横浜市栄区の練習場・第百ゴルフクラブでは今夏(7月1~8月31日)、平日13~17時までの4時間を完全クローズにしていた。
その経緯は
こちらで紹介したが、このほど初月が終了した。売上大幅減のリスクを覚悟しての決断だったが、時代と環境に対応した将来の練習場運営を見据えた試験導入。猛暑対策を筆頭に、その他いくつかの目論見があった。
- お客様とスタッフの熱中症リスクを減らす
- 真夏の早朝、夕方以降の利用促進=健康維持のお手伝い
- 無駄な人件費、光熱費、消耗品費等削減。メリハリのある効率的な運営=売上よりも利益重視の真夏2ヶ月間に挑戦
- 場内修繕作業が可能(夜間工事費用の削減)
- CO2削減等環境への取り組み姿勢(環境省提唱温暖化対策運動賛同ゴルフ練習場)
今年は梅雨明けが遅く、7月中旬も涼しかったため「クローズ期間が早過ぎるのでは?」「熱中症は自己責任では?」などのご意見もあった。しかし私は「自己責任を超えた将来予想としての対応」と答え続けた。
また、初年度は月単位で行わないと経費動向も見えてこない。我慢の7月だったが、梅雨が明け一気に酷暑になると「先見の明がある」「勇気ある素晴らしい取り組み」など、肯定的な声が急に多くなった。
さて、気になる来場動向を列記しよう。入客数は前年同月比2.2%減。売上は4%減。前年より休日数が1日少ないことが影響しても当初のdown予想を下回った。
あえて特別な企画をせず、静かに数字を見守った。人件費は有給支給を集中させた結果約3%増だったが、光熱費(環境放熱)は22%減と大きな成果があり、この面では「まだ行ける」との感触を得た。
レッスンプロの「夏の働き方」も変わった。モーニングコーヒー付きの早朝スクールが好評で、勤務時間が早まった分、ジム通いや家族サービス等に充てるスタッフが増えた。モーニングコーヒー付きスクールはプロのアイデアを採用し、スクール生の入会10名で売上増に寄与できた。
また、当施設は年中無休のため場内修繕作業(フィールド・ネット補修等)は夜間が中心だったが、これもクローズ時間中に捗った。
17時、再オープンの頃に吹く風は日中とは違う。10名程並ぶ日もあり「ボールが1つも落ちていないフィールドで練習するのは初めて、気持ちが良い」といった予想外の声も聞こえている。現場の混乱もない。クローズ時間内にAEDや心肺蘇生などスタッフの学び時間もでき、SNSでしっかりアピールもした。
酷暑時間帯のクローズを実行したことで、今後の運営に役立つ気付きも多くあり、実行する準備も進んでいる。これらは顧客満足向上と共に、地球環境にもきっと優しい第百ゴルフのコンセプトに沿った運営ストーリーとなるだろう。
スタイリッシュな空調服等がゴルフ市場にも登場した。日本の夏は益々暑くなることを予想し、常にアンテナを張ったお客様目線、運営目線、感性に磨きを掛けたい。
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この記事は弊誌月刊ゴルフ用品界(GEW)2019年9月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
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