪魔するんですね。4回も優勝してるんだから、1回くらい譲ってくれてもいいのにね。
家内からは『最近は賞金じゃなく、しゃべりで稼いでいるわね』と言われることが多いので、今年こそはこの大会でガッポリ賞金を稼いで『どうだ!俺を誰だと思っているんだ!』って家内に言いたいですね。
そして、新人もいますけど、いじり倒して潰したいと思っています(笑)」
それに対して室田淳は、
「タイガー・ウッズ、石川遼の復活優勝。そして先日はここにいる倉本昌弘プロも優勝と、今ゴルフは明るい話題が多いです。どんどんゴルフファンが増えていくといいなと思います。
この大会は私がシニアツアーに転向して初めて出た大会です。シニアだからと甘く見ていたら痛い目に遭った大会でもあります。それからしっかり準備しないといけないと思い直したのが、この大会を4回勝てた理由でもあると思います。
今年もしっかり準備をして、中嶋プロの邪魔をしたいと思います」
と応戦し、会場に笑いが起こった。また、鈴木亨は先日の日本プロゴルフ選手権で復活優勝を遂げた石川遼の名前を出し、
「最近アメリカの試合に出ることが多いのですが、全米シニアオープンから帰国後に出た先日の日本プロゴルフ選手権で、石川遼プロが『お帰りなさい』と声をかけてくれました。彼は選手会長もやりながら、いつも周りを見て情報もチェックしてそうやって声をかけてくれる。
その日本プロで優勝した彼のプレーを自宅のテレビで観ていてハラハラドキドキしました。今回の大会でもああいうハラハラドキドキするプレーを皆さんに届けたいと思います」
と語った。また一昨年、同大会を制した米山剛は、
「先輩達はプレーも上手で、トークも上手。私はトークはあまり得意ではありませんが、この大会はシニアツアーに転向して初めて優勝した大会。今年も優勝争いできるように頑張りたいです」
と語った。
深堀圭一郎「シニアツアーに溶け込んでいます」
今年、シニアツアーデビューを果たした深堀圭一郎は、
「今年からシニアツアーに出ることになりましたが、シニアプロの元気の良さを感じながらプレーしています。
先輩からも大分いじっていただけるようになりました。エレベーターに乗れば中嶋さんから『歩かないのか』と言われたり、室田さんから『キレはいいけどパットが弱いね』と指摘されたりしています。
おそらく大会が行われる8月には、シニアツアーに自然に溶け込んでいる自分がいるのではないかと思っています。
今回出られない手嶋多一、谷口徹、藤田寛之らに『出られなくてもったいなかったね』と言えるように何かを持ち帰りたいと思っています。
そして中嶋さんは今年本気で優勝を狙っているようですが、一緒に廻ってコテンパンにやっつけられるようになりたいです」
と語り、それに対して中嶋が
「お前、先輩をいじってるのか(笑)」
と答える一幕もあった。
倉本昌弘「打倒プラヤド・マークセンで」
最後に、優勝への意気込みを問われた各プロは、
「先日優勝した『スターツシニア』の時は、皆で『打倒マークセン』を掲げたら僕が勝つことができましたので、この大会でも同じように言ってもらえれば僕が勝てるのではないかと思います(笑)年齢を考えると、この大会で勝つのは最後のチャンスなのではないかとも思うので、是非勝ちたいですね」(倉本昌弘)
「さっき控室で、優勝したプロを池に放り込もうかって皆で話していたんです。是非自分が入れるようになりたい」(鈴木亨)
「とにかく勝ちたい。池に入ってでも勝ちたい」(中嶋常幸)
「優勝を目指していますが、僕は池には入りません」(室田淳)
と語り、終始ジョークが飛び交う会見だった。
なお同大会には他にも、昨年覇者のプラヤド・マークセンを始め、青木功、井戸木鴻樹、芹澤信雄、伊澤利光、デビッド・イシイ、山添昌良らも出場予定。
会場には、子供も楽しめるAOKIキッズパークや、パターゴルフ、家族で楽しめる催事も多いという。昨年の2万5214人の来場者を超えられるかも注目だ。